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    Na0

    雑文をポイっとしにきます🕊

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    素振り18。落ち葉拾いに行った際の脳内。秋の情景の中イチャイチャさせたかっただけ🕊

    Brand New Days 焚き火の香りに薪の爆ぜる音が響き、虫が寂しげに鳴いている。その脇を、かさり、かさかさかさ、と。冷たさの混じる風と共に、手のひらを広げた形の赤と黄の枯れ葉が、大地に寂しく渡っていく。
     されどそれらはどんなに哀愁を誘おうと、来春、来夏の息吹への期待を誘う音であり、大地の実りと豊かさの確かな約束だった。そこには、暮れゆく季節の音が満ちて、ゼルダの中に優しく響いていた。
     アッカレ地方の入口にある、ミナッカレ馬宿。
    料理鍋の近くにある丸太を縦に割った素朴な椅子に腰掛けたゼルダは、今まさに海から朝日が登るのを息も忘れて見惚れていた。冷え切った秋色の世界が静かに新しい一日を迎え、朝露にキラキラと光る。
    自分もその輝く世界の一部のようだと、そう感じていた。
     鍋の向かいでは、そんな彼女の横顔を見つめながら、リンクが静かに鍋をかき混ぜていた。
    料理鍋の肌にふつふつと静かに小さな泡が浮かんでは、消えていく。
    最後に大きくかき混ぜて、一番深いところからすくうと、移動用に携帯している木製の杯にそれを静かにそそいだ。ハチミツをたっぷり入れ、空気を含ませるためによく混ぜたミルクは、クリー厶の様だった。くるくると杯の中で泡が踊る。それを手に静かに立ち上がって、彼女のそばまでくるとリンクはそれを差し出した。
    「はい。どうぞ」
     目の前に杯が差し出されて、ようやくゼルダはリンクが隣にいるのに気がついて、目をしばたかせた。
    「あぁ。つい朝日に見惚れてしまいました。ありがとう」
     まだどこか夢見心地で、ゼルダはほっと息をついた。受け取る手が覚束ないわけではないが、リンクは彼女が杯をしっかり持って、自らの方へとするまで、その手を添えてやる。自然と指と指が触れ合うが、二人共それについては、あえてくちをつぐんだ。
    「ね? 言ったとおりでしょ。アッカレの朝日が、ハイラル1美しいんだ」
     リンクも習って見やると、凪いで静かな海原に陽の梯子が伸びて岸まで届いていた。
    「はい。あなたが言うように、確かに美しいですね。この目で見ることができて幸いでした」
    「ロベリーのいる研究所から見るのが、また最高なんだ」
    「まあ。彼に会えるのも嬉しいですが、それも楽しみですね」
    「うん。今日は、次の馬宿まで行って、明け方前に研究所まで登ろう。朝日をみて、それからゆっくり挨拶しに行こうよ」
    「ええ。そうですね」
     旧知の彼に会うのも、彼の奥方に会うのも楽しみだったが、それと同時にどこか落ち着かなさにゼルダは手の中のミルクにふーっと息をかける。白い水面に波紋が広がり、鼻先をくすぐっていた湯気が大気にふわりと溶ける。ゼルダは、慎重に杯に口をつけた。口内にほっとする甘さが広がる。
    「美味しい……」
    「良かった」
     ゼルダのほころんだ顔につられて、リンクも自分の手にした杯に口をつけた。甘い。彼女の慣れない旅の疲れを癒したくて、少しだけ気持ち多めにハチミツを入れた。
    これなら体だけでなく、心も癒やすだろう。
     ぺろりと唇に残る泡を舐めながら、リンクはまたその横顔を見つめた。すると、声もかけていないのに、ふっとゼルダがリンクの方を見た。二人の瞳が重なって、ゼルダがはにかんで笑う。
    まるで今まさに口にしたミルクの様な表情。思う間もなく、自然に体が動いて、リンクはそっと彼女の頬。唇のすぐ横に口づけた。
     しまった。やっちゃった。と、彼がそう思ったのは、唇が離れる時だった。
    恐る恐る彼女を見やると、ゼルダは驚いた表情をしており、その白く柔らかな頬は、落ち葉と同じに赤く染まっていた。
    嫌そうでは決してない。なのに新緑の瞳は、地面へとふせられた。
    「……駄目、だった?」
    「いいえ。いいえ」
     分かっていたけど念の為に、と。リンクが尋ねると、ゼルダは金の髪をゆらしながらふるふると首を振った。
    「あなたの唇が、思いの外あたたかだったので、少し……少しだけびっくりしました」
     おずおずと告げると、ゼルダはさらに顔を赤くした。その仕草の愛らしさに、リンクは胸をいっぱいにして、大きく息を吸い込んだ。
    「おれも!」
     つい大きな声が出て、リンクだけでなくゼルダも驚いてぱっと顔をあげた。
    目にしたのは、昔も今も知らない。見たことの無い表情の彼だ。大きく笑うと、整って並ぶ白い歯が見えた。蒸気した頬に、感情豊かに動く眉。瞬く瞳。空色のそれは、喜びに輝きながらまっすぐに見つめてきて、ゼルダはそこに自分の姿を見た。全てがまるで初めて彼を見初めたような、胸の高鳴りを感じていた。
    「ゼルダの頬が冷たくて、びっくりした」
    「ふふふ。私達、同じですね」
    「うん」
     喜びが溢れて、今度は互いに自然に顔寄せ合う。唇の柔らかさと一緒に、ミルクとハチミツの味がした。
    恋人の唇に、彼の気遣いの味がするあたたかな飲み物。
    全てに等しく降り注ぐ朝日に包まれて。
    見つめてくる空は優しくて。
     今日も新しい一日が始まる。
    ゼルダは喜びに震わせながら深く息をして、心の中で女神に感謝した。
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