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    ゆん。

    @yun420

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    ゆん。

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    4-2
    遅筆女が毎日ちょっとずつ書くジェイフロ。

    4-24-2



    「どちらのベッドがいいです?」
    「ジェイドのでいーよ。てか、ほんとに一緒に寝るんだぁ?」
     Tシャツにハーフパンツという緩い服装のフロイドは、枕を手にしてジェイドの方へやって来る。その顔は愉しげに笑みを浮かべていて、そこに嫌悪が見えない事にジェイドはホッとした。
    「フロイドが壁側で。落ちたら困るので」
    「うわ、信用ねー」
     ジェイドの枕の横に自分の枕を置いて、フロイドはベッドの上に乗り上げる。ギシ、と重さでベッドが揺れた。
    「オレが蹴ってジェイドが落ちたらどーすんの?」
    「落ちる前にフロイドのベッドに避難しますよ」
    「優しいのか酷いのか分かんないねぇ」
     アハハと笑うフロイドは本当に機嫌が良い。長い一房のメッシュを耳に掛け、垂れ下がった目尻を細めて柔らかく笑う。今日一日、こんな調子で、ご機嫌だったのだろう。
     クラスも部活も違うジェイドは、日中のフロイドの様子は詳しくは分からない。この笑顔を他の人間達に向けているのかと思うと、少し気に入らないのだが。
     フロイドが横になるのを見計らって、ジェイドは部屋の照明を落とした。机の上のライトの灯りは最小限に絞ってある。それは辛うじて互いの表情が見えるくらいの明るさだった。
    「なんかドキドキすんねぇ」
    「旅行の時のような感じですかね」
     いつもと違う状況への高揚感。見上げた白い天井はいつも通りなのに、フロイドが隣に寝ているだけで違うように見える。
    「やっぱりちょっと狭いねぇ」
     ジェイドとフロイドの体の間は、ほんの少し開いていた。体は触れ合ってはいないが、温もりは感じられる。フロイドは横を向き、ジェイドの方へ体を詰めてきた。ピタ、と裸足が触れ合うのに、ジェイドは驚いたように目を丸くする。
    「ジェイドの足、冷たっ」
    「……フロイドの足があったかいんですよ」
    「それはジェイドが爪切ったせいじゃん」
     ジェイドによって爪を綺麗に切り揃えられ、指をマッサージまでされて、フロイドの足は程よく温まったのだろう。そんなフロイドが、ツンツンと爪先でこちらの足を突くので、ジェイドは笑ってしまった。
    「やめてください、擽ったいです」
    「あっためてあげんね」
     笑いながらそう言って、フロイドはジェイドの体に身を寄せる。冷たいジェイドの足を両足で包み、腕に頬を寄せるようにして。

     ドクン、とジェイドの鼓動が跳ねた。

     鼻先に掠めるフロイドの髪の毛は、自分と同じシャンプーの香りがする。触れ合った箇所からは体温が伝わり、首筋には温かな吐息が掠める。こんな接触はしょっちゅうなのに、ジェイドの心臓の動きは明らかに速くなった。
    「……温かくなると、すぐ眠くなってしまいますよ」
     ジェイドは動揺する自分を押し殺し、フロイドの肩に腕を回して引き剥がそうとする。が、その手に力が入っていない事は自分でも分かっていた。
    「すぐ寝れるならいーじゃん。」
    「おや、僕はフロイドとお喋りできるのが楽しみだったのですが」
     同じベッドに寝転びながら、今日あった出来事を報告し合うのも良いだろう。稚魚の頃みたいに。
    「お喋りなんて、いつもしてあげてんじゃん……うーん、今日はアカイカせんせぇに褒められた。論文の出来が良かったって〜」
    「それは良かったですね」
     嬉しそうなフロイドに、こちらまで嬉しくなる。
    「あとねぇ、今度バスケ部の合宿があるんだってぇ。たった一泊二日だけど」
     楽しみ〜と、フロイドは額を摺り寄せて笑う。ジェイドに抱き付く腕の力が強くなる。
    「そうなんですか。フロイドがいないのは寂しいですね」
    「よく言うよ。ジェイドだって良くキャンプとか行ってんじゃん」
     ぷぅ、とフロイドは稚魚のように膨れっ面になった。それを宥めるように、ジェイドはフロイドの頭を優しく撫でてやる。もう引き剥がすのは諦めて、触れ合ったフロイドの熱を享受していた。話しているうちに体は温められ、ジェイドの足はもう冷たくはない。
    「ジェイドは? 今日なんかあった?」
    「特に面白いことはありませんでしたねえ……ああ、錬金術の授業中にクラスメイトが薬品を爆発させて、リドルさんが蛸のように顔を赤くして激怒してらっしゃいました」
    「そんなんいつものことじゃん」
     クスクスと笑い合いながら、二人はいつの間にか抱き合うような体勢になっていた。ジェイドはフロイドの首の下に左腕を差し込み、もう片方の腕は腰に回して、その痩身を柔らかく抱き締める。温かなフロイドの体。それがまるで自身の体の一部のような気がするのは、兄弟だからなのだろうか。
     やがてフロイドは、小さな声で鼻歌を歌い始めた。海の底で良く聴いた、人魚の子守唄。幼かった頃、自分達が好きだった歌。
     ジェイドはその心地良い歌声を聞きながら、ゆっくりと瞼を閉じる。

     ──ああ。

     どうしてこんなにも、胸が苦しいのだろう。

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    ねこ山

    DOODLEたまにとんでもなくグズグズになるジェくんを甘やかすフロくんの話
    ジェイフロすごろく会の「朝が弱いのはどっち?」、「告白したのはどちらから?」、「プロポーズするならなんて言う」あたりに個人的な願望を詰め込みました
    とかくフロくんが乙女っぽい思考回路になっているため強いフロくんが好きな方にはお勧めできない代物です
    ジェくんは対外的にはスーパー秘書だけど、フロくん相手には恋心自覚なしのポンコツだと嬉しい
    Sleeping Moray 陸では、朝になっていく様子を「白々と明けていく」とか表現するらしい。
     でも、海ではちょっと違う。
     登る太陽に照らされて、世界に青みが戻ってくるんだ。揺れて割れる水面から射し込んだ光がカーテンみたいにゆったり揺れてて……朝の海ン中、けっこうキレーだよ。
    「もういやですうみにかえりますうみおくりしてくださいぼくもうずっとうみにいます」
     大きな窓から入る柔らかなセレストブルーに包まれて、今朝のきょうだいは稚魚ちゃんに戻っちゃったみたい。ベッドの中にオレを引きずり込んだジェイドが、オレの腹に顔を埋めたままもだもだと身体をぐねらせる。
     なんか……そのうち両目から赤い水とか垂れ流しそぉ……。
     別に海に送ってやってもいいけどさぁ、絶対帰ってこねーパターンのヤツじゃん。海送りと海還りは、オレとジェイドみたいに二つで一つ。ニコイチ、ワンセットでしょ? ちゃんと帰ってきて!
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