海風に吹かれ震えるお犬マン海風に吹かれ震えるお犬マンの後ろ姿は、とても哀愁に満ちていた。
「……」
僕はしばらく無言でその姿を見つめていたが、やがて意を決して声をかけた。
「あのー……お犬さん?」
「はい? なんですか?」
「いや、その、寒いのかなぁって思って」
僕がそう言うと、お犬マンは急に立ち上がって僕の方へ向き直った。
「ああ! ご心配には及びませんよ!」
そして彼はいつものように白い歯を見せて爽やかな笑顔を浮かべた。
「実は私、寒さに強い犬種なんです」
「あ……そうなんだ」
どう見ても寒そうだから聞いたんだけどね……。
まあいいか。本犬が大丈夫だと言うなら問題ないんだろう。
「でもそんな格好じゃ風邪ひくかもしれないし、よかったらこれ着ますか?」
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