授業の合間の短い休み時間、ざわつく教室の中でひとり席についたまま何度も校門の方を眺めてはため息をつく。これで14回目。気がまぎれるかと思ってため息を数え始めてみたけれどかえって不安が増すだけだった。
「どうしたのよ遊矢、今日ずっと窓の方ちらちら見て」
幼馴染で隣の席の柚子が怪訝そうに話しかけてくる。俺がまじめに授業を受けてないのは今日に始まった話じゃないからまたいつも事かと思われているのだろう。まあ普段はちょっとデュエルとエンタメのことを研究して夜遅くなって、ちょーっと授業中うとうとしてしまうのは確かだけど。でも今日はそうじゃない。
「なあ今日さ、校門のあたりで変な人見なかった?」
「変ってどんな?」
「いや……なんていうか黒っぽくって……ちょっと怖そうな人」
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