無自覚の自覚。「大丈夫だって、そうそう壊れるもんじゃねーから」
「でも…」
二人で適当にバイクを流して、行き着いた小さな公園。
時間帯のせいか誰も居なくて、二人きり。
渋る三ツ谷にカメラを手渡した。
中古で買った小さなフィルムカメラだ。
「大丈夫、大丈夫。後少し残ってるから、三ツ谷がなんか撮ってよ」
「マジか」
「マジ、マジ」
まだモゴモゴする三ツ谷の手を握って、シャッターの場所と、ファインダーの覗き方を教えてやる。
重ねた手から伝わる体温が心地いい。
真剣に聞き入る姿が愛おしくて、笑みが溢れた。
カシャ
「!」
「あ、ごめん」
手を離した瞬間に聞こえたシャッター音。
思わず力が入ったのだろう、咄嗟に謝られた。
「大丈夫大丈夫」
「すげーブレたかも」
973