室町の景風自分の方が年下である以上兄上と先に進むなら自分が受け入れる側になるのだと思うのに、口吸いでとろとろになって「っ景光…」と呼ぶ兄上の姿は。親に心配されて仕方なしにと経験した村の娘より、あゝ比べるのも烏滸がましい程。艶美で嫋やかで、景光の雄を刺激するのだ。
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「兄上、」
そう言って義兄弟の契りを交わした景光に口を吸われる。後頭部を抱かれぞくぞくと駆け抜ける快感に突き抜ける欲望に、裕也は困惑した。これ以上関係を進めるということはこの可愛い義弟に無理を強いるということだ。少年期、御勤めだからと登城し好まれる声で啼いたことを、それは痛みも伴っていたのに。否。
「あゝ、景光、」
「兄上っ、はぁ…」
裕也の腰が揺らめく。
御勤めに合う見返りは心地良かったけれど、愛でられる年を過ぎたらもう二度とやるまいと思っていた。事実、それから男とこんな風になるなんてなかったしこんな気持ちになったのは、それこそ初めてだった。
ほしい。景光がほしくて。丁子油。ぁ。用意して。は。綺麗にして。俺の胎に仕込まないと。そしたら。景光の魔羅を。
「はぁ…、はぁ、」
「ね、すごく、イいです。こんなの初めて、」
「ん。俺も、ぁ。おかしくなる」
何を考えているんだ。年甲斐のない。こんな草臥れた可愛げもない年増の男が稚児紛いなことを考えているなんてしれたら。優しくて可愛い景光だって、契りの返上を求めるに違いない。