猛獣といっしょ♡猫の日の話を聞いた先生が酒の席の流れで一日猫になった。
「ちょっとおっきくない?」
なんだか普通の猫より随分おっきい猫に。立ち上がったら俺よりも大きいかもしれない。がっしりした前足をソファに座る俺の太ももに乗せると、しっかりした重量を感じる。
「ぴゃ"ー」
「え、鳴き声それなの!?」
絶妙に低い割にちょっと響きが可愛い鳴き声に笑っていると、咎めるようにふわふわの長い尻尾が頬を叩く。
「ごめんごめん、しっぽもふわふわだ、触っていい?・・・って、うわぁ!」
触りやすいようにだろうか、びゃーびゃーと鳴きながら上に乗っかってきた先生にあわてて体を横に向ける。体おっきいから膝の上に乗せられないな、それはちょっと残念かも。
「ぴゃ"ー」
「どうぞってことかな、じゃあ遠慮なく」
ビロードみたいな毛並みを撫でると、首元に寄った頭からゴロゴロとやたら低いモーター音みたいな音がする。
「低っ、何今の音」
「がぅ」
とっさに離した手を先生のおっきな前足がくいくい引き寄せるから、大人しくされるがままに毛並みに戻す。肉球あったな、後で触らせてもらおう。ひとまず今は撫でることに集中する。毛並みを乱さないように、ゆっくり。
ゴロロ
あ、また鳴った・・・え、うっそでしょ。もしかしなくても先生が喉鳴らしてる!?
「せ、先生、気持ちいいの?」
「ぐるっ」
頷いた!
んんっ、これが人の形だったらこうは思わないんだろうけど、猫相手だとその反応が嬉しい。うろ覚えの猫の撫で方を頭に描きながら、指先を毛並みに滑らせていく。
ゴロロ
「足のほう?」
フシャッ
「嫌だったね、ごめん」
ぐる
「じゃあこっちだ!」
ちょっと楽しい、おっきい猫ちゃんの両頬をぐにぐにと揉めば、人なんて簡単に食いちぎれそうな犬歯がちらちら覗く。猫になっても攻撃力が変わらないあたりが先生だよね。そのまま滑らせて顎を撫でると、今まで以上に喉が鳴る、鳴る。
グロロロロ、ゴロロロ、ゴロロ、
「そ、そんなに気持ちいいんだ」
喉元すごいな。急所なのに、急所だからか?元々タルタリヤもちょっとばかし野生の気が強い人間なので、喉という急所を触れられて快感を得るということがどれほど信頼だとか信用に直結するかはよく分かる。
「ねぇ、首なんて撫でられて喉鳴らしちゃってさ、俺程度はどうとでも出来るっていう余裕?それとも俺が先生を傷つけないっていう信頼?」
「ぴゃ"ぁ」
聞いた言葉には人間の言語の代わりに鳴き声と、あと頬にザラリとした温かい濡れた感覚で返事された。
「ぅ、わっ!?」
なめ、舐められた!?
驚く間もなく、まるで同族へ毛づくろいするかのように優しい加減でまた頬をザラリと舐められる。どういう意味の行動なんだか、残念ながら猫を飼ったことがないタルタリヤには良くわからないけど、悪意は無さそうだ。
「ふふ、先生の舌、すごくザラザラしてるね」
笑うこちらに不満そうに鼻を鳴らして舐めるのを辞めたかと思えば、ウルウルと唸りながら頭を押し付けてくる。あ、もしかしてもっと撫でろってことか。
言われるままに撫でるとまたゴロゴロ鳴る音に気分がよくなって、いつの間にか瞼が落ちるまでその触り心地のいい毛並みを撫で続けていた。
ーーー◇◇
ざらり胸元に感じる感覚に目を覚ます。
「あれ?寝ちゃってた?」
「ぴゃ"ぁ」
「ふっははは!先生、なんて場所に居るの!」
鍾離先生の鳴き声がゆったりとした部屋着の中から聞こえて来て、胸元を見れば服の中から黄金の瞳がこっちを見てるじゃないか。人間の時にやられたら周囲一帯を更地にした自信があるが、相手は自分が生態をよく知らない猫という種族だ。
「もしかして動物だと部屋の明かりは眩しいのかな?暗いとこのほうが安心する?」
「びゃぅ」
「そっかぁ」
そういうものなんだろうな。弱肉強食と本能に生きる獣に関しては割合寛容な男なのが災いして、タルタリヤは己の服に潜り込んだ獣を受け入れる事にした。昔猫を飼っていた部下が服の中に入れて眠ると温かいと言っていたし、そういう生態なんだろうと。
服の上から撫でていると、またザラリと胸元を舐められる感覚がする。
ザリザリ、ザラリ
「あはは!俺は食べ物じゃないよ」
毛づくろいかな?もしかして仲間と思われているんだろうか、だなんてむず痒い気持ちは次の瞬間霧散した。
ザリッ♡
「ぅあ!?」
胸、の、先をざらりとした舌が舐めて、口から勝手に甲高い音が溢れる。
ザリッ♡、ざり♡
「あ、ゃ♡、ぁ、まって♡ちょ、せんせっ」
このあといっぱい獣姦したってさ