猫になったら希望があるかも!「……あれっ? はじめまして、だよね?」
上から降ってきた柔らかな声は、猫になった私に向けられていた。私がにゃあう、と小さく鳴いて顔を向けると、半分閉じたような眠たそうなその人の目は、全開になった。
「可愛い……」
そっか、私可愛いんだ。良かった。自分では見えないけど。
可愛い猫になった私を見て、その人は美味しいケーキを食べた時みたいな笑顔になった。
「にゃむににゃう、にゃおあぅん……(そんな顔、できるんだ……)」
紫色のフード付きTシャツを着た愛しい人は、ゆっくり屈んで目を細め、ボサボサの頭を掻きながら、
「ん? 三毛猫ちゃん、なんか言った? おれ……一松って言うの。よろしくね」
と、自己紹介をしてくれた。
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