星を溶かす潮騒 ふとした瞬間、どうしようもない程に胸が灼けるように熱くなる。
辛口のスラーダを一気に飲み干した時よりも存護の炎を纏っている時よりも、ずっとずっと熱くて全身が焦げてしまいそうなくらい。
今だってそうだ。
星穹列車のロビー、時間が取れたからと顔を出しに来てくれた景元と丹恒が話している。何を話しているのだろうか、丹恒の表情はわかりにくくはあるが穏やかで柔和な雰囲気を纏っている。時に意見を交わし、時に世間話をして、時に昔の話をする。
(………嗚呼)
何回目だろう、あの丹恒を見るのは。
見る度に胸の奥がきゅうっと縮んで胸が張り裂けそうになる。
今日が初めてじゃないし、きっとこの先も見ることになるであろう風景。でも今日だけは、本当に今日だけはそれがどうしても見たくなくって。
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