「……痛みますか?」
こういうことに男親というものは役に立たないのだと、ワイフーのときにもそう思ったことを思い出す。いや、流石に彼女の実父よりはマシだと思うのだが、しかしそれは問題の根源的な解決というわけではない。自分はどうやってもその痛みや辛さを理解することは出来ないし、どんなふうに気を遣うのが正しいのかもわからないのだ。
ベッドに仰向けになっていたドクターは、首だけをこちらに向けた。少し、と苦く笑う唇が呟き、それは自分を安心させるためのものだった。
「薬は飲んだからね、その内効いてくると思うよ」
月に一度は、こうして体調が悪くなる。とはいえでそれで仕事が休めるような立場と環境にドクターはいない。だからその分、仕事のないときは横になっている。せっかく君がいるのに申し訳ないな、とドクターが眉を下げたので、何を言っているんですかとリーは答えた。その語気は彼にしてはいささか強く、ドクターの心でさざ波だつ不安を鎮めるようだった。
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