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    SALVA.

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    SALVA.

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    平和なお話。
    リネンと俜迓。殴り書き。
    誤字脱字と文の雑さを、許してよ…

    君の色鉛筆「ぶぇーーー!?パボちゃんすごーーー!!」

    元気な声だ。
    またザイカがパボメスにちょっかいをかけているのだろうか。

    読んでいた雑誌を置いて、アタシは声のした方を見る。
    見ると、床に座り込んだパボメスが何気なく描いていた犬の絵に、ザイカが感動しているようだった。

    「ふん、これくらい何ともない」

    珍しくパボメスが得意げな顔をしている。
    そうか、中身が悪魔だから、年齢に不似合いなリアルな絵が描けるのか。画力の乏しいアタシにとっては憧れる特技だ。

    「じゃあねじゃあね、ドーナツ描いて!!」

    はあ?と呆れた顔をしつつさっさと鉛筆を動かすパボメスは、なんだか少しかっこいい。それに今日はどうも機嫌がいいのだろうか。ザイカのワガママにやけに素直だ。

    ふと横に目をやると、アタシの隣でテレビを見ていた俜迓も、少し興味を示してちらちら見ている。大事なところを見逃したら可哀想なので、アタシはテレビを止めてあげる。

    「どうだ。」

    「ぁぁぁぁぁぁ!!!すごぉぉぉぉぉい!!!」
    出来上がった絵を両手で持ってヨダレを垂らすザイカは、目をキラキラ輝かせている。パボメスはそれを見て「やかましい奴だ」と呆れながら散らばった色鉛筆をカラカラと音を立てて揃える。

    「いいなぁ〜〜!!!ザイカも描きたーーーい!!」
    そう言ってザイカは、近くにあった白い紙にいきなり鉛筆を走らせ始めた。

    楽しそうだ。

    アタシは微笑みながらそちらを見て、そして俜迓に目線を戻す。

    俜迓は、もどかしそうに手をモジモジさせていた。

    あれ、もしかして。
    俜迓も混ざりたいの?

    そういえば
    俜迓が絵を描いているところを見たことがなかったな。

    そこで、アタシは俜迓に声をかけて提案してみる。

    「俜迓、一緒に絵、描かない?」
    その言葉にピクン、と、繊細な俜迓の髪の毛先がはねるのがわかる。
    アタシは笑いながら言う。
    「アタシはそんなに上手じゃないけど…パボちゃんにコツとか教えて貰ったら楽しいんじゃないかな?」

    俜迓が振り向く。
    そしてほんのり含羞んだ口元をむぐむぐしながら「やりたい」と目で訴えかけてくる。
    ゔぅぅぅん…………………可愛い。

    アタシは2回頷いて、パボメスに声をかける。
    「パボちゃん、アタシたちも一緒に絵を描いていい?」
    パボメスは振り向き、いつもの不機嫌そうな顔で「はあ?」と聞き返す。本日何回目か分からない「はあ?」に、アタシは笑って続ける。
    「だめかな…絵の描き方教えて欲しくて」

    パボメスは少し固まり、隣で絵を描くザイカを見て、そしてまたリネンを見て答えた。
    「ふん、好きにしろ。」

    おわ…ホントに機嫌がいいな。

    アタシは俜迓の肩をポン、と叩いて「ほら、行こ?」と促す。
    俜迓はモジモジしていたが、やがてソファを立って、座り込んだ2人の近くに腰を下ろす。あたしはその隣に座って、束になっていた白い紙を2枚受け取る。うち1枚を俜迓の前に起き、アタシは色鉛筆に手を伸ばそうとする。

    ところが。
    その手を俜迓が止めた。
    「え…?」とアタシが困惑していると、俜迓は小さな声で「まってて」と言って、突然立ち上がり部屋を出ていってしまった。
    あれ…どうしたんだろう。

    アタシは俜迓が自分の部屋に行ったことだけしかわからず、何も書かれていない白い紙を見つめていた。

    タッタッタッと早足で戻ってきた俜迓は、なにか小さな箱のようなものを持っていた。横に長くて、厚さはあまりない。

    「…!おかえり、何持ってきたの?」
    アタシが座ったまま見上げて聞くと、俜迓は少し嬉しそうに横にしゃがみこみ、持っていた箱を見せる。

    これは…………色鉛筆?

    パッケージがやけにカラフルで、全部で36色もある、かなりいいやつみたいだ。こんなものを持っていたのか。

    アタシはそれを見て言う。
    「わ…すごいね!こんなのいつから持ってたの?」

    俜迓はその質問を聞いて少し決まり悪そうにした。
    あれ…聞かれたくなかったかな?

    アタシが質問を撤回しようとすると、俜迓はそれを遮って答えた。
    「分からない。でもいつの間にか持ってた。」

    俜迓に関連する事柄でこのパターンをよくある。
    俜迓が俜迓でなかった時に起きた事柄は大抵この言い方だ。
    この色鉛筆も、あの悪魔が用意したものなのだろうか。
    だとしたら…一体なんのために?

    俜迓は色鉛筆の箱を置いて、蓋を開ける。
    完全に新品だ。長さも揃っているし、色も鮮やかで、見ていて気持ちがいい。
    あれ……でも。

    赤だけ、ちょっと先が丸くなってる気がする。
    どこかで使ったのかな。

    俜迓は黒い色鉛筆を取りだし、黙って線を描き始めた。
    お、何を描くのかな?

    アタシが黙って見ていると、俜迓はきまり悪そうにアタシを見つめてきた。
    「…り、リネンも何か描いて…」

    あ、そうだよね。
    じっと見つめられたら描きにくいよね。
    「ごめんね!そうだね、何描こうかな」

    ぼんやりと考えていると、隣にいる俜迓が絵を描くその姿がやけに視界に入ってきて、集中できない。その奥でパボメスにダメ出しをされてブーブー言ってるザイカの方がよっぽど目立っているのに、なんでこうも目を離せないんだろう。
    アタシは、すり減っていた赤い色鉛筆をとった。


    しばらくして、俜迓は色鉛筆を置く。
    描き終わったのだろうか。
    「俜迓、描けたの?」
    アタシが聞くと、俜迓はこくんと頷いて、絵を裏返してアタシに押し付けてきた。
    やった。見せてくれるんだ。
    描いている最中に何度もチラ見しそうになったけど、完成が楽しみだったから我慢してた。俜迓もきっとあんまり見て欲しくなかっただろうし。
    でも、それをやっと見られる。アタシはドキドキしていた。


    絵を引っくり返す。

    そこには、人の顔らしきものが描かれていた。
    顎の形とかが歪だけど、間違いない人の顔で、可愛らしい絵だった。

    …って。
    よく見たらこれ、アタシ…?

    頬の辺りにぐちゃぐちゃと描かれた線が、アタシのタトゥーをしめしていることがわかる。首のところにも、たくさん線を引いていて、髪も長いし、再現度が高い。
    そして大きな目。アタシのつり目をよく再現してる。


    何より、下にたどたどしく「りねん」なんて書いてくれて。

    「…俜迓…アタシを、描いてくれたの?」
    アタシが震えながら聞くと、俜迓は下を見て、悲しそうに「あまり、上手にできなかった」と呟く。

    アタシは俜迓を抱きしめた。

    嘘みたい。どうしよう。凄く嬉しい。

    「全然下手なんかじゃないよ。すごく上手!
    素敵だよ、俜迓。アタシ、凄く嬉しい…!」

    いきなり抱きしめられて驚いたのか、俜迓は動かずにいた。でもそのうち首を動かして「ほんと…?」と呟くので、アタシは何度も頷いて「うん!」と伝える。

    でも。
    アタシが感動しているのは、俜迓がアタシを描いてくれたことに対してだけじゃない。

    「じゃあ、俜迓。アタシの絵も見てくれる?」
    アタシは俜迓と同じように絵をひっくり返して俜迓に渡す。俜迓は目をぱちぱちさせて紙を受け取り、惜しむ様子もなくひっくり返した。



    俜迓が、目を見開いてる。

    「どうかな?うまく描けてる?」

    アタシが心配げに聞くと、俜迓は紙とアタシを交互に見て、そして



    「これ、僕…?」

    そう聞いてきた。

    そうだよ。アタシ、俜迓と同じこと考えてたんだよ。

    絵を描いてる俜迓を見てたら
    もうそれしか描けないなって、そんな気がしたの。
    それが一番上手に描ける気がしたの。


    「そうだよ。…下手だよね…ごめんね」

    アタシが申し訳ながらにそう言うと、俜迓は首を横にブンブンと振って一言言った。

    「上手、だと思う。僕は好き。」


    アタシは顔が熱くなる感覚がした。
    どうしよう、多分今真っ赤だ。

    なんだろう、俜迓の色鉛筆だからかな。
    自分でも実は結構上手く描けたと思ってるんだ。

    アタシはすり減った赤と黒の色鉛筆を眺めながら笑う。
    そして、描いた絵をお互いに元に戻して、「それじゃ、パボちゃんにコツ教えてもらおっか。そしたら、もっと上手に描けるかもしれないよ!」と言う。

    俜迓は少し笑って「うん」と大きく頷いてくれた。

    平和な時間。色鉛筆で描く線のように儚い時間だけど、こういう何気ないひと時が、アタシや俜迓を癒してくれる。

    これからも続くといいな。
    ずっとずっと。
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