Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    sumi

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💙 💚
    POIPOI 18

    sumi

    ☆quiet follow

    ✎ 絵にならない妄想の書いたり消したり

    #北まこ

    北まこ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「僕さ絶対に氷鷹くんみたいなタイプの子と仲良くならないと思ってた」
    北斗の読書中に真が勝手に膝を借りてくつろぎ始めて間もなく。構わず放っていたのがつまらなく思えたのか真から急に声をかけられ、北斗が文庫本をずらす。眠たさで少しぼんやりとした表情の真と目が合う。眼鏡は外しているからすっかり寝る気で頭を預けているようだ。突飛ない発言の意図を見出そうとしたけれど、この眠たげな様子を見る限り意図も何もないのだろうと思い至る。
    「…俺みたいなタイプってなんだ」
    「凜とした優等生でみんなの中心にいてキラキラしてる…」
    「優等生はともかく、いつもみんなの中心にいたのは衣更で、キラキラしてたのは明星だろ」
    「ん〜〜初対面の印象はそうだったの。かっこよかったなあ、一年生の時の氷鷹くん…」
    当時の気持ちを思い返しているのか、うっとりしたように目を細める真に、思わず眉をひそめる北斗。
    「聞き捨てならないな、今の俺は当日よりかっこ悪いってことか」
    「う〜ん…」
    眠気が押し寄せてきたようで、聞いてないのか悩んでるのか曖昧に返す真。いよいよ瞼がとろけていく様に、無性に腹が立ってきて開いたままの文庫本の背表紙をおでこに急降下させる。
    「あてっ」
    「おい、寝るな」
    「いてて…ひどいよ氷鷹くん。あっ、昔の氷鷹くんだったらまずこんなひどいことはしないね、絶対」
    大袈裟におでこを押さえながら、むくれた顔をする真。そんな仕草はお構いなしに、ふんと鼻で笑ってみせる北斗。
    「それを言うなら昔の遊木だってこんなだらしなく俺の膝で寝たりしないだろ」
    「そんな、だって。無理だよ、恐れ多いです」
    「だからなんなんだ、その昔の俺への印象は…」
    「本当に君はね、何もかもが遠すぎて…怖いくらいだったんだよ…」
    そう言って笑う真は少し寂しそうに見えた。一体いつまでそう思っていたのか。聞きたかったけれど、口をついて出る前に北斗はその言葉を飲み込んだ。会話が途切れたそのひと呼吸の間に、真のまぶたはすでに閉じられていた。穏やかな呼吸に合わせて、胸が上下しているのが北斗にも伝わってくる。真のおでこをそっとなでる北斗。やっぱり赤くもなんともなってないけれど、これ以上ないほどのやさしい手つきでなで続けた。
    「俺はずっとお前と友だちになりたくて、仕方なかったんだがな…」
    「ふふ…」
    多分もう聞いてないだろうけど、寝言で応える真。文庫本を閉じてソファの肘かけに置く。膝の上で気持ちよく眠ってる真を起こさないようにソファのすみに体を預けて北斗も目を閉じる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    学校の休み時間、屋上に行く真。
    校内バイトをする生徒たちがせっせと大きな白いタオルを干している。木陰になっているベンチに腰掛けると、ちょうど風下になっているのかせっけんの匂いが鼻をかすめて心地いい。賑わう教室で過ごすのも楽しいと感じるようになったけれど、たまに気晴らしで屋上にくるのが好きな真。大抵は放送委員や部活動の雑務の帰りにふらっと立ち寄ることが多い。
    洗濯を終えた生徒たちが片付けをしている姿をぼんやりと眺めていると、干されたタオルが風に揺れる隙間から見慣れた黒髪と横顔が見えた。物干しを挟んで反対側にいたのは北斗だった。はっとなって、思わず立ち上がると膝の上のお菓子の箱が滑り落ちる。咄嗟に「あっ」と口をついて出た声は思いのほか大きくて慌てて口を押さえたけれど、洗濯物のはためく音にかき消されてかその向こうまで届かなかったようだ。そっと落ちた箱を拾い、ゆっくりとまたベンチへ腰を下ろす。
    校内バイトの生徒たちがバタバタと目の前を行き来している時は全く気づかなかったけれど、ふと耳に届いた声は校庭の方から聞こえる賑わう無数の声に混ざることなくすぐに北斗のものだとわかった。さすがにこの距離で言葉まで拾い上げることは難しかったけれど、手に持った台本とその立ち姿で演劇の練習をしているのは一目瞭然だった。
    どうしてだか気づかれてはいけないという緊張感で食べようと思っていたお菓子を開けられなくなってしまった。それに盗み見ているような罪悪感はあったけれど、普段ユニットで一緒にいる時とは違う空気を纏った北斗の姿に、その珍しさからか目が離せなくなっていた。
    予鈴が鳴ると北斗は台本を閉じ屋上の出入り口へ足早に向かっていく。慌てて見つからないようにベンチの奥へ身をかがめる真。扉の閉まる音がして、真も少し間を空けてから急いで教室へ戻る。教室に駆け込むと本鈴のなる直前で、思わず北斗の席に視線が向いてしまいぱちりと目が合う。
    「遅かったな、もうはじまるぞ」
    「えっ、あ、うん…!」
    急に胸がドキドキする感覚があったけれど、多分小走りに戻ったからで。でも席についてしばらくしてもなかなかそれは収まってくれなかった。


    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    愛しい朝のレシピ。
    下ごしらえにベッドシーツや枕は前日に遊木が好きな香りの柔軟剤で洗っておく。時間がなければコインランドリーもいいが、たっぷりの日光で干すのが良い。前日および当日の天気も重要となるため、両日天気が悪い場合は見送ることも必要。当日はお互いに仕事がない日であることも条件。
    また、前日の夜は遊木がストレスなく熟睡できるようゆっくり風呂に入れて湯冷めしないうちにベッドに向かわせる。ゲームで夜更かししないように誘導したいが、無理やり取り上げるのは厳禁なので、就寝の一時間前までを目処にゲームを切り上げてもらえるように一緒にゲームしようと誘っておくなどあらかじめ段取りを決めておく。ゲームの代わりに風呂上がりの高級アイスを与えると比較的素直に聞き入れてくれるので、新作ゲームに没頭している時期などは事前に用意しておくと安心。ただし冷凍庫に長く入っていると遊木がいつ食べられるのかと次第に落ち着きをなくしてくるので直前に用意すること。また、就寝前にたくさん愛でておくのも大事だが、予想以上に良い雰囲気になっても朝まで情事に耽るのは遊木の疲労に繋がるため控えめを心がける。
    翌朝、普段より早めの起床をして遊木を起こさないようにベッドから出る。目覚ましのアラームはかけないようにするのが望ましいが、難しい場合は遊木を起こさないためにやわらかいメロディの音源かつ控えめのボリュームを設定すること。
    ゆっくりとカーテンを開けて、朝の日差しを取り込む。強く光が差し込む場合は全開にせず、遊木の顔に陽が当たらないように注意する。冬場で部屋の空気が冷えている場合は弱く暖房をかけておく。
    部屋を移動して朝食の支度をする。調理の際の物音を最小限に抑えるのはもちろんだが、寝室の扉は少し開けておく。調理中に遊木の目覚ましが一度鳴るので、アラーム音が止む気配がなければ止めに行くこと。この時、目覚ましを遊木が自力で止めてもまず起きてくることはないので調理は継続する。メニューは温かいものであれば和洋どちらでも問題ないが、香ばしい匂いが漂う焼き魚や目玉焼きなどがあれば尚良い。また和洋どちらの場合もコーヒーは淹れておく。ドリップコーヒーを淹れる際の匂いや音も重要だが、万が一用意がない場合はインスタントでも代用可能。
    調理がひと段落つき朝日がほどよく昇ってきたところで、テレビの電源をオンにしてニュース番組を流しておく。遊木の二回目の目覚ましが鳴ると起きてくる可能性が高いため、二回目が鳴る前にここまでの工程を終えておくこと。
    一旦寝室に戻り、起床時のカーテンの開きが足りなければ調節をして、遊木をたっぷりの日差しであたためておく。独り占めしたベッドで大きく寝返りを打っている遊木を確認して、むにゃむにゃと言って眠りが浅くなっていれば起こす頃合いだが、まだ深く眠っているようであれば少し待つ。
    遊木が起こす頃合いになったら、就寝中に乱れた髪を整えるようにやさしく撫でてやる。これだけでは起きないので頭を撫でながら「遊木、朝だぞ」「そろそろ起きろ」など声をかける。遊木が良い目覚めになるよう、顔を近づけてゆっくりとささやきかけるような声を心がける。声をかけてもふとんの中にもぐってしまったり「あとちょっと…」など起きようとしなければ、無理に起こさずにすこし二度寝させてやる。目覚めが浅ければ、朝食の匂いがじゅうぶんに漂うように寝室の扉を広く開けて、空気も流れるよう窓を少し開けておくのも良い。
    起きる気配を見せたら、目覚める直前に頬やまぶたにそっとキスをしてやる。まぶたを開くと「…ふふ、おはよ。氷鷹くん」とまだ眠たげにこちらを見つめてくるので、愛情を込めた眼差しを返して「おはよう。よく眠れたか?」と声をかける。ここでまた微睡んで眠りに入りそうになったら、今度は軽く覆いかぶさって「こら、もう起きるんだ」とじゃれ合うようにくすぐったりたくさんキスをして眠りを妨げること。「ちょっと、もうっ…わかったから〜…!」と遊木がくすくす笑い始めたら止め、可愛いからとしつこくやりすぎないよう注意する。
    遊木が寝惚け眼をこすりながら上半身を起こしたところで、また髪を撫でて整える。気持ちよさそうにしてきたら、仕上げに額・頬の順に顔まわりにかかった髪を除けてやる。そのまま頬に手を添えると、遊木がゆっくりこちらを向くので、見つめあったままゆっくり顔を近づけていく。あたたかい朝の日差しと朝食の匂いに包まれながら口づけをする。いっぱいの愛しいで満たされた朝のできあがり。


    お日さまの匂いになった真を吸うためのレシピだったけど吸わなかった北斗。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    スマホのインカメでツーショットで撮ろうって話になった時に「レンズから少し視線をずらしたら多少じゃないか?」ってアドバイスくれる北斗。北斗にスマホは委ねているけど、ずらすにしてもやっぱり意識しちゃって表情もさだまらない真。「ええと…」「こことかどうだ?棒グラフになってるこれとドリルになってるこれ…」「え、ドリルってなに?」「む?これだ、これ。乾電池の隣にいる…」「えっ、WiFiアイコンのこと!?」北斗が指差した先を見た真が驚く。「扇ならまだしも…いや、ドリルにも見えなくはないけど…?」北斗の口から聞く予想外のワードにじわじわと笑いが込み上げてくる真。カシャっと音がしてはっとなる。「ほら、なかなか良く撮れてないか?」「あ、ほんとだ…」フォルダに保存された写真を北斗が開くと、すっかりレンズのことは忘れた自分の顔が写っていた。
    次から思い出してくすっとなると表情が和らぐんだろうけど、真面目な顔で写したいときにちょっと手こずるようになる真。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    割りきれない食べ物を真に譲りたがる北斗。からあげとかクッキーとか。半分こできたら分けて食べるけど、大きい方、中身が多く寄った方を当たり前のように渡してきそう。いつも自分ばっかり得してる気がするってもんもんしてる真をよそに、最後にひとつ分嬉しそうに食べてる真をゆっくり見ていられるから得してるなって北斗は思ってる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    夜遅く真が「駅ついた」ってメッセージ送ってすぐに既読がついて「迎えにいこうか?」って北斗からメッセージが届く。ずっと待っててくれたんだなあって嬉しくなる真。大丈夫、まで打ち込んだところでやっぱりぽちぽち消して、通話のボタンを押す。ひとつコールしたあと繋がって「どうした?」って少し慌てた声色の北斗の声が受話口から聞こえる。「ごめん、お迎えは大丈夫だけど声聞きたいなって…」「すぐ着くだろ」「え〜〜?それお迎え聞いてきた氷鷹くんが言う?」ってくすくす笑うと、確かになって北斗もつられてくすくすと笑う。それから今日の仕事のこととか、他愛もないことを話してたらあっという間にマンションの前に着いてる真。慣れ親しんだ道は何も考えてなくても目的地まで辿り着けちゃうのってすごいなと思う。エントランスまで行くと北斗が待っていて、内側から自動扉を開けてくれる。通話中に移動した感じはなかったから、電車の時間に合わせて降りてきてくれてたみたいでまた嬉しくなる。「おかえり」って声が少しズレて重なって、「ただいま」って言った声もおんなじで2人でふふって笑ってしまう。通話を切ってスマホをしまって、部屋まですぐそこなのに手を繋いで帰った。

    同じユニットなのに別々の仕事多い同棲北まこ

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    すれ違いの日々だった北まこリベンジナイト。今日は絶対氷鷹くんといちゃいちゃしたい真。
    真は休日だったけど、でも疲れてる北斗を急かしたくないから北斗の「今日も遅いから気にせず寝ててくれ」ってメッセージに「はーい。気をつけて帰ってきてね」って返す。ご飯もお風呂も身支度は全部済ませて、ベッドでのんびりしながら待ってる。今日は天気も良くて干したふとんもふかふかで、思い切って洗ったシーツもいい匂い。北斗をベッドに迎える準備は万端で、ひとり顔が緩んでるのに気づいて恥ずかしくなる。
    ガチャリと鍵が開いて扉の閉まった音が玄関の方から聞こえる。あ、帰ってきた…ってドキドキが楽しみから緊張に少し変わる。扉の向こうにいる北斗の気配に耳を傾ける。鍵を木製のトレイに置く音、コートをハンガーに掛ける音、冷蔵庫を開けてガラス製のコップに注ぐ音、それを飲んで喉が鳴らす音、寝ているの恋人を気遣った静かな足音。覚えてしまった恋人の帰宅後のルーティーンが扉越しに遮られた音も脳内で再現していた。ごはんは食べてきたって言ってたから、今からお風呂に入って、1時間後くらいかなってそわそわしはじめる。
    インターネットでリサーチをしていたら思いのほか北斗が寝室に入るまではあっという間で、ドライヤーの音や電気を消すスイッチの音からもうすぐだ!と思いはやめにスマホはサイドテーブルに寝かせてあっためておいた布団を整えてたところで、寝室の扉がそっと開く。
    「ん…?」と灯りの差し込む様子に目をしかめる北斗。「おかえり、氷鷹くん」「ただいま。…なんだ、まだ起きていたのか」呆れた様子でもなかったけれど、真が眠っていると思い込んでいたのもあって完全に油断しきっていた様子だった。ふう、と一息ついてふとんの中に入る北斗。2人ともベッドボードに背中を預けて座ってる。外泊や仕事の時間のズレでこうして起きてる時間に会うのは久々で、少し距離感がぎこちなく思える。真が「えっと、電気消す?」って聞くと「いや、まだ…」と真の顔を見つめる北斗。眠たげな目にも見える。北斗の手のひらが頬を包んで、キスされるかな…って思ったけど、撫でるように触れるだけだった。「久しぶりだな。元気だったか?」「うん…」久しぶりだからか、気持ちがはやりすぎてるのか、どうやって誘うんだっけ…って考えはじめちゃう真。
    「…今日は、もう寝ようと思う」「えっ」突然の北斗のおやすみ宣言に、あれこれやましいことを考えていたのが悟られてしまったのかと思い、真の表情が一瞬で焦りに変わる。頭の中でぐるぐると考えていたら、急に北斗が抱きついてきて真逆の展開にパンクしちゃう真。「えっ、わ…、ひ、氷鷹くん…!?」「本当は、この先もしたいんだが…」「う、うん…?」「…すまん。あまりにも、…眠い」北斗の顔がぐりぐりと真の首筋に埋もれていく。眠たいと起きてたいでぐずってる子どものようにも見えて、なんだかかわいい。北斗の背中に腕をまわしてやさしくぽんぽんとする。「もう、今日は絶対やるぞ〜って思ってたのになあ」「すまん…だが寝落ちてしまう、ぜったい…」「確かに。すでにダメそう…」「むう…」北斗を抱きしめたまま、腕をのばしてサイドテーブルから照明のリモコンをとる。電気消すよって言葉の返事は唸るように曖昧で、すっかり真に体も預けきってもう寝てるようでもあった。消灯のボタンを押して部屋の中がふっと暗闇に包まれる。真は北斗を抱きかかえながら滑るようにもそもそとふとんの中へ入っていく。
    「氷鷹くん、寝ちゃった?」「ん…まだ、」「ねえキスだけしていい?」ダメもとだったけど、ちょっともったいなくて聞いてみたら、暗がりのなか北斗の目が開いたのがわかった。返事があったのかはわからないけれど、北斗の顔がゆっくり近づいて、先ほどと同じようにやさしい手つきで頬をなでて、今度はちゃんと唇が触れる。ふわりと重なったあと、北斗の手のひらがわずかに真の頬を引き寄せたのを合図に、どちらからとなく唇を深く重ね合わせ、口づけに溺れていく。時おり漏れる息とシーツの乱れていく音がたまらない気持ちにさせる。惜しむように唇を離したけれど、呼吸がみだれて目元がうるむ北斗を見て、真がまたやさしく抱きしめる。「遊木…、」「…今日はもう寝よ」もう一回したら止まらなくなっちゃうなって思う真。腕のなかから「ん…」と頷く声が聞こえる。しばらくは鼓動が早くて、聞かれちゃってそうと思ったけど多分氷鷹くんも同じ音なんだろうなってぼんやり考える。だんだん熱と鼓動がおさまってきたころ、ひと足先に北斗の規則正しい寝息が耳元で聞こえてくる。それが子守唄みたいで、真もまどろんでくる。ふとんをふかふかにしておいてよかった。そう思ったところで真も眠りに落ちる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    冬の夜。お風呂からあがった後、寝る前にゲームにしてる真。「湯冷めして風邪ひくぞ」って北斗が小言を垂れるのも「ん〜、あとちょっと…」ってなま返事。北斗は呆れ顔で先に寝にいってしまう。
    そのままゲームに夢中になってる真。気づいたら体が冷えてきちゃってて、お風呂は多分もうぬるくなっちゃってるだろうし、追い焚きはもったいないし…って諦めてベッドに向かう。さっき注意された罪悪感から布団の中でぬくぬくと寝てる北斗に寄るのも悪い気がして、布団の端だけ体に掛けるように横になる。はみ出そうになっている背中が寒くて体がこわばる。
    早く寝てしまおうとぎゅっと目を瞑ると、ごそごそと布団が動き北斗が寝返りをうったのがわかった。起こしちゃったかな…と心配していると、寒さに握りしめていた手のひらをあたたかさが包み込んだ。
    「ほら、やっぱり冷えてるじゃないか…」
    声をかけられて真が目を開けると眠そうな不機嫌そうな顔の北斗と目が合う。北斗は冷えた真の手をあたためるように握ったりやさしくさすったりしていた。いつもは自分より体温が低い手なのに、今は冷え切った手が北斗の手にあたためられているのが不思議な感覚だった。
    「ごめん、起こしちゃって…」「いいから、もっとこっちにこい」「でも…」
    真が躊躇っていると「ほら」と北斗が自分の懐にひとり分のスペースをつくってみせる。今にも寝落ちそうなのを我慢している顔が不意打ちに可愛かった。その全部の誘惑に負けて、真がもそもそと北斗の懐におさまりにいく。すり寄ってきた真をゆるく抱きしめて「冷たい…」とむにゃむにゃと微睡みながらぼやく北斗。多分もうほとんど寝てしまってる。北斗のぬくさで真もうとうととしてくる。同じように北斗の体に腕をまわして抱きしめる。深く呼吸をしたら北斗のにおいがいっぱいして、そのまま真もおやすみ。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    スマホの顔認証のことよくわかってない北斗。
    「おいお前、遊木によく世話してもらってるんだから顔ぐらい覚えたらどうなんだ?ばかなのか?」「その子はちゃんと賢いよ。氷鷹くんはばかだけど…」

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    炊き立てのご飯に甘めのレトルトカレーをかけて食べるの、きっと北斗は好きだと思う。
    冷やご飯のストックがなかったからお昼から炊いたご飯にレトルトカレーは安売りしてたプライベートブランドの買い置きだから、真は湯煎したパウチの封を切ってご飯にかけながら「なんかもったいない…」って言う。でもなんだかんだひと皿ぺろっと食べきっちゃって、北斗も物足りない感じだったから、2人でもうひとパックだけ…ってもう一回お湯を沸騰させて作り始めてる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    真と北斗が立ち話とか並んで歩いてる時。真のスマホに着信が入る。多分すぐ終わると思うからごめんねって北斗に断って、真が電話に出る。手持ち無沙汰になる北斗。でもあんまり電話してる真も見かけないから意識が向いてしまう。会話はなるべく聞かない方がいいだろうなって思案する。
    真は手に持ったスマホを肩でおさえて、リュックの中をごそごそと探りはじめる。スマホが不安定で気になる。手を貸してやろうとして北斗が一歩近づいたところで、真の耳元からするりとスマホが滑る。あっと言う声とスマホを追いかけた2人の手が重なる。北斗が咄嗟に差し出した手の方がわずかに速く、僅差で真の手がその手を掴んじゃってる。通話中だと思い出してはっとなる北斗。早くスマホを渡さなねば…って焦るけど、何事もなかったように真が北斗の手を握ったそのままに、スマホごと引き寄せて再び耳に当てる。
    それどころか「あ、すみません!スマホ落としちゃって〜…」って会話にもどって、北斗は何してるんだ意味がわからんって書いた顔して真を見てる。会話は止めずに、真が視線だけ北斗にむけて、にやって挑発めいた笑みをみせる。北斗がこいつ…って眉間に皺を寄せるけど、真が電話口に声をかけるたびに手首にかかるなま温かい吐息が妙な気分にさせるから、顔が赤くなりそうになるのを目を逸らして必死に隠そうとする。
    通話が終わって「ありがとね」ってにこにこする真に「お前なあ……」って頭抱える北斗。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    付き合ってない北斗と真。放課後のチャイムが鳴るのと同時にわたわたとリュックに筆箱やノートを放り込んでいる。焦る様子ではないけれど、嬉しそうに頬がゆるんでるのが妙に気になる北斗。真は今にも鼻歌を歌い出しそうなほどで、ちょっと腹の奥がむかむかしてくる。
    「そんなに急いでどうした。デートの約束でもしてるのか?」って茶化すように尋ねてみる。手を止めて、ぱっと顔をあげる真。その手はちょうどリュックのファスナーを締めて、椅子から立ち上がってもう教室をとび出せるよう万全だった。そんなすんでのところで遮られたのにも関わらず、その表情に不快な色は一切なかったのが意外だった。きょとんとしてる。引き止めてやろうと、すこし意地悪だった北斗はその表情を見てばつが悪くなる。
    「残念だけど、この後はおひとりさまなんだよね。今日はゲーセンに新しい筐体が入る日だからお試しついでに遊びに行こうと思って……」いつもゲームの話をする時に北斗が「やりすぎだ」って顔をしかめるから、ちょっと居心地悪そうに笑う真。いっぽう北斗はあの嬉しそうな顔がゲームに向けられていたのがわかって、ちょっと安堵してる。
    北斗が「引き止めて悪かった、楽しんできてくれ」って送り出そうとしたら遮るより早く「…でも氷鷹くんが一緒にきてくれたらデートになるね」って真が嬉しそうに言うから北斗が固まる。「デートの約束してなかったからダメかな?」って付け加えた時の顔、ちょっといたずらっぽく笑ってる。「ダメじゃないが…」って答えると「やった!」って喜ぶ真がさっきより嬉しそうに見えて、都合がいいなって思う。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    いま手繋いでも良いかな…ってタイミング探る真。信号待ちの横断歩道とか。北斗は全然気配を察したわけじゃないけど、ふと視界に入った真が難しい表情してるから視線の先を追ってみると自分の手がある。それに気づいて、また視線を戻して気づかないふりをする北斗。さりげなく指先で真を探して、触れて絡めてみる。「あっ」って真が少しおどろいて、また視線だけ向けると今度は目が合う。「手を握りたかったんだが、よかったか?」って素知らぬふりして尋ねてみると、「僕もね、今そう思ってた…」って照れながら嬉しそうにして、そのまま軽く絡んでた指をぎゅって握ってくる真。信号が青にかわって、嬉しさにちょっと手を振りながら歩くかも。かわいい。こうしてたまに以心伝心ごっこしてる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    運命大好きなので、Xdayの圧倒的な運命羨ましいな。羨ましいも全部ひっくるめて「この先の氷鷹くんの運命ぜんぶ僕にくれる?」って言われたらきっとプロポーズ。
    真自分の生い立ちをスバルくんと重ねて自分のこと下位互換って思ってた時期ありそう。運命と奇跡に憧れすぎる。羨ましいけど妬ましくはない。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    毎日お昼時になると12時17分待っちゃう真可愛い。北斗は早入りの時は4時30分にアラームかけたりするかも。生活の中にお互い意識する何かがあるのっていいな。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    同棲したら一緒の匂いになると思ってた。洗濯洗剤やせっけん、ほとんど同じ食べ物を口にして、お互いの匂いを分けあって。それでも氷鷹くんの匂いって全然自分のとは違くて、他人なんだなって嬉しくなる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    北斗が帰ってくると、たっぷり陽の光が差し込む部屋で真が気持ちよさそうにソファに横になってうたたねしてる。扉をゆっくりと閉めて、帰り道スーパーで買ってきたものをなるべくこすり合わさないよう取り出しながら、ひとつずつしまっていく。袋菓子は後で片付ければ良いだろう。つけっぱなしのテレビは消そうか迷ったけど、うたたねしている真にとっては子守唄みたいなものだから音だけ小さくしておく。鞄の中から文庫本を取り出す。ソファは全面取られてしまったから、ダイニングの椅子に腰掛けて本を開く。顔を上げなくても、視界の隅に寝ている真の気配を感じる。その気配を乱さないようにページをめくる指先まで意識が向いている。愛してるなってこういう時、たまらなく思う。残りのページも残り少ない。図書館で借りたこの本は期限がもうすぐで、日が暮れる前に遊木が起きたら散歩ついでに一緒に返しに行きたいなと思う。その時は手を繋ぎたいなって思う。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    ペアリング買った話。北斗は見せびらかしたいがすぎて指にはめてるけど(一応匂わせないところに…)、真は一向にはめてる気配がない。まあバレるからか…でも遊木は特にいらなかったかもな…って北斗が思いはじめる。(残念だけどアイドルだし仕方ないなと言う感じ…)
    とっても良い雰囲気の夜、真に覆い被さって首筋にキスをかさねてく北斗。リングをはめた北斗の指が服の上から体の中心を撫でるように這っていく。シャツのボタンをひとつ外すと、鎖骨のくぼみに細い銀のチェーンが滑り落ちる。
    「遊木、これ…」
    「あっ…ごめん、外すの忘れてて…」
    北斗の指が真の鎖骨から胸に向かうチェーンをなぞっていく。その先の、胸元に一番近いところに、北斗の指にはめられたリングと同じリングが通されていた。
    「てっきり、しまってあるのかと…」って北斗が居心地悪そうにすると、真が察して眉を下げる。「ごめんね。気にしてたよね。でもなんていうか、これは…その…」恥ずかしそうにして口ごもる真。こんな姿で照れた表情で上目遣いになるから北斗の体にいっそう熱がこもる。
    真が、北斗の指に自分の指を絡める。「あのね、…こうして胸にかけてると、なんていうか、ずっと君にこう、…触れられてる感じがして、それがよくて……」
    氷鷹くん指先の体温が低いから、指輪のつめたさが…余計に…って付け加えるころには、真の顔もたまらず真っ赤になってる。
    続きがない。北斗が真のリング越しに胸に口づけして触るだけじゃ物足りないからとか言う。毎日つけてるのにこれじゃ日常生活に支障が出るからやめてほしい。とりあえずこのあと北斗がめちゃくちゃに真を抱く。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    朝食中の向かい合ってる2人。割と長く付き合ってる。北斗の箸づかいとか食べ方が綺麗で、真無意識に視線が口元に向かう。じっと見つめすぎてて、北斗が「誘ってるのか?」って綺麗な所作を続けたまま言うから、そんな突拍子もない発言さえもきれいな声だなあってぽーっと考えてたのも束の間で「はあ…!?」って我に帰って顔真っ赤にする真。(台パン)「こら、行儀が悪いぞ」って北斗にしれっと返されて「違うし!それ氷鷹くんに言われたくない〜…っ!」ってむきになるけど、何食わぬ顔で「そうか、残念だな」ってお味噌汁のお椀を口もとに運びながら視線だけ向けてくるからまあエロい。ううう…ってなっておさまらない真だったけど、だんだんしぼんでくようにイスに座り直す。しばらく朝ごはんを無言で食べながら「……違うけど、今日いつ帰るの…?」「なるべく早く帰るようにする」「…うん」って会話しておわり
    (北斗優位のお誘いもいいな〜……)

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    北斗ってデパートのバレンタインのフェアのことチョコレートの催事って言ってそう。言わないか。
    この時期の真はいち早くフェアの冊子手に入れて浮き足立ってる。教室内で最も真の机の周りに人の群れができるイベントのうちのひとつ。(多分Swi…chとかの新作ゲーム最速でやってるときも人が群れる)
    北斗と帰ってるときも冊子一緒に見よ〜って言ってくるし、真が嬉しそうにしてるの見て北斗も嬉しそうにしてるから「氷鷹くんも興味あるなら今度一緒にバレンタインフェア行ってみる?」って真が誘ってくる。思わぬデート?のお誘いに「いいのか?!」って食い気味になる北斗。そんなにチョコ好きだったんだ氷鷹くん…って真がびっくりしてるけど北斗が好きなのは遊木です。2人は付き合ってない。あとまだ2年生かも。
    会場について「ライブ会場よりすごい熱気だ…」って北斗がビビってる。すごい人がひしめき合っててみんな必死だからたぶん誰もアイドルいても気づかない。慣れた足取りで試食を堪能しまくる真可愛い。北斗がこんなにもらって良いのか…買わなくて良いのか…とめちゃくちゃ躊躇いそうなのも可愛い。 気に入ったのだけ買わせてもらえば良いんだよ〜って真に笑われてる。時々、ショップとタイアップしてるアイドルを見かけて真が「こういう企画こないかな〜」って言ってる。真がタイアップしたい(という名の好きなブランド)ランキング付けてる。誠矢さんタイアップしてて撮影で来てそう。北斗と誠矢さんはお互いに気づいて北斗が真の手を引いて逃げようとするけど、「お邪魔しませんから心配せず」って気づかいのメッセージがまた癪に触る。声かけたらブチ切れだけどそもそもこの場に存在するなと言う気持ち。真は相変わらずあま〜い♡おいし〜♡無双でスキップしてる。
    手ぶらで帰るのも…と思って、北斗は特別気に入ったのをおばあちゃんに買ってる。真もおこづかいの許す範囲でいくつかピックアップしてようやく買い物が終わる。
    帰り際に催事場内のイートインできるショップでおしゃれなチョコレートアイス食べてほしい。「これは…戦場だったな……」「ふふ、お疲れさま。いっぱいもみくちゃにされたから、つめたいアイスも最高だなあ」食べながら写真撮ってSNSあげたらスバルくんに「2人だけずるい!」って即メッセージきそう。「お土産あるから許して!」って北斗と2人で買ったチョコレートの写真も送る真。
    「来年はみんなで一緒に行こうね!」
    「いや、今度は俺たちがタイアップするんだろ?」
    「おいおい北斗また勝手に仕事決めたのか?」
    「来年のショコラフェスの話?まじのブランドタイアップ?今年ホッケ〜パパもやってたもんね!」
    「いやいや氷鷹くんが言ってるのはただの僕の願望〜〜〜!!」
    「あれは関係ない。遊木がやりたいならやればいいじゃないか」
    北斗がスマホにぽちぽち打ってると隣の真が「もう!そんな簡単にできるわけないじゃん〜〜!!」って叱ってくる。北斗は「遊木が今日すごく幸せそうだったから、これをファンにも見せられたらと思ったんだが…」ってしょんぼりするから、それはずるいよ氷鷹くん…って黙らされてしまう真。
    帰り道、口の中が甘くて幸せな真。ここで北斗、真が誰に買ったチョコレートなのかがすごく気になり始めてくる。お世話になった人にとか自分用もあるようだったけど、全部把握しているわけではないから、もしかすると特別な人に渡すチョコレートもあの中にあるのかもしれない…と不安になる。真が「あ、そういえば…」と立ち止まって紙袋のひとつを北斗に差し出す。「これ、氷鷹くんに。今日は…ううん、いつもありがとう」って照れくさそうにはにかんでる真。たぶんこれ、真が一番気に入ってたチョコレートで、自分用かと思ってた北斗は色んな意味で「いいのか、俺がもらっても…?」ってためらいそう。「もちろん!氷鷹くんのこと考えて選んだんだからもらってほしいな」って渡してくれる。あんなに幸せそうな顔してた時に、自分のことを考えてたのか…っておどろく北斗。だんだんにやけそうになり堪える。「でもみんなには内緒だからね?」って可愛く言われて絶対告白しようと決心する。
    これを除いてもまだあの手にいっぱいの紙袋の中により特別なチョコレートが隠れているのかもしれなかったが、北斗はそれもどうでもよくなってしまう。「ありがとう。ホワイトデーはお返しさせてくれ…。俺も、お前のことだけを考えて選ぶから…」北斗がまっすぐ真を見てそういうから、真はちょっとびっくりして、でもすぐ満面の笑みで「うん!たのしみにしてるね!」って返す。
    この世界線、2年生のホワイトデーで結ばれてしまいそうだけど大丈夫?まあいっか…

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    北斗が仕事で家をしばらく空けててすれ違いになってる同棲北まこ。次の日やっと一緒の休み。(やったね!)

    真が先に帰ってて、北斗は帰りも遅くなるから「明日ゆっくりすれば良いから先に寝てて良いぞ」ってメッセージきたけど意地でも待ってるぞって意気込んでる。が、真もお疲れでうっかりソファに座って寝ちゃってたところに北斗が帰って来る。起こしたら悪いと言う気持ちよりも先に、久しぶりの真にたまらず抱きついちゃいそう。流石に起きちゃった真「ひだかくん、おかえりぃ…ひさしぶり…」とかうにゃうにゃ言いながらぎゅってし返す。「ああ、ただいま。すまなかったな、ベッドまで連れて行くから今日はもう寝てくれ」って北斗がいうけど、抱きついた腕を全然離す気配がない。北斗がどうしたものかと困り始めて「俺も風呂に入ったらすぐ行くから…」と諭したら、「いっしょにはいる…」って返されて北斗頭抱えてる。でも真眠くてゆらゆらしてて全然自分で歩こうとしないから手繋いで連れてく北斗。(部屋の中なのに手繋いで歩かせるの好きだな…かわいい〜…)
    脱衣所でも北斗に服脱がしてもらう真。情緒も何もない。体も洗ってあげる。たぶん合宿とかでお世話済みなんだろうな。ここまで全然性欲わきたたない北斗。完全に真のこと幼児扱いしてる。(むしろ眠たいと甘えたでかわいいな遊木は…ってご機嫌ですね?)
    北斗が後ろから真を抱きしめるような感じに湯船に浸かってる。北斗も疲れたしこのまま寝て明日遊木とゆっくりすごそう…って少しうとうとし始めたところ、体を自分に預けてた真が急にもぞもぞって動き始めて湯船を波立たせながら北斗と向かい合わせになる。眠たさに虚ろな表情の真だけど、濡れた頬が熱ってる様が色っぽい。北斗の肩に手を滑らせてバスタブに押し付けるように体重を預けてくる。気が抜けてた北斗、体勢を少し崩して真が馬乗りに近い状態になる。「おい、遊木…、」って制止しようとしたところで、真の唇で強引に口を塞がれる北斗。そのまま湯船でいっぱいご無沙汰のキス堪能したところで、真が先にのぼせと眠気で軽くダウン。慌てて北斗が救出。ベッドに運ばれて、のぼせた真北斗に冷まされる。一緒にお風呂入ってたのに北斗の手はやっぱりひんやりしてて気持ちがいい。「氷鷹くん、ねえもういっかいだけ…」っておねだりする真。眠気のピークは越したから、ちょっと恥ずかしげ。「もう一度したらちゃんと寝るか?」「うん…」「わかった」って唇にキスしてくれる。持ってきていた濡れタオルを片付けに行こうとして立ち上がり、もどかしそうな真の髪を撫でておでこに優しくキスする北斗。「おやすみ、遊木」「うん、おやすみ氷鷹くん…」って言い終わると同時に限界が来て寝ちゃった真。北斗も寝支度を終えて、真を起こさないように静かにベッドに入る。しっかり寝てることを確認して、真の頬に触れる北斗。熱っぽさはすっかりなくなって、気持ちよさそうな寝息にほっとする。もう大丈夫そうなので布団を深くかけてあげる。ひと段落して北斗もだんだんとまどろんできて目を閉じたらすぐ寝てしまいそうだけど、しばらくぶりの真の顔をもっと見ていたくて寝るのももったいなくてしばらく眠気に抗ってる。眼鏡をしてない真、無防備にも深く眠りについた寝顔は幼くてかわいい。でもさっき湯船で押し倒されたときの顔がよぎって体が熱くなるのをいかんいかん…とおさえつける。余計なことを考え始める前に、もう寝よう。目を閉じる前に真のまぶたに軽く唇をあてる。ゆめを見はじめたのか真が気持ちよさそうにむにゃむにゃしてるのに満足して、北斗も眠りにつく。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    付き合うかな〜って時期の北斗と真に2人でデ…ズニー行って欲しい。バレないように変装してお忍びで行って欲しい。でもお揃いのカチューシャつけてたら可愛いよね。浮かれすぎかな?って真が迷ってると北斗の方がせっかくだから一緒につけたいって言ってくれる。(やった〜!)ミニーちゃん青ドットカチューシャ可愛いから良いと思います。ぽんぽん耳の青チェックキャップも可愛かったけどこれでバレずにコーデしてください……。
    パークの人混みで絶対何度か手を繋ごうとするし、何かの拍子に合法的に手繋ぎするから罪深い。真が「絶叫系コースターでみんなが手を離して乗ってるの楽しそうで良いなって思うんだけど…でもちょっと怖いから手握ってもらっても良い?氷鷹くん…?」っておねだりして握らせる。ビッグサ…ダーマウンテン。あとスペ…スマウンテン暗いし怖くて握っちゃうかも。確信犯。
    真にポップコーンのバスケットでかいの持っててほしい。あとチュロス食べる?って真が差し出すと、手で受け取らずに直にパクってしちゃう北斗、無意識だけど真の顔に大接近しててアウト。真が顔真っ赤にして「氷鷹くんお行儀悪いよ…」ってチュロス丸ごと押し付けてくるから、怒ったのかと思ってちょっとおろつく北斗。
    グリーティングは真がずっと抱いてたいな〜♡って言ってて北斗がちょっとむっとしてる。
    北斗、すれ違いった人とぶつかった拍子に相手がかばん落としちゃって、散らばった物を一緒に拾う。しゃがんだままの北斗が手渡しした時に顔が近くなって相手が「あっ、!(氷鷹北斗くんだ…!!?)」って気づくんだけど、北斗が困ったように微笑んで「すまない。今日は大事な日で、アイドルじゃないんだ」って真にも聞かれないようにささやいくるから心の中できゃーーー!!ってなっちゃうね。ささやかれて腰抜かしそうになる相手にそっと手を差し伸べて立ち上がらせてあげる。「あなたも良い一日にしてくれ」って結局アイドル顔するから無意識のファンサに爆上がり。
    ディ…ニーご無沙汰すぎて解像度低…。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    付き合ってる北斗と真の大げんか。半同棲でも未満でもいいけど、北斗の部屋にだいぶ馴染んでったころの真。北斗から合鍵もらってる。多分一緒に買ったおそろいのキーホルダーがついてる。
    真がムキになることがあって、北斗はたぶん真に対して酷く言い返す感じではないんだろうけど、それがまた気に障って爆発する真。「氷鷹くんなんてもう大っ嫌い!!ばーか!!!」って飛び出して、動揺した北斗が慌ててあとを追いかけた頃にはもう姿が見えなくなってる。真足は遅そうだけど北斗は真逆の方向とか絶対探しに行っちゃうと思う。
    時間は多分夜で、真は人気の少ない公園とか河原たどり着く。捨てゼリフがあまりに幼稚すぎて自分のかっこ悪さにも嫌気がさしてきて「最悪最悪最悪…」ってうずくまってる。
    ポケットに手をつっこむと入れっぱなしにしてた合鍵があって。たまらず水辺にむかって投げ捨てようとするけど、できず。胸に抱き込んでしばらくわんわん泣いた後、着信で震え続けてたスマホが一瞬静かになって、通知で一回だけ震える。
    不在着信の通知の上に、仲直りしたい。帰ってきてくれ。って文字が並んでて、絶対既読つけてやるもんか、って思ってまたうずくまる。でもこういう時に限ってスマホの充電少ないし、お腹もなんか空いてくるし、家の前で自分の帰りを待つ北斗の傷ついた顔が見てもないのに頭にこびりついて離れないから、もうどうでも良くなってとりあえず帰ろうとする。立ち上がって、ポケットにしまおうとした合鍵が手から滑り落ちる。あ、って声をあげるのと同時に茂みの方に跳ねた音がしたけれど、泣いた後の霞んだ目を凝らしても暗がりの中はまったく見えない。嫌な予感がした真、急に血の気が引いてくる。「えっ、うそうそ…待ってよ……」って慌てて探しはじめるけど、スマホのライトをどこに向けても光るものがさっぱり見当たらない。もしかしたら落ちた方向が違うのかも…って方向を変えて範囲を広げてどこ探したからわかんなくなるまで探しても、見つからない。突然スマホのライトが切れる。急な暗転に視界が真っ暗闇になり「まずい」と思ったけど、次第に付近は見えるくらいに目が慣れてくる。手とか服が土まみれなのは見えてなくてもなんとなくわかる。
    充電が切れてる。「既読つけてないから心配してるだろうな、氷鷹くん。」たぶんまた電話かけてきてたら自分で電源オフにしたって思われそう。すごい悲しい顔するんだろうなって思ったら、急に北斗が恋しくなって、家に急ぐ真。
    家の外で座り込んでる北斗。スマホを凝視してたけど、足音に気がついてハッとなり顔を上げる。ぼろぼろの真が目に入って「怪我したのか!?」って慌てて駆け寄る。土に塗れた手を優しく握って、顔を覗き込む北斗。真はばつが悪そうに目を逸らす。「怪我は、してない…」「そうか、よかった…」安堵する北斗。
    「よくないよ…」とこぼし、真が北斗の肩に寄りかかる。背中にぎゅっと腕を回して、顔を隠すように首筋に押し付ける。
    「合鍵、僕もう持ってないよ…」「落としたのか?」「…捨てたとは思わないわけ…」「捨てたのか?」「捨てられないよ…」
    北斗が「明日、明るくなったら一緒に探しに行こう。俺は戻ってきてくれただけで十分だから」って真の髪を優しく撫でる。顔を埋めたまま、ごめんって真がたぶん言ったけど、声が掠れてる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    手を繋ぐ北まこ
    満員電車の中
    スーパーの帰り道
    眠れない夜
    仲直りの時

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    仕事やらでくたくたの氷鷹くんをよしよししてるときご満悦な真。普段かっこつけたがるから仕事で疲れすぎてされるがままになってる氷鷹くんを存分に甘やかしたいと思っている。眠すぎてふわふわになってる北斗も捨てがたい。

    あとからくたくたの北斗にむにゃむにゃの真お世話させてるのなんなの。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    見て見て氷鷹くん!スマホアプリの掛け合いボイスいつ聞いても最高すぎる。普通にホールハンズでユニットでのスケジュール共有しあってるのに、あえて外部アプリ氷鷹くんにおすすめしてるのってどう考えてもカップル用のスケジュールアプリとしか思えない。強めの幻覚。ずっと言ってる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    恋人になった後、氷鷹くんになら全部暴かれてもいいよって思ってる真。昔に比べて心の内に踏み込みすぎない北斗の角の落ちた優しさと愛情にもちゃんと気づいてる。そんな今の北斗も大好きだなって思うのと同時に、ひたむきに自分をこじ開けようとしてきたあの夏の熱が懐かしくてたまらないこともある。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    夕方のソファでうたた寝してるとき、北斗が晩ごはんの支度はじめた音で目が覚める真。幸せを感じる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    花屋で働く北斗がいたら真絶対通っちゃうね。花に囲まれてる北斗ってほんと絵になる。エプロン姿も可愛くて良すぎ。
    ベタベタだけど北斗は真が恋人のために花を選んでると思ってて、真も「好きな人のためにいつも来てる」って言ってて普通に落ち込む。それでも真が選んだ花を想いが届くように大事に大事に包みながら「喜んでもらえるとと良いな」って頑張って笑う北斗あまりにも見たい。
    あるとき、真から宅配で花を届けてほしいって注文があって、嬉しいと複雑が混ざった気持ちで届けにいく北斗。注文は電話がいい。受話器越しでも耳の側で真の声を聞いて心臓バクバクになってくれ。気が散って何度か聞き逃して「悪い…もう一度いいか?」って申し訳なさそうに聞き返してそう。注文票に遊木真って書きながらやっぱり好きだなってまた傷つくんだろうな。いつも数輪なのに今回の注文は花束だったことが電話を切った後すごい重さでのしかかる。
    遊木の表札見つけて、緊張で恐る恐るドアチャイム鳴らす北斗。はーい!っていつもの声が聞こえてきてちょっと胸が高鳴る。一人暮らし用のマンションぽくて同棲や結婚は多分してないんだろうって、ほっとしてる自分がまた嫌になる。扉が開いたらどんな顔をすればいいのかって考え始めたところで鍵が開く。花束を抱えた北斗に「ありがとう。やっぱり君に届けてもらってよかった。」ってはにかむ真。(かわいすぎる) つられて顔が緩む北斗。
    玄関に数日前に自分の包んだ花が飾ってあるのに気づく北斗。あれ、と思う。真も視線の先に気づいて、もどかしそうに「ねえ、今日が何の日か知ってる?」って尋ねる。4月の終わり、昨日は祝日だったけれど北斗には心当たりがない。真は自分から投げかけておいて、結局曖昧に笑って答えを言わないと思う。北斗から花束を受け取って抱き寄せる真。好きな人を思い浮かべてるのか大事に胸に抱きながらとびきり幸せそうな笑顔。それが複雑ではあるけど嬉しそうな真に満足する北斗。
    諸々済ませて帰ろうとしたところ、真に「あの、ケーキ…があるんだけど、ちょっとだけお茶して行かない?」って誘われる。ここでラストなら玄関の扉に2人が消えていくところで「なあ、この飾ってある花って…」でおしまい。

    余談でこの真の部屋って緑がやたらと多そうだけど、根を張らせて育ててる花はひとつもなさそう。真花は好きだけど絶対散るから育てた花が枯れるのを見たくなさそう。切り花はお花屋さんが命の長さを決めてくれてるから僕は無責任にめでられるんだよねって言ってる。花を買うようになった理由。この真何して生きてる人なのかわかんない。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    北まこの刑事バディパロみたいよね。北斗運転のパトカー絶対乗っててほしい。
    パトロール中は神経質な安全運転の北斗の犯人を追いかける時の暴走パトカーっぷりが見たい。普段神経質になるのは気を緩めるとうっかり爆走しそうになるからだと思う。よく真にステイされてて可愛い。
    真が運転する方が安定的だけど助手席で補佐させるの氷鷹くんには無理だった…ってなったので真には助手席で手綱握っててほしい。(助手席北斗は司令塔の英智くんからの通信をぶった切るなど)
    真も張り込みの時にゲームのめり込みすぎて北斗に引きずられて行くからおあいこだったりする。

    それはそうと刑事パロとは別にドラマで役として刑事バディ共演もしてほしい。夢ありすぎる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    同棲北まこLDKにおまんじゅうも住んでてほしい。自我はあってもなくてもいい。
    天気のいいあったかい日に北斗が窓際に並べるのが日課。真は冬の日のあったまったおまんじゅうが好き。ヒーターがあれば近くで暖を取らせてるかも。
    北斗が本読んでたりするとよくおまんじゅうを積まれる。好きにさせてるとしばらくしてから本人が寄りかかってくる。
    真はおまんじゅうと遊ぶのに飽きるとソファとかに転がしっぱなしだけど、北斗は籐かごに布とか敷いて作った寝床に転がってたおまんじゅうをちゃんと帰してあげそう。籐かごの寝床はおまんじゅうの存在を知った北斗のおばあちゃんが譲ってくれたものだったらいい。北斗はおまんじゅう環境も大事にしている。
    真が家を空けてる時は寂しいので家の中でポケットにおまんじゅうを入れてたりする。そのまま出し忘れて買い物に行ったり、仕事に連れて行ったこともある。洗いかけたこともあるけど2人とも洗濯前の確認ちゃんとしそうだから今のところ未遂に終わってる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    北斗と真の自我なし×自我なしの一年生時代の可能性に耽りたい。人間性のぽんこつ関係で何か始まってほしいけど、北斗と真全く接点なさそう。
    金星杯の自我、北斗が芽生えなら真はたぶん発芽くらい。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    お菓子の大袋カートに入れちゃう真が可愛い。北斗が卵パック持って戻ってきた時にカートにのさばっててすごく嫌な顔されそう。どうせバレるのに絶対北斗が離れてる時とか見えないようにお菓子入れるのがいい。
    開封した大袋は北斗の管理のもと、日毎に小分けされる仕組み。でも残りの管理がずさんだから時々深夜に減ってたりする。北斗は真の選んだお菓子に積極的に手をつけない。(金平糖コスパ良い)
    北斗は真が嬉しそうにお菓子食べてるのを見て幸せを感じるし、真が罪悪感ある時に「お菓子食べる共犯になって…」って分けっこしてくれるのがまあ大好きなのでお菓子買う時に嫌な顔してても満更でもない。ということを真もちゃんと知ってる。あとおやつのストック減とともに分けっこは渋るようになる。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💚💚💚💚💚❤❤🙏🙏💞💞💞💙💚💞💞💞🙏💖👏👏👍🙏🙏🙏❤❤❤💖🙏💙💚💙💚🙏💖❤❤❤😍😍😍😍💙💚💙💚💖💙💚
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works