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    ウツハン♀結婚おめでとうドチャクソウルトラハッピーエンド
    美味しいところだけつまみ食い

    ※アルハラ、パワハラ、セクハラ一連の話の締めになります。相変わらず独自設定ありますが読んでるとちょっとだけ話が分かりやすいかもです
    ※冒頭はふせったーに投稿したネタの再掲になります。エコだよ?
    ※格好いい教官はマガにゃんに食べられました

    ##それゆけ僕らの因習村

    マリハラ事件(カムラ式)【序:これまでのあらすじ】

    (雷神討伐祝勝会の3日後、里長に座敷に通されて)

    「お前にも今まで苦労かけたので褒美になんでも願いを叶えてやろう。どうだ、これを期に嫁取りなど」
    「いやいや俺などより是非我が愛弟子に!あの娘が一番頑張りましたので」
    「それは当然。だかお前の今までの里への忠心に報いたいのだ。そろそろ家庭を持つ気はないのか?」
    「報いなど、あの娘の師でいさせて貰えたこと以上の事がありましょうか」
    「こういってはなんだがな、俺も歳をとり大抵の事は思うようにできる。古老の連中など勢いづいた今なら黙らせることは造作もない。本格的にハンターに復帰するも良し、盛大に祝言をあげるも良し。里を出るのはまだ勘弁して貰いたいが」
    「ははは狩りは教官職の傍らにでもできますので。そうですね敢えて言うなら有給を2、3日いただけたら」
    「はははこやつめそんなに無理矢理言わせて欲しいか」

    ここで謎の一升瓶(ウツシ仕様の自白剤入り)ドン
    さすまた持って座敷に殺到する上位の里守
    天井から降ってくるコガラシと床下から飛び出すデンコウライゴウ
    縁側からお邪魔するゴコクとハモン
    庭には獲物を抱えて座す愛弟子(ミツネ重ね着の決戦仕様)

    「大人しくこれを呑むか、猛き炎のナルハタタヒメ討伐報酬として嫁ぐか、好きな方を選べ」

    【あらすじおわり】




     もう逃げられない。何故そう感じたのか自分でも分からない。周囲の圧力から?愛弟子から向けられる混じり気のない愛情から?いいや、弟子に向ける己のよこしまから。
     蝶よ花よ玉よいのちよ。ずっと懐に大切に仕舞っておきたかったのに、それを自らねぶって噛み砕いてしまいたいともずっと想っていたよ。こんな卑しい自分にも君が手を差し伸べてくれるのなら。

     ウツシは真っ青な顔して庭に降り、愛弟子の角隠しそっと外して自分で被って、「ふつつかものですが」と三指ついた。

     覚悟は決めた。君が許してくれるのなら。





     まあそんなこんなでその場で挙げられたひどく簡易な祝言(戸籍書類に署名捺印するだけ)をすっ飛ばしての初夜である。
     後になぜそんな大切な場に呼ばなかったのかと竜人姉妹から詰められる里長フゲンであるが、此のときばかりは仕方がない。新郎(妻)は里でも指折りの手練、翔蟲のエキスパートなのだ。逃げられたら最後追いようが無いため早急に事を進める必要があったのだ。姉妹には後に盛大に披露宴を挙げることでなんとかお許しを頂いた。

     …後に、フゲンは思い知る。長年己で科した強固なセルフ待ての呪縛を無理矢理解かれた雷狼竜が、反動でどんだけ突っ走るかを。具体的には杵と臼で海を渡れるくらい。
     …後に加工屋の盟友は語る。お前の若い頃そっくりだと。





    【破:夜半、褥にて 〜ウツハン♀の初夜に失敗するクソ雑魚雷狼竜の語彙が溶けるまで〜】


    …愛弟子、大丈夫?その、別に今夜じゃなきゃってわけでも…あ、いや違う!違うよ嫌なんじゃないよ!したいよ俺もすごくしたいよでも君初めぐぅッ
    …はい、夜に大声出しちゃいけないね、ごめんね、君に恥をかかせたいわけじゃないんだ。ごめんね、許してくれる?
    ふふふ、仲良くしようね、もう夫婦なんだしね。アッハイ俺が妻ね。拘るねぇそこ。

    わぁ、愛弟子可愛いね…あれ君こんな可愛かったっけ?いやいつも可愛いけど、なんか今日きらきらしてない?化粧?らめ?うん、変な味がするね、あの着物に映えて綺麗だったけど、俺はなんにも付けてない君も好きだな。
    うん、好きだよ、知らなかった?おかしいな、言ってなかったかな、みんな知ってるみたいだったから、伝わってると思ってたんだけど。
    動悸が凄いね、俺もだよ、ほら触って。顔真っ赤だね、恥ずかしいね、えへへ俺も。でもこっち向いて、ほら、ぎゅって。
    温かいね、いい匂いだね、好きだよ、ずっと愛してる。…言わなければ伝わらないって本当だね。

    …胸?そりゃ大きい事に越したことはないけど、気持ちいい?こっちがいい?痛くないかい?ごめんね俺あんまり手、きれいじゃないから。舐めたほうが好きかな。そうだね、傷だらけなのはお互い様。可愛いね、可愛いよ。ほら、可愛がって欲しいってふくらんで、素直だね、可愛い。

    細いね、柔らかいね、ほら逃げないの。確かに筋肉は付いてるね、そりゃハンターだからね、でも君は俺よりうんと小さいよ。簡単に壊せそうだ。可愛い。恥ずかしいの見せて、隠さないで、全部見たい。
    …傷?ああ、君が頑張った証だよ、…本当に。お互い様なんでしょ?、隠さないで見せて、可愛い、可愛い。

    …温かいね、可愛いね、……ねえ、全部みせて、もっと触りたい、……甘いね、逃げないで、ああ、ひくひくして可愛いなあ、俺の…


    ……
    ………

    えア"ッ…泣ッっ…


    ………
    ……






    【休:ウツハン♀に巻き込まれがちのカムラ里づくり青年団員の憂鬱】


     集会場の天井から枝垂れる桜に紛れるように、簀巻きにされた男が梁から逆さにぶら下げられていた。

     時折男と目があったような気分になってハナモリは顔を逸らす。何やら里長の屋敷でひと悶着あったらしいとは聞いていたが、翌日、満面の笑みのヒノエの指揮のもと一糸乱れぬ里守衆に棺桶のように担がれてのご登場、とあっては流石に出せる助け舟も無い。この里で竜人の娘(姉)の逆鱗に触れて無事でいられるものは居ないのだ。

     男は昨日、育てた弟子とめおとの契を結んだのだという。さてようやくか。あれ程わかり易くお互いに惚れ込んでおきながら、散々勿体つけていたのは師のほうであったらしいと聞いたときは驚いた。あの集会場での犯罪スレスレのお戯れも、事態の進展に一役買ったのならば片棒を担いだ甲斐がある。

     ウツシという男は、思えば昔から不思議な男であった。
     同年代である筈のハナモリは、この狭い里で幼少の彼と遊んだ記憶はない。センナリもホバシラもそうだろう。ある日突然、若き見習いハンターとして里にやってきたようにしか思えなかったのに、周りの大人たちはまるで彼が古くからの馴染みのように接するものだから、子供達は混乱し、いつも遠巻きにしていたものだ。彼もまた、狩猟に哨戒にといつも忙しくしていたから、まともな接点などあるはずもない。ハナモリも、長じて、この集会場の桜を任せられるまでまともに会話すらしたことがなかった。
     …若輩ながら老人たちから目を掛けられて、大人の中で働く男に対して、多少のやっかみもあったかもしれない。
     だが百竜夜行をという未曾有の災害を経ての、文字通り身を削る三面六臂の働きぶり。あれを見せられて見直さない奴はいないだろう。

     …そのうち、呑みに誘ってみるのもいいかもな。
    花の世話をする振りをして吊られた男から目を逸らしつつ、ハナモリは思う。既に「誰と」ではなく「何時」が掛けの対象になっていた猛き炎輿入れダービーの、儲けが近いうちにいくばくか入るはずだ。
     きっと今なら、彼と旨い酒が呑めるだろう。





    【灸:ウツハン♀の初夜を陰ながら見守る竜人双子小姑の逆鱗】


     集会場の天井から枝垂れる桜に紛れるように、簀巻きにされた男が梁から逆さにぶら下げられていた。

     それを視界に入れないよう気をつけながら、ミノトは今日も仕事に精を出す。朝から野暮用に追われたため業務が押しているのだ。構っている暇はない。

     野暮用。確かに野暮な用事だ。思い起こすに情けない。
     だいたい、あの男ときたら。
     今までどんなに周りが煽ろうと可愛い愛弟子からアプローチを受けようとすました顔をしていたくせに、外堀を完全に埋められて観念した途端初夜にがっついて処女泣かせてんじゃねえですよ駄犬が、という話である。
     まだ衆目のない集会場の中なだけマシなんである。

    「次やらかしたらタタラ場の煙突に吊るします」

     輝かんばかりの笑顔で言い切った姉はやる。やるといったら絶対にやる。もちろん煙突の外ではなく中に。カムラ名物教官の燻製一丁上がり。更にミノトお手製の「私は躾のなってない発情期の犬です」看板も追加だ。慈悲はない。
     別にこれは、可愛がってきた妹分が自分達の預り知らぬ間にかっ攫われていた、その腹いせとかでは断じてない。

     だいたい、あの男は分かっていないのだ。確かに朝一番にあの娘は姉妹のもとに駆け込んできた。真っ赤に染まった目元に咄嗟にランスを握ったのは早計で、泣きじゃくるあの子が言うことには。

    「上手くできなかった」「やだって言っちゃった」「私が無理にお嫁に来てもらったのに、教官が呆れてたらどうしよう…」 

     もしあの男が初心なおぼこに呆れて婚姻の解消を言い出すのならそれも良い。妹分は晴れて自分達の元へ出戻り、男には金輪際、師など名乗らせない。

     だがそれは、あの子の早とちりに過ぎない事は分かっていた。ようやく覚悟を決めたのなら、彼が今更彼女を手放すなど有り得ない。
     …しかしまさか、姉妹が乗り込んだ先で男が既に装束を整え座して沙汰を待っているなんて思わなかった。
     そんな暇があるならさっさと追いかけて来いと、それでも姉は憤っていたが、ミノトはそう出来なかった理由がなんとなく分かる。

     ……三行半を突き付けられるのが怖くて動けなかったのでしょうね。

     まあ気持ちは分かっても到底許せる事ではないので、ミノトは見ないふりして仕事に精を出すのである。せめて姉の怒りが解けるまでは。





    【急:ウツハン♀の成立を言祝ぐカムラお達者クラブの恐怖】


     集会場の天井から枝垂れる桜に紛れるように以下略。


    「やはり血は争えんゲコねえ」
     定位置のテッカちゃんの上、ゴコクは今日も絵筆を走らせている。題を付けるとしたらお仕置き雷狼竜。ギルドマネージャーゴコクの妙技が光る。完成したら掛け軸にでも仕立てて猛き炎へ結婚祝いにくれてやる所存である。

     ことの顛末は黙秘を貫くミノトからは聞き出せず、ヒノエの形相を思えばまあ想像できなくもない。愛情過多の雷狼竜が待ても聞かずに暴走した結果があれだろう。猛き炎も、歴戦のハンターといえど所詮里で育った箱入り娘。いなせるものでもなかったか。

     過去に思いを馳せる。フゲンもそうだった。昨日まで兄貴ヅラをしていたくせに、かの人と結ばれた途端態度が一変。切り替え、と言えば聞こえはいいが、要は土壇場でようやく気付いた自分の気持ちに体が付いて行かなかったのだろう。慣れない恋慕に戸惑いうろたえる男に、かの人が知らぬ間に距離を置いたのも仕方のないことだったかもしれない。

     フゲンは間に合わなかった。落ち着くために僅かに目を離し、気付いたときには全てが遅かった。
     だがウツシは違う。英雄たるあの子が努力と根性とトライアンドエラーでもってもたらしたハッピーエンド、あとはめでたしめでたし、で締めるのだ。
     そうなるように皆が尽力してきた。

    ゴコクは絵筆を置いて、ほうと息をつく。
    里のハンターは全て、ギルドマネージャーゴコクの子弟も同じなのだ。元が付いても同じ事。
    すべからく、皆幸せであるべきだ。






    「ウツシ、仕事だ」

     いかめしい声が掛けられると、ウツシがヒラリと天井から降りてきた。
     受付席のほうから聞こえよがしに舌打ちが聞こえるが是非もなし。これは仕事であって決して助け舟を出した訳ではない。誰ともなく言い訳してフゲンはウツシに向き直る。
     …今朝の騒動は聞いている。というか里中で何事かと噂になっている。何があったのか問い正したいが気持ちをなんとか抑え指示を飛ばす。

     大社跡で見慣れぬモンスターの目撃情報があったのだ。里に害が無いか調べなければならない。

     なに、なんなら里を挙げて派手にやりなおす予定の祝言で、何があったか聞出せばいい。あの酒はまだ残っていただろうか……。
     




    さて、めでたしめでたし、にははもう少し時間が掛かるようである。

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