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    @rikukuri1123

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    セフレルツ
    セフレだと思っている類と、恋人だと思っている司のお話。ギャグテイストです。
    相互様の素晴らしい案に便乗させていただくという形で、書かせていただきました。

    離れるなんて、ゆるさない 僕と司くんは、所謂セフレと呼ばれる関係だ。
     成人祝いという口実で、司くんを家に誘った日。それまでお酒を飲んだことのなかった僕は、相当に酔っ払ってしまったらしく、気がつけば自分のベッドで寝ていた。
     司くんの前で醜態をさらしていなければいいけれど……と、ズキズキとする頭を抱えながら身を起こそうとした僕の目に入ってきたのは、醜態どころの話では済まされない光景だった。
     僕の腰に手をまわし、くっついて寝ている司くん。その顔はとても幸せそうでかわいかったけれど、なんと司くんは服を一切身に纏っておらず、身体中にキスマークがついていた。
     
    「……る、い?……お、はよう……」

     あまりの衝撃に固まってしまった僕の耳に、司くんの声が入ってくる。どこか気だるげで、なんとなくなまめかしいそれに、まさかまさかと僕の頭は真っ白になっていく。そうして、身動ぎさえも全くできなくなってしまった僕に向かって、司くんが決定的な一言を発したのだった。

    「うーん、やはり腰が痛いな……」

     司くんは、自らの腰をさすりながら、苦笑いした。
     これはもう、そういうことが昨晩行われたのだろう。
     僕は、ずっと司くんのことが恋愛的な意味で好きだった。けれど、別にそれを伝えるつもりはなかった。想いを伝えることで僕たちの関係が変化するのが恐ろしくて、それならばいっそのこと何も言わず、これまで通りの関係を築いていった方がいいと思っていたからだ。
     しかし、司くんへの想いはどんどん溢れていき、司くんに伝えたい、結ばれたいと願う心が抑えきれなくなっていた。それを自分でも分かっていたが、臆病な僕は、それでもやっぱり想いが伝えられなかった。
     けれど、昨晩、お酒を飲んだことによって理性のカタが外れてしまい、とうとう無理やり想いを消化するという最低な行為をしてしまったのだろう。
     ああ、大切な司くんに、なんてことをしてしまったんだ。謝ったところで、許されるはずもない。それくらい、人として最低なことをしたのだ。さすがに、司くんだって、僕とはもう一緒にいたくないと思うかもしれない。
     しかし、僕はそれでも司くんに離れていってほしくなかった。嫌われていてもいいから、身体だけでも関係を繋いでおきたかった。だから、僕はある手段を取ったのだ。
     起き抜けでまだぼーっとしている司くんに、僕はありったけの知識を使って、セックスをするメリットを述べた。そして、今後も僕とセックスをしないかという提案をしたのだ。
     急に熱弁し出す僕に対し、初めは司くんはポカンとした表情を浮かべていた。けれど、少しおかしそうに笑いながら聞いてくれるようになり、最終的には「オレも幸せだったからいいぞ」と、了承してくれたのだ。僕は自分のテクニックの高さに大いに感謝した。
     そうして、僕たちは、セフレという関係を続けているのだった。


    □□□


     オレと類は、所謂恋人という関係だ。
     成人祝いをするために、類の家に行った日。楽しくお酒を飲んでいたオレに向かって、類は突然「司くんのことが好きなんだ」と告白してきた。そして、ポロポロと泣き出したかと思うと、「司くんと結ばれたい」だとか、「僕だけの司くんにしたい」だとか言い出したのだ。そして、最後には「付き合ってほしい」と言ってきた。
     もちろん、突然のことで驚く気持ちもあったのだが、それよりも嬉しさの方が勝っていた。なぜなら、オレも類のことが好きだったからだ。
     本当は、完璧なシチュエーションで告白をしようと考えていたのだが、先を越されてしまったのなら仕方がないと、オレは告白の返事をした。答えはもちろん、イエスだ。
     オレと類の間には、すでに最高のショーを一緒に作る大切な仲間というかけがえのない関係があったが、さらに恋人という、一緒に幸せを築いていく関係が加わったことに、オレは嬉しく思った。
     だが、類はオレの返事を聞くと、さらに大粒の涙を流しながら、「幸せすぎて死んでしまうって、こういうことなんだね」とか言い出した。オレは、今からさらに幸せになっていくのに、なんてことを言うんだとムカついて、類にキスしてやった。これから、たくさんのことを恋人として経験していくんだぞという思いを込めたのだ。
     すると、類は突然立ち上がったかと思うと、オレを引っ張ってベッドに連れていき、覆いかぶさってきた。さすがに、想いが通じ合った初日にそういうことをするのはいかがなものかとも思ったのだが、類があまりに幸せそうだったので、オレは類に身を預けることにした。
     こうして、オレたちは一晩中想いを通わせ合い、恋人という関係をスタートさせたのだった。次の日の朝、類がセックスのメリットについて急に語り出した時は驚いたが、それだけ良かったのかと思うと、なんとも嬉しくて、思わず笑ってしまった。


    ■■■


     突然だけれど、僕には悩みがある。
     司くんとそういう関係になった日に、自分のテクニックの高さに感謝していたが、最近では不安も感じるようになってきたのだ。今までそういう行為をしたことがなかった僕には、それほどバリエーションがない。だから、司くんがこの行為に慣れてしまって、冷静に考えられるようになったらと思うと、恐ろしくなってしまうんだ。
     別に、司くんが、僕との行為が気持ちいいからという理由だけで、セフレを続けているのだとは思っていない。
     今まで僕と司くんは、最高のショーを作るというかけがえのない関係を築いていたし、司くんにとって、僕が大切な人であるだろうという自負はある。だからこそ、司くんは、僕とセフレという関係を続けてくれているのだと思っている。情があるから、突き放せないのだ。こういう関係になっても、変わらず買い物や映画に誘ってくれるのが、その証拠だろう。
     けれど、ふとした拍子に、この関係を続けることが良くないと思われてしまったらと考えると、夜も眠れない。だから、僕の技術を上げて、身体だけでも落としてしまいたかった。
     僕はネットでひたすらに知識を蓄え、練習し、テクニックを磨き上げている。司くんを手に入れておけるのならば、どんな努力も惜しみたくなかった。
     心まで欲しいとは願わないから、せめて隣にいられる関係を続けたい。それがいいことではないと分かっているけれど、僕は止められなかった。


    □□□


     突然だが、オレには悩みがある。
     それは、類ともっと恋人らしいことをしたいというものだ。
     付き合い始めてから、身体をつなげる機会はたくさんあった。というか、類はオレが相当セックス好きなのだと思っているのか、類の方からたくさん誘われるのだ。いや、もちろん、好きではあるのだが、それは類とするからであって、別に行為自体がとてつもなく好きだというわけではない。
     だが、類はオレを喜ばせるためか、どんどん上手になっていく。この間なんて、最中に意識を飛ばしてしまうほどだった。オレとしては、類との幸せを感じていたいから、勘弁してもらいたいと思っている。
     それに、類は、行為以外では割とそっけない。普段は全く触れてこないし、オレから誘わないと、デートにも行かない。類は恋愛に対して、淡白な方だったようだ。
     だが、オレはもっと恋人らしいことをしたい。
     どうしたものか。そう頭を悩ませていると、つけっぱなしにしていたテレビから、耳寄りな情報が聞こえてきた。

    『最近、恋人からされて嬉しかったことはありますか?』
    『そうですね……。一生懸命デートを計画してくれたことですかね!』

     それは、カップルに街頭インタビューをしている番組だった。
     なるほど。今までオレは、友人という関係だった時と同じように、買い物や映画に誘っていたが、恋人となると、綿密に計画するものなのか。ならば……。
     オレは、スマホを取り出して、早速『おすすめ デートスポット』と検索を開始した。オレの完璧なデートによって、類がデートすることの楽しさを感じてくれたら、もっと積極的になってくれるかもしれない。
     類はサプライズ好きだから、オレは内緒で準備を進めることにした。


    ■■■


     あれから、僕は司くんと関係を続けるために、週に3回は家に誘っている。大学の授業がない時間が重なっていて、本当に良かった。
     というわけで、今日も司くんは僕の部屋にいるわけだけど、ソファーに座って何やら楽しそうにスマホを見ている。セフレの癖に、一丁前に嫉妬なんて感情を抱く僕は、スマホよりも僕自身を見てほしかった。
     こっちを向いて。そんな気持ちを込めて、司くんに話しかける。
     
    「司くん?何をしているんだい?」
    「デートの準備だ!」
    「……え?」

     思わず固まってしまう。デートって、僕とじゃないよね。だって、僕は恋人じゃなくて、セフレなんだから。
     だったら、一体、司くんは誰とデートするのだろう。大学の友人だろうか。それとも、高校での友人だろうか。それは、僕の知っている人なのか、それとも知らない人なのか。なんにせよ、僕とは違う人に、彼は恋をしているのだ。

    「ハッ!しまった、秘密にする予定だったのに!」

     しかもなんと、司くんは好きな人のことさえ、僕に言うつもりはなかったようだ。
     でも、それはそうか。最高のショー仲間という関係に、セフレだなんていう泥をつけたのは、僕自身だ。司くんの優しさによって、今まで関係を続けているけれど、彼だって恋をしたいのだろう。
     きっと、僕が、悪いのだ。僕が、身を引くべきなのだ。

    「類、聞かなかったことにする……とか、できたりしない……よな?」

     こちらを窺うように、オレンジの瞳が見てくる。
     僕の大好きな瞳。僕の、大好きな人の、瞳
    ——けれどそれは、僕の物にはならないのだ。
     そう思った瞬間、僕は司くんをソファーに押し倒していた。抵抗する司くんに体重をかけて、動けないようにする。
     こんな、無理やりなんてしたら、きっと嫌われてしまう。けれど、もう、それでもよかった。今この瞬間だけでも、僕だけの司くんにしたかった。僕以外のことを考えてほしくなかった。
     司くんにキスしようと顔を近づける。けれど、僕の視界はぼやけていて、上手くキスできない。
     なんで、なんで、こんなに好きなのに。きっと、僕が一番司くんを幸せにできるのに。そう思うと、涙がどんどん溢れてくる。ああ、情けないな、僕。

    「類!いったん止まれ、類!」
    「ッい、やだ……」

     司くんは僕が泣きだすと、ますます抵抗し始めた。
     最後にするから、もうこれで最後にするから、今日だけは一緒に過ごしたい。
     だから、僕は司くんの言うことなんて、無視をする。

    「ッこの、言うことを聞け!!」

     ゴンッという音が、僕の部屋に響いた。
     あまりの痛みに頭を押さえていると、司くんが僕の下から抜け出てしまった。

    「い、痛い……」
    「悪いな。何度言っても止まらんから、強硬手段に出てしまったが……。まずは、涙を拭け。ほら」

     そう言って、司くんは僕の顔に手を当て、涙を拭ってくれる。

    「全く、急に泣き出して、どうしたんだ?」

     司くんは、心配そうに聞いてくれる。
     無理やりしようとした僕にも、司くんはこんなに優しい。

    「好き、なんだ……」
     
     そう思うと、勝手に口から想いが溢れていた。ずっと、ずっと、言わないようにしていた言葉が、司くんに届いてしまった。
     なんて、言われるのだろう。怖くて、司くんの顔が見られない。
     僕は、自然と下を向いて、俯く。

    「ん?それは知っているが……」
    「え?」

     けれど、まさかの発言に、僕はバッと顔を上げる。

    「ハッ、まさか、オレが魅力的すぎて、感動して泣いていたのか!?」
    「うん?」
    「まあ、気持ちは分かるぞ。なにせ、彼氏がデートを計画しているだなんて、嬉しいに決まっているからな!」
    「えっ、彼氏!?セフレじゃなくて!?」
    「は?セフレ?」

     お互いに顔を見合わせる。
     司くんの顔が、どんどん怒りに染まっていく。
     さっきまであんなに溢れていた涙が、ピタッと止まっている。僕は素早く正座の姿勢を取った。


    □□□


    「つまり類は、オレが好きでもなんでもないやつとでも、そういうことをすると思っていたのか」
    「いや、そういうわけでなくて……」

     類はごにょごにょと「司くんは優しいから」とか「少しは僕に好意があると思ってたから」とか言い訳をしている。
     オレは、例の「彼氏!?」「セフレ!?」のやり取りの後、類に一通り説明させた。
     全く、失礼な奴だ。オレは類と付き合っていると思っていたのに、あいつはセフレだと思っていただなんて。

    「えっと、司くん、聞いてる?」
    「ああ、聞いているぞ。とにかく、類はオレのことが好きだということでいいんだよな?」
    「ッそれは、もちろん!」

     それはよかったと、オレは一息つく。
     オレのことを好きだというのは本当のことのようだ。もし、それもオレの勘違いだったとしたら、オレは無理やりにでも類に迫っていたかもしれない。類がオレのことを好きではないだなんて、嫌だからな。

    「で?類はオレとセフレになりたいのか?それとも、恋人になりたいのか?」
    「そんなの、恋人だよ!」
    「だが、お前はオレを手放そうとしたんだろう?」
    「それは……!でも、司くんも僕のことが好きなんだろう!?だったら、付き合いたいよ!恋人ラブラブセックスがしたい!そもそも、僕以外とする可能性があるだなんて、許せないよ!」

     オレを無理やり押し倒しておきながら号泣してきたやつと同じとは思えないくらい、類はガツガツと迫ってきた。さっきまでのしおらしい様子はどうしたんだ。
     まあ、臆病なところもある類は、オレも好きだということが分かったため、積極的になれているのだろうが。
     しかし、恋は盲目というのだろうか。オレはそんな類に対して、かわいいやつだなと思ってしまった。正直、セフレだと思っていたことについて、そこまで怒ってはいないのだ。
     だが、類がオレを諦めようとしていた点においては、まだ怒りを覚えている。オレが類を愛し続けるように、類にも愛し続けてほしい。

    「ねえ、司くん?僕たち、恋人ってことでいいんだよね?」
    「ああ、そうだな。お前がそう思っているのならな」
    「え、もちろん、恋人だと思っているよ!」

     曖昧に返したオレに対して、類は焦り出す。
     そんな類に、オレはさっと顔を近づけた。

    「なら、二度と手放そうとするなよ、類」

     そう言って、オレは類にキスをした。
     もう二度と、類がオレを諦めるだなんて思わないように、オレからの特大の愛を伝えていかなければな。
     オレは、計画していたデートに『改良の余地あり』と判を押した後、類をこちらに引っ張って、押し倒されてやった。
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