ふわ、と冷たい空気が肌を撫で、無惨は薄らと覚醒した。何か、いつもと違う空気を感じる。
薄暗いベッドルームで寝ぼけまなこを開けば、すぐ目前にはふわふわとした赤毛があった。これはまさかと視線を更にずらせば、つるんとした額に特徴的な痣が確認できる。
この痣、間違えようもない。炭治郎だ。
無惨の腕の上に頭を乗せ、身を寄せるようにぐっすりと寝ている。そしてどうやら目元が赤く腫れている。鼻頭も。泣いた痕跡。
炭治郎は目を閉じたまま、きゅっと体を縮ませ身じろいだ。寒いのだろう。気付けば布団は腰の辺りまで寄ってしまっている。
腰。素肌が見える。恐る恐ると布団を捲れば、シーツ以外肌色一色だった。予感の通りにスッポンポン。炭治郎も、自分もだ。
3199