長谷部と赤城の温泉ネタへし切長谷部と赤城が婚姻を交わしてから早くも一ヶ月が経った。互いの指に(長谷部は手袋の下ではあるが)指輪が増えたとはいえ、その生活はあまりにも変わらなかった。
何せ、長谷部の所属する羽鳥隊本丸は離島、赤城の所属する白蝶艦隊は本土に構えている。刀剣男士には基本的に海を渡る手段はない。赤城が本丸へ出向かねば、二人は会う事も叶わないのである。しかし。
「長谷部、いい加減意地張ってないで電報打って貰ったらどうだい? 逢いたいって」
茶をすすりつつ、燭台切りが切り出すと。
「だ、誰が誰に! 逢いたいなど!」
依然としてこの調子である。
本人たちだけでは収まらず、黒田組や正規空母たちまでも巻き込んでようやく結婚に至ったものの、相変わらず長谷部は頑なな態度を取り続けていた。
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