ライカブ本編後+マルシル:宰相見習いも人間見習い「なんだか疲れてるみたいだし、あなた少し休んだら?」
そう言ってくれたのはマルシルだった。
「お気遣い感謝します。でも大丈夫ですよ」
そう微笑んだら、「ほっぺたが引きつってるよ」と返された。
「別に体調が悪いわけじゃありませんし、理由もなく休むっていうのも気が引けますけど……」
「悪くなる前に休まなきゃ意味がないじゃない」
心配してくれるのは本当にありがたいけど、嬉しい提案ではなかった。胸に抱えた書簡の束が重い。だけど離したくなくてぎゅっと抱き直す。
「適切な休息が大切なのは重々承知なんですけど、実際どう休めばいいのかってよくわからないんですよね。部屋でごろごろするのは好きじゃないし、どこかへバカンスに行くと言っても、何をしに? って感じですし」
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