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    モクチェズ/永遠の約束
    伝説のMカード聴きたかったよ〜〜〜!!!の嘆きを込めて、勝手に来世の話をさせる。
    それは恩とは違うと思いつつ、今のところはチェの言語に合わせてあげているモ。

    ##BMB

    20220517惜しいことをしました。

    何がだい?

    今回のヴィンウェイでの一件は、いわば私の不始末の後始末。失ったものを取り戻すためでなく、何かを得るために使いたかったと、今更ながら後悔の念が湧き上がってきましてね。

    ……何を?

    ACE本社のビルでファントムと対峙する前に、あなたが言っていた「恩返し」です。

    ああ……。あんなこと言ったくせ、結局、ビルから落とされたのをお前さんに助けられて、返すどころか増えちまった恩ね。

    あなた、その直前に私をファントムの銃弾から庇ったでしょう。いくらボスの不殺の銃とはいえ、撃たれたのがあなただから一命をとりとめたのであって、私であればおそらく死んでいました。51階の件は、それで相殺されていますよ。

    どうだかねえ。

    おやおや、納得されていないご様子ですねェ。いずれにしても、この度の目を見張るご活躍ぶり、さすがに清算は完了したでしょう。

    ……今までの恩、ぜんぶ?

    ええ、綺麗さっぱり。むしろ、私のほうに債務ができたくらいではないですか。

    いやあ、そうあっさりチャラにされちゃかなわんなあ。

    ……と言いますと?

    うーん……。

    ……なんですか、その頑是ない子どもを前にしたような迷いは。見えなくても分かりますよ、失礼ですねェ。

    はは、すまんすまん。お前さん、ほんとに分かっとらんのだなあと思って。

    ……何をでしょう。

    そう顰め面しなさんな、ちゃんと説明するから。おじさんも反省しとるのよ、全然言葉にしとらんかったなあって。

    ……。

    ……。故郷でお前さんの荒療治を受けてから、毎日本当に張りがあって、楽しくてね。気づいたら、明日もそうなるって自然と思うようになっててさ。長い間、眠ってる間に心臓が止まってくれやしないかと願ってたのに、今じゃ目覚めるのが待ち遠しい。お前さんはクサいって笑うかもしれんが、世界が変わるってこういうことをいうんだろう、って思ったよ。……チェズレイ。俺がこんな幸福な毎日を過ごせるのは、お前のおかげだ。だから、一日一日を積み重ねる度に、お前に感じる恩義も、新たに積み重なっていってる。今、こうして話している間も。そう簡単に返せるようなもんじゃない。

    ……。

    ……はは、また真顔だね。お前さん、一度思い知ったほうがいい。俺がお前さんに感じてるもんの重さを。

    ……。……私も……。

    うん?

    私も、同じように感じています。毎日が楽しいと。あなたと過ごす明日が待ち遠しいと。

    うん。

    ミカグラを出てからずっと、約束が――あなたの隣にいるための資格さえこの手にあれば、それでいいと思っていました。それで私の心は十分に満たされると。でも、なぜでしょう。今、あなたが私と同じように感じてくださっていることが、それを知れたことが、こんなにも嬉しい。こんなに大きな幸福を受容できる器官が自分にあったのかと、驚くほどに。

    ……うん。

    ですから……いつかのあなたの言葉を借りるなら、「とんとん」ですよ。あなたの幸福が私への恩になると言うのなら、私の幸福はあなたへの恩になる。

    ……じゃあ、ちゃんと怪我を治して、元気になって、長生きしてもらわにゃね。

    いまいち前後の繋がりが見えない発言ですね。

    今はお互いおんなじくらい幸せで、とんとんだとしてもさ。お前さんが、ここに辿り着くまでの――俺と同等の幸福を感じられるようになるまでの期間は別だ。その日数分は、きっちり耳を揃えて、別に返させてね、って意味。

    同道している限り、「とんとん」になってしまうのに?

    そうだよ。だから、お前さんは、少なくともその日数分は、俺より長生きして、俺より長く幸せでいなきゃだめってこと。二年弱くらいかな。

    無理ですよ。

    いやいや、なんで断言するのよ。年齢差を考えなさいよ、お前さんが無茶せんで、順当に行ったら、そうなる確率の方が高いでしょ。俺の目が黒いうちは、お前を死なせんし。

    長生きの話じゃありません。あなたがいなくなってしまったら、私は今ほどの幸福は感じませんよ。前提が崩れます。

    ……。それじゃあ、普通に一緒にいるだけじゃ、いつまでたっても恩が返せないじゃない。

    フフ。常ならぬ機が巡ってくるのをお待ちください。

    その機って、つまりすっごく大変な思いをする時ってことじゃない……? そんな機は来ない方がいいんでない……?

    どうでしょう。あるいは。

    あるいは?

    来世に持ち越していただいてもよいですよ。恩を返しに、次の世も私のもとへ来てください。

    そりゃあ……随分と甘い取り立てだねえ。

    ええ。特別に延長して差し上げます。

    でもさあ、来世もずっと一緒にいたら、またおんなじことの繰り返しじゃない?

    ではさらに次の世に。

    ……気の長い話だねえ。それってさ、つまり、





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    mavi

    DOODLEモクチェズ版ワンドロワンライ【キャラブックネタ】【野花】
    先週書き上げられなかった分(【ティータイム】)を合体させたのでワンドロではなくほぼツードロです
    20220508 晩酌がモクマの領分なら、ティータイムはチェズレイの領分。
     申し合わせたわけではないのだけれど、気がつけばそうなっていた。

     いちばん初めのきっかけはなんだっただろうか。
     たしか、チームBONDとしての、ミカグラ島での最後のミッションを終えて、同道の約束を交わして。その約束に差し込んだいくつかの条件、そのひとつ、「時々は晩酌を共に」が初めて実現した翌日のことだった。
     チェズレイは酒を嗜まないので、自然、酒やつまみはモクマが見繕うことになる。そもそも酒を飲んだ経験がほとんどないと言われれば、いっとう美味いものから紹介したいと思うのが人情というものだ。あれやこれやと集めるうちに、テーブルはちょっとしたホテルのミニバーもかくやという賑やかさになってしまった。部屋に通されたチェズレイはそれを見て、ちょっと驚いたように目を見張り、続けて、おやおや、とでも言いたげな揶揄いの目配せをモクマに寄越した。しかし結局何も言わず、自分はこのようなもてなしを受けて当然の人間だという風な、悠々とした動きでモクマの隣に座った。その晩、モクマの、アーロンには及ばずとも常人に比べればうんとよく見える目は、チェズレイの、度々卓上に向けられる目線も、その度に喜びが溢れるようにきゅっと持ち上がる口角も捉えていたけれど、先ほどの沈黙への礼として、それを指摘することはなかった。
    4008

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