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    Jasmineee_bleu

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    お待たせしました!
    ネットプリントのイラストとリンクした小説を展示致します。

    (誤字脱字ありましたら申し訳ありません)

    夏の零薫※同棲済設定


     夏真っ盛りな七月下旬。
     零と薫がふたりで暮らすマンションの一室。まだ日が昇りきっていない時間帯にスマホのアラームが鳴り響いた。
     寝室のダブルベッドで深い眠りについていた薫は、その甲高い音に意識が呼び起こされ寝ぼけながら手探りで音の根源を探した。無事アラームを止め、そのままスマホで時間を確認する。時刻は午前四時。今日はオフだが何をするんだったか…と寝起きの頭で考えていると、ふと予定を思い出し意識が鮮明になる。早速準備しようと布団を剥ぎベッドから起き上がろうとするが、その気配に気がついたのか、隣で眠っていたはずの零の腕が己の腰にまわり動きが止められた。
    「かおるくん…どこへいくんじゃ…」
    「あ、ごめん起こしちゃった?俺これから海行ってくるね。久しぶりにサーフィンしに行こうと思って」
    「こんな朝早くから…かおるくんひとりで?」
     零は目もほとんど開いておらず、寝ぼけて呂律が回りきっていないが、それでもどこからか漂ってくる色気と、顔の良さに思わず笑みがこぼれてしまう。
    「うん、今日は朝から天気が良いし、次いつ行けるかわからないからね。零くん寝てていいからね。多分昼過ぎには帰ってくると思うよ」
     そう言って、腰に回っていた零の腕を優しく解き支度をするために寝室を出た。
     零は温もりが離れてしまった腕に呆然としながら寝室を出て行く薫の背中を見ていた。
    「今日は朝からずっとかおるくんといちゃいちゃしたかったのに…」




     身支度をして、いざ出かけようと思ったそのとき、寝室の扉がガチャリと開いた。すると中から、寝間着にしていたTシャツと申し訳程度に着替えた短パンという、かろうじて外行きの格好を身に纏った零がゆったりと出てきた。
    「どうしたの零くん、なんかあった?」
    「……ぃく…」
    「え、なに?」
    「我輩もついてく!」
     予想していなかった宣言に驚きを隠せないでいると、零はそのまま靴箱にしまっていたビーチサンダルを引っ張り出し、履いて先に玄関を出て行った。
    「えっ、ちょっと日傘!!ちゃんと持って!!」
     慌てて家を飛び出し、戸締まりを確認すると急いで零の後を追った。
    「どうしたの急に海行くって…、珍しいね。なんかあった?」
    「なんかも何も、せっかくの二人揃ってのオフなのに、薫くん我輩を置いて行ってしまうんじゃもん…!ベッドにひとり置いて行かれる我輩の気持ち…すごくさみしかったんじゃ」
    「そんなこと言ったって、まだ早朝とはいえだんだん日が昇ってくるし、零くん大丈夫?」
    「心配には及ばん。日陰でのんびり薫くんの姿を眺めているから、心置きなく楽しんでおくれ」
    「ならいいんだけどさ…。無理そうだったらいつでも言ってね。……でも、俺もまさか零くんが一緒に来てくれるなんて思ってもいなかったから、ちょっとうれしいな。ちゃんと見ててよ」
     零と一緒に海に行くことは夢ノ咲時代から仕事などで何回かあったが、プライベートで海に行くなんて滅多になかった。ましてやふたりだけでなんて。内心ドキドキしながらふたり並んで海へと向かった。




     早朝の海は薫と同じようにサーフィンをしに来た人や犬の散歩をしている人がわずかにいるのみで、誰も薫や零の存在には気がついていないようだった。
     海から少し離れた日陰に荷物を置き、支度をする。家でも塗ったがもう一度日焼け止めを塗り直しラッシュガードを羽織る。
    「零くん日焼け止め塗った?」
    「服を着てくるので精一杯じゃった」
    「もう…もうけっこう日が昇ってきたんだからちゃんと塗らないと。ほら、塗ってあげるからこっち向いて」
    「ククク…これが計算通りと言ったらどうする?」
    「何言ってんの。自分で塗る?」
    「零ちゃん自分で塗るの難しいからかおゆくんに塗ってもらう」
    「そういうときだけ赤ちゃんにならないでよ」
     甘えてくる零に苦笑しながら顔や首、足先までまんべんなく日焼け止めを塗りたくり、家を出る間際に急いでつかんできた帽子を零の頭に被せる。
    「それじゃあ、しばらく行ってくるから。無理はしなくても良いけど、ちゃんと見ててね」
    「うむ。気をつけての」
     サーフボード抱え、海に向かって真っ白な砂浜を歩く。
    「かおるく~ん」
     しばらく歩いたところで後ろから自分を呼ぶ声が聞こえてきた。振り返ると、こちらに向かって満面の笑みで手を振っている零の姿が見える。
    「なあに~?なんかあった~?」
     少し引き返しながら歩くと、「なんでもないぞ~い」と返事があった。もう~なんなの?と思いつつもなんだか楽しくなってしまって大きく手を振り返す。そして笑いながらもう一度零の方に向かって歩いて行くと、「カシャ」と小さく機械音が鳴った。
    「ふふ、薫くんの笑顔もらってしまったぞい」
    「よく撮れてる?あとでちょうだいよ」
     そう言って、零の隣に腰を下ろしてスマホの画面をのぞき込む。
    「サーフィン行かなくていいのかや?」
    「もう少しだけ、こうして零くんと一緒にいようかな~」
     暑いのに、わざわざくっついて一緒に海を眺めた。大好きな海で大好きな人と一緒にいる。その喜びを感じながらそっと指同士を絡めた。



     その後日、零に撮られた写真を薫のSNSに上げると、ファンの間で写真を撮っているのは一体誰なのかと話題になるのであった。







    ≪あとがき≫
     ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます!
     この度、一緒に公開しているネットプリントとリンクしたお話を書こうと思い立ってからなかなか筆が乗らず、イベント開催中の公開となってしまいました。申し訳ありません…。
     少しでも夏らしさを感じていただけたら幸いです。
     イベント時間も残りわずかとなりますが、この後も目一杯楽しみたいと思います。
     こんなに楽しい時間と場所を提供してくださった主催者様方、本当にありがとうございます。
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