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    Na0

    雑文をポイっとしにきます🕊

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    Na0

    ☆quiet follow

    自分でも何ともしがたい気持ちで、相手の唇をかみかみするチュー書きたくなって。
    すると百年後だと浮かばなくって。本編だと百年前は主従以外になりようがなかった派なんですが、私だって恋人近衛さん書きたい。

    素振り 20【今回の設定】
    恋人関係の近衛と姫様です。
    もちろん周囲には秘密です。
    けど、侍女長くらいは「ご寵愛の者の一人くらい、私達がお守りします」くらいな感じがいい。
    姫様から近衛を恋人にした。
    両思いよりは、自分の気持ちに彼を付き合わせてるのかも。と、思ってる節もある。



    ✻ ✻ ✻


    「只今、戻りました。姫様」
    「ご苦労でした。リンク」
     労いの言葉を口にすると、彼が面をあげた。
    空色の瞳を。その奥の彼の真実を知りたくて、私は息を詰めて見つめる。
    そんな物。どんなにのぞき込もうとも、分かるはずもないのに。
     彼が私の視線に気づいて、逆にこちらをうかがってきた。
    意図せずに見つめ合って、視線が絡む。
    一瞬、喜びにあふれるが、それを自ら終いにした。
    どうしても胸が痛む。
    「何か?」
    「いえ。何も」
     嘘だ。先程、偶然目にしてしまった光景が頭から離れない。
    研究室からの帰り。渡り回廊から、下を歩く彼の姿を見た。
     近衛騎士の正装を隙無く着込んだ禁欲的な佇まい。どこから見ても完璧な私付きの騎士。私の想い人。
     そんな彼が迷いない足取りで目指すのは、もちろん私の所だ。それが誇らしく、この上なく幸せだった。
     なのに。彼がその歩みを止めた。同時に外回廊の庇からのぞいたのは、ひらめくドレスの裳裾。
    若い者の間で流行っているという華やかな季節の花色にビーズ刺繍が見事なそれが、眩しく光る。
    そして白いレースに包まれた細い手が彼の腕に伸びて、触れたのが見えた。
     ぱっと視線を外して、塔の中へと飛び込んだ。部屋へと繋がる螺旋階段の欄干を手に、胸を抑える。誰だろう──彼を呼び止められる程の誰か。彼に触れる事が叶うだけの誰か。私は、今日の謁見予定者の一覧を頭の中で広げた。
    あの令嬢か。それともあそこのまだ若い奥方か。
    誰でもいい。けど誰であっても許せない。
     そこまで思いを巡らせて、私ははっとした。
    『許せない』。姫巫女たる私──慈愛と安寧。女神の代行者として求められている自分が、慈しむべき民に対してなんという事だろう。
     自分が許せなくなって、声にならない声をあげ、握りしめた拳で自分の大腿を叩く。
    ドンっと鈍く鳴り、青の絹が擦れる音がした。
     それでも足りなくて、私は自分を責める様に唇を噛んだ。それは私の至らなさを罰する為に。
    誰かを羨んだり、憎んだりしないように戒める為に。それで気分が晴れる事がないのは、十分わかっていた。
    「姫様? どこかご気分でも……」
     先程の事を思い出して、物思いにふけっていた意識を彼の声が呼び覚ます。
    「何もありません。お下がりなさい」
    「はっ」
     素気なく言うと、彼は言葉を飲み込んで、頭を下げた。そのまま、こちらに視線を寄越す事なく立ち上がる。
    彼がこちらに礼をとりながら振り向く。すると、近衛服がひらめいて、ハーブの香りが鼻先をくすぐった。それは、優しい眼差しと共に、背後からいつも寄り添ってくれていた。抱き寄せられた時にもふわりと匂い立つそれは、私の決意や心の壁をいとも簡単に壊してしまう。
    「リンクっ!」
     自分でも滑稽だと思うくらいの必死な声音で彼を呼ぶ。すると、彼は驚いた様子で、すぐにこちらを振り向いた。
     彼には全く何も思い当たる事は、ないのだろう。その瞳をしばたかせた様子で、わかった。
     それは、何だか悔しくて、悔しくて。
    自分ばかりが苦しくて。でも、彼はこの秘密を受け入れて、共有してくれている事に感謝をしていて。久しぶりにぐちゃぐちゃになった感情が、思考よりも先に、言葉になって口から滑り出る。
    「貴方は私に何か言う事はないのですか?」
    「えっ……はい」 
    「本当に、ないのですね!」
    「……。はい」
     一瞬、視線を彷徨わせて、それから真っ直ぐにこちらを見つめる瞳に、心を囚われる。どこまでも澄んでいる。今の自分には分不相応だと、私の中の私が叫ぶ。
    「私には、あります!」
     そう小さく叫んで、私は彼のケープを掴んで引き寄せる。驚きにわずかに開いた唇に、噛みしめてしまったせいで僅かに腫れた物を重ねる。
     いつもは人の目の届かぬ所で、優しくなぞる様に、触れ合うだけの口づけだった。けれど、今は私の私室。入り口からのぞけば簡単に見える場所で、昂るままに押し当てた。
     触れ合った箇所から、動揺した震えが伝わってきた。
    「っ?!姫様!駄目です。ここではっ」
    「かまいません!」
     彼が戻る前に人払いは済んでいた。逃げる唇を追いかけて、また重ねる。何度も、何度も。どうしたって高潔な彼とは1つになれないと、わかっているからこそ強く押し付け、首に手を回す。
     すると、その指先に硬いものが触れた。マスターソードだ。厄災討伐の要。女神の遣わせた聖なる剣。
     私は、はっとなって、即座に手を引っ込めた。自らの仕出かした事に、畏れから血の気が引いていくのがわかる。クラクラとする意識の中、その罪深い手をリンクが引き止め、柔く包み込んだ。
    「リンク?」
     皮と絹越しに触れ合う指先が、もどかしくて切なくて、視線を落とす。すると追いかける様に、空色の瞳が。唇が。指に落とされる。
    赦されなくても、許されている。
    胸が苦しい。
    「リンク」
     彼の腕が、私の腰に。背中にまわされると、そっと抱き寄せられた。
    首筋に彼の秘められた吐息を感じ、彼の本心が優しく耳に響く。
    「私も……」
     答えようとしたが、彼の唇がそれをさせてくれなかった。
    甘い。なぞっては、ゆっくりとついばむ。気持ちがあふれて、言葉にならなくとも伝わってくる気持ち。
    甘く求められながら、胸に刺さる硝子の棘が痛み、堪らずその唇に小さく噛みついた。驚きに、彼が一瞬離れる。それでもすぐに重なって、絶えず離れずに、彼の舌先が私の唇を小さく宥める様に動く。
     舌が絡まり、吐息に熱を感じてもなお、求めては小さく舌に噛みつく。
    「姫様……」
     求めても叶わぬ。解ってもなお、諦めきれず、言葉にならない。だから彼に痕を残す。
    「んっ……」
     鼻から声を漏らして、続きをねだる。求めながらも拒絶する口づけを交わし、私は彼に手を沿わす。手袋越しにも掌に伝わる彼の引き締まった体と熱。ケープのベルベットの感触、サーコートの胸の刺繍──王家の紋。それを握りしめる。
     こんな私を、諦めないで。
    赦して。
    どうかその手を離さないで。
    この時だけは、女神ではなく、貴方へと祈る。
    必ず目覚めるから、それまではと、心で縋りながら。
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    Na0

    DOODLEゼルダが戻った砦が大騒ぎになって、全種族揃って宴会する話。
    4種族そろうのってなかなかないと思う。ゾーラなんて特に清水がないと駄目だし。そんな中でうまれた料理に、自分の成した事を見出してほろりとする事があっていいなぁと…思ったらくがき。
    ゼルダが戻った砦が大騒ぎになって、全種族揃って宴会する話 その日、ゼルダの帰還に砦は歓喜に沸いた。
    鳴り止まぬ彼女を称える声が鳴り止まない。
    リンクは集まる人々からゼルダを守りつつ、自らももみくちゃにされ、多くの物が彼の腕を、その背中を叩いた。
    「よくやった!」と、そう誰かが言った。リンクの胸が熱くなる。
     リンクとゼルダがようやく中央まで進むと、「どいてっ!ちょっとどいてよっ」と、突然プルアが人垣を押しのけて現れゼルダに抱きついた。
    涙を浮かべるプルアにゼルダは、感謝を口にしてその体を抱きしめかえした。
     その光景に、地下の梯子によじ登り氷柱に顔を出した者達も腕を振り上げる。
    「ゼルダ様、万歳!」
    「ハイラルに安寧を!」
     皆が口々に叫ぶ。
    この数ヶ月、誰もが不安の中、できる限りの務めを果たした。ここに──この世界にいる誰しもがそうだった。そこにゼルダは、百年前と変わらぬ命の輝きを見た気がした。
    1808

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