クリスマスが終わるまであと少しツンと肌を刺すような寒い日々が続く12月の末。
街中はいたる所にイルミネーションが煌めきクリスマスムードでいっぱいだった。
「はあ〜、やっと一息って感じ…。零くんおつかれさま」
「薫くんもおつかれさま。さすがに我輩もちょっと疲れたぞい…」
夢ノ咲学院を卒業し、新人アイドルとして芸能界で活躍する毎日。ありがたいことに連日引っ張りだこで朝早くから夜遅くまで仕事に明け暮れていた。
世間はみなクリスマスに浮かれてパーティやらなんやらとはしゃいでいるけれど、自分たちには全く関係なく、プライベートでクリスマスらしいことは何一つとせずに本日25日を終えようとしている。
最後の仕事を行ったビルを後にし、あとは寮に帰るだけというところで薫がふと口を開いた。
「ねえ零くん、このまま星奏館に帰っても部屋に戻って寝るだけだし、寄り道して帰ろうよ。明日は休み貰ったしさ」
「おや、珍しいのう。夜に強い我輩と違って薫くんはもうさっさと帰って寝たいと言うと思ったんじゃが」
「そうだけど、でも今日クリスマスじゃん。何もしないのももったいないよね」
クリスマスといえば、小さい頃はそれなりに楽しみだったし、家族みんなで団欒していた。母が亡くなってからは控えめなクリスマスとなっていたが、それでも薫の中で大切なイベントとして心に刻まれている。大人になった今、昔と同じように家族で集まることはないしサンタクロースの正体も全てわかっているけれど、それでもワクワクした当時の気持ちが忘れられなくてこうして浮かれたようになにかしたいと思ってしまう。
「薫くんがそうしたいなら、我輩なんでも付き合うぞい。幸い、我輩夜は元気じゃし。でももうどこもお店は空いていないのではないかのう」
現在12月25日23時38分。もうあと20分ほどでクリスマスは終わってしまう。ほとんどの店は閉まっているし、ファミレスならまだ空いているかもしれないが、近くにありそうな気配はない。
「うーん……あっ、コンビニ!寄ろ!」
今出てきたビルの一階に入っていたコンビニエンスストアの看板が目に入ると、薫は零の腕をとり、ぐいと引っ張りながら店の灯りにつられるように中へ入っていった。
続きは後日pixivにあげます!
誤字あったらすみません💦