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    5shoda

    @5shoda
    らくがきと文章の供養場所です。pdl垢/ほぼ吉雉 たまーに真手青葦その他

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    5shoda

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    チャイナコスパロの青葦
    年齢操作の描写あるけど実際年齢操作してるかどうかは分からない 性癖に素直なのであしきばくん女児ムーブ激しめ
    またてしまさんが仲人してるよ

    オレの名前は青八木一。画家をめざして修行をしながら、町一番の人気店である田所飯店に身を置かせてもらっている。
    「はじめくーん生一丁!」
    「はいよ!」
    今日も今日とて田所飯店は大忙しだ。
    「青八木!そろそろ休憩に入るか!」
    「はいっ、田所さん」
    こちらは田所飯店を切り盛りしている田所迅さん。画家を目指すオレを拾ってくれた心優しい恩人だ。
    「…っと、すまねえその前に来客みたいだ」
    裏口の方からコンコン、とノック音が響く。
    「今出ます」
    「――こんちわーっす!」
    こちらが裏口のドアを開ける前にガチャリと開かれる。ということは――
    「よっ、青八木!」
    「純太!」
    「よお手嶋!元気か!」
    「元気ですよ、超!田所さんもお元気そうで何よりです!」
    彼――手嶋純太は、ウチのお得意さんだ。食材の仕入れや、時には団体客の手配なども行ってくれている。
    店にもよく食べに来てくれるので、彼だけに振る舞う隠しメニューも豊富だ。
    「それでどうした、今日は仕入れ頼んでねーぞ?」
    「ああ、今日は仕入れじゃないんですよ。ちょっと頼まれて欲しいことがありまして…」
    「なんだ?今客がわんさか居るからものによっちゃ厳しいが…」
    「出前なんですけど、大丈夫ですか?」
    「出前か…青八木、すまねえが休憩の前にひとっ走りいけるか?無理にとは言わねえけどよ」
    「大丈夫です。近場なのか?純太」
    「ああ、ここから場所はそう遠くねえよ。…ねえんだけど、まあちっと難ありっつーか…ま、行ってみりゃ分かるよ。」
    「…気難しいじいさんでもいるのか?」
    「いやあ?むしろ逆だと思うぜ」
    「…子供か?」
    「間違っちゃいねえかな。まあ、その客のことでなんかあったらオレに連絡くれよ。最悪こっちで弁償するからさ」
    「…分かった、メニューはなんだ?」
    「田所さん、あれいけますか?裏メニューの田所特製はちみつ丼セット」
    「ああ任せとけ!注文はそれだけでいいのか?」
    「ええ、大丈夫です。…青八木、ちょっとオレ用事があって道案内は出来ねえんだけど…これで行けるか?」
    丁寧に折りたたまれた白い紙を手渡される。開くと、住所と手書きの地図が書かれていた。
    「…ああ、ここなら多分1人でも行ける。…しかし、この区画確か…」
    「さっきも言ったけどさ、行ってみりゃ分かるよ。あ、ちなみにこの地図は正確なやつだからな。行ってみて間違えたかも…と思っても、声を掛けてみるなりしてみろよ」
    「…?分かった」
    「――よし、青八木!準備が出来たぞ!配達宜しくな!」
    「はい、行ってきます田所さん!」



    『この地図は正確なやつだからな』
    ――確かに、純太はそう言っていた。純太は方向感覚に優れている方だし、あれだけ念を押されたからには間違いは無いはず。…はず、なんだが。
    「…こんな所に人が住めるのか…?」
    辿り着いた先は、あまりにも荒れ果てた――『廃屋』の名が相応しい場所だった。
    (…やっぱり道を間違えたのかもしれない。この区画、近場だがそもそも人がほとんど住んでいないから来ることも無いし…1度引き返すか)
    「…いや、いないよな、誰も…」
    くるりと踵を返す。その瞬間、反動で出前箱の蓋が少し開いたのか、ふわりといい匂いが漂ってきた。
    (さっさと済ませて賄いを食おう…)
    「……あれ、なんかいい匂いするなぁ」
    どこかから――いや、後ろから。人間の声が聞こえた。
    まさか、こんな所に…?純太にああは言われたが…。しかし、じゃあここで食べるというのか…?…おっと、それよりもまず。
    「…どなたかいらっしゃ――」
    「うわーーー!!!!」
    声と声が重なり、オレの発した語尾はもはや掻き消されて無くなってしまった。
    「わっ…ご、ごめんなさい!大きい声出して!」
    振り返ると、青いパオに身を包んだ長身の“何か”、が。
    「……もしかして、純ちゃんに頼んだ…おみせのひと?」
    申し訳なさそうに頭を垂れながらこちらを見つめていた。



    「すごい…これ、ほんとに食べていいの!?」
    「…出前ですから。温かい内にお召し上がりください」
    「ありがとう〜〜!!!…じゃなくて、…ありがとう、ございます!」
    「…いえ……」
    キラキラと目を輝かせながら、まるで高級料理を扱うかのように慎重に触れようとする彼を見て思わず頬が緩む。

    外見はとても『子供』には見えないが…世間知らずで無垢なその様は、どうもオレの目には可愛らしい子供のように映った。
    「おみせのひとって本当にお家に呼べるんだね!…あ、ですね!」
    「それは少し語弊が……お、お家?」
    「うん!オレここに住んでる…んです!」
    信じられなくて思わず聞き返してしまった。申し訳ない。
    「…そうですか。あの、ところで…」
    「んん?なんですか!?」
    頂きますの姿勢をとりながらこちらに向けた顔は、真剣そのものだ。
    「あの、お代は」
    「……あ、もしかして…これ?純ちゃんに渡された…」
    そう言って、彼は肉球の柄があしらわれた薄い桃色のポチ袋を取り出し、ハッとした顔でそれを見つめる。
    「ああ、多分それです」
    「これをおみせのひとに渡すんだよね…?この袋、欲しかったなぁ…」
    物惜しそうにポチ袋を見つめそう呟く姿がいじらしい。
    「袋は大丈夫です、中身だけ必要なので。…それと…オレはおみせのひと、じゃなくて、青八木一です」
    「…あおやぎはじめ…さん?」
    不思議そうな顔を浮かべながら復唱される。それもそうだ、名乗る必要なんて無いのだ。ただ、なんとなく、名を呼んでほしくなってしまった。
    「…はじめは、1番の一、です」
    「1番の1…かっこいい!」
    宝石のように輝かせた瞳をまともに喰らってしまい、顔が熱くなる。
    それが決して嘘偽りのない言葉だということは、彼の澄んだ瞳を見れば分かった。
    「ありがとう…ございます」
    「ねえ、はじめちゃんもいっしょに食べない?これ!」
    「はじっ……!?」
    「あっ…えっと、ごめんなさい!嫌だった?純ちゃんは喜んでくれたからつい…」
    元々下がっている眉が更に下がっていく。脳裏にはご主人に怒られてしまった仔犬の顔が浮かんだ。
    「い、いや、そうじゃない。…好きなように呼んでくれ」
    「ほんと!?じゃあ…はじめちゃん!えへへ!いっしょに食べませんか!」
    「…ありがとう。ただ、すまないが仕事があるんだ。戻らないといけない。気持ちだけ受け取っておく」
    出会ったばかりだというのに、そう言われて本当に嬉しいのだから不思議だ。きっと彼と食事をしたら楽しいのだろうな、という確信がある。
    「そっかぁ…お仕事なら仕方ないね。はじめちゃん、がんばって!」
    「ありがとう」
    「お仕事ってことは…おしゃべりしてる時間も無いよね!?ごめんね引き止めて…あ、これも渡さなきゃ!」
    ポチ袋から紙幣を数枚取り出し、こちらに差し出された。
    「…確かに。425円、お釣りだ」
    「ありがとう!純ちゃんに渡しておくね!」
    「…それと、これもサービスしておく」
    お釣りといっしょに、ポケットに入っていた飴玉を彼の手の中に入れる。
    「わあ!飴玉だ〜!」
    「オレのお気に入りの飴玉だ。口に合うといいが」
    「オレ甘いのなんでも大好きだよ〜!」
    本当に嬉しそうな顔をするものだから、ついついいろんなものをあげたくなってしまいそうだ。口元を緩ませながら、もっとお菓子を持ってこれば良かったな、などと考えた。

    「じゃあ…そろそろ失礼する」
    「うん、今日はほんとにありがとねはじめちゃん!」
    「美味しかったらまた注文してくれ。次はもっとお菓子を持ってくる」
    「またはじめちゃんに会えるの?」
    「…ああ」
    「そっかあ〜会いたいなあ…。純ちゃんにお願いしてみるね!」
    じゃあね〜と手をブンブンと振る彼を背後に、名残惜しさを感じる。

    そういえば、まだ聞いていなかった――
    「名前…」
    「オレ、拓斗!葦木場拓斗!」
    耳を劈くほどの大声。
    心の声を読まれたかのようにそう告げられた。
    「――拓斗」
    「うん、タクト!」
    「……いい名前だ」
    「はじめちゃんもいい名前だよー!」
    それ程距離は離れていないというのに、これでもかと大声で伝えられる。人気のない区画で良かった。
    「……また、会いに来るぞ。拓斗!」
    「また来てねえ〜〜はじめちゃーん!!」
    長い腕よりも長い袖を垂らしながら、拓斗は飽きずに手を振り乱している。オレも、精一杯手を振り返す。
    「またねえ〜〜〜〜!!!」
    少しずつ離れていく拓斗の声。僅かながらの寂しさを感じながら店に戻っていたオレが、出前の皿は回収するということを伝え忘れたことに気付くのは、店に着いてからだった。







    「あ!純ちゃんいらっしゃい!」
    「よ、シキバ。出前はちゃんと取れたか?」
    「うん!純ちゃんと、はじめちゃん…おみせのひと、はじめちゃんって言うんだけど、そのひとがいろいろ教えてくれて!ふたりのお陰で大丈夫だったよ!」
    「そーかそーか、美味かったか?」
    「すっっごく…美味しかった…!」
    「そりゃ良かった。…あれ、あんな所に食器なんて飾ってたか?」
    「あ、さっき置いてみたの。はじめちゃんがくれたお皿、記念に飾っておこうと思って。ピカピカに磨いたんだよ!」
    「あー…なるほど…。シキバ、ひとつ残念なお知らせがあるんだけどさ」
    「ええ!?残念な…?」
    「あのお皿、お店に返さないといけないんだわ」
    「…そうなの!?」
    「まあでも、綺麗に洗ってくれたんならきっと喜んでくれるよ」
    「そうだったのかぁ…。あれ、でもどうやって返すの?」
    「もう少ししたら取りに来るんじゃねえかなぁ」
    「…はじめちゃんが来る?」
    「分かんねぇけど、多分青八木が来ると思うよ」
    「さっきね、はじめちゃんにいっしょにご飯食べませんかって誘ったんだけど、お仕事があるからって帰っちゃったんだ」
    「…随分青八木のことが気に入ってるみたいだな?」
    「うん!はじめちゃんにまた会いたいなあって思ってたから、来てくれると嬉しいなぁ」
    「そうだなぁ…。シキバ、青八木といっしょに飯食いたいか?」
    「食べたい!できるの純ちゃん!?」
    「ただ、代わりに条件がある」
    「は、はい…!」
    「もう1から100までは数えられるようになったよな?」
    「純ちゃんに教えてもらってから何回も練習したから多分…大丈夫!」
    「よし、じゃあオレのお仕事手伝ってくれないか?」
    「お仕事…!分かった、オレ純ちゃんの役に立てるように頑張る!」
    「じゃさ、手ぇ出して」
    「?」
    「ほい。これ前払いな」
    「…これ…さっきはじめちゃんにあげたやつ?」
    「これがあれば青八木といっしょにご飯食べられるからさ。あと多分さっき青八木にお釣り貰ったと思うけど、それも貰っとけ。純ちゃんからの出血大サービスだ」
    「……純ちゃ〜〜ん!!!」
    「いいか?これはご飯屋さんに行って、ご飯と引き換えにおみせのひとにあげるものだからな?くれぐれも失くしたりするなよ」
    「ありがとう…オレいっぱいお仕事する!」
    「おっ、頼もしいなシキバ!」




    「…で、惚れたのか?」
    「ほっ――ンッ、ンー!」
    誤魔化すように咳払いをするオレをよそに、純太はニヤニヤと口角を上げてこちらを覗き込んでくる。
    「オレは応援してるぜ。青八木がこんなになるのも珍しいしな」
    「…惚れたとは言ってない」
    「顔に書かれてるんだわ」
    「……まあ、いいな、とは思うが…」
    「それを惚れたって言うんだよ」
    飲んでいた烏龍茶のグラスをカラカラと鳴らす純太は、いつもより大人びて見えた。
    「でもさ、青八木…一応言っとくけど」
    「…なんだ」
    「シキバ、まだ子供だから手ぇ出すなよ?」
    「………………やっぱり子供なのか!!?」





    「へー、いっしょに住むんだ?」
    「ああ。いつまでもあんな所に住まわせておくのもあれかと思ってな」
    「オレも何回か住む場所探してやるって言ったけど、頑なに断ってたのになー。やっぱ心境の変化ってやつ?」
    「…そうだったのか」
    「そうそう、ここは思い出のある場所だからーとかで。なんも言ってなかったんだ?」
    「…聞いてない。……余計なことを、してしまったんだろうか」
    「それはちげーって。青八木とだからいっしょに住みたいって思ったんだろ、シキバも?あの場所が無くなる訳じゃねぇんだからさ」
    「…そうだといいが」
    「本人に聞いてみるしかないけどな」
    「今日、聞いてみる。…ありがとう純太」
    「ははっ、オレはなんもしてねーよ。…ところで青八木サン」
    「?」
    「オレ、シキバに手は出すなよっつったけど…」
    「!!出してない!本当だ!出してない!!!」
    「そう?ならいいんだけどさぁ」
    「本当だ、神に誓う」
    「信じてるぜはじめく〜ん」
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