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    Na0

    雑文をポイっとしにきます🕊

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    POIPOI 112

    Na0

    ☆quiet follow

    最後の記憶を夢に見るリンクの話。
    近衛は『私』で、回生は『おれ』派なんですが、回生が追体験した近衛の記憶なので『おれ』になってます。
    朝の習作。しばらくこんな感じにいきます。

    素振り 22これは……夢だ。

    あの時の記憶を……見ているのか。

    地に倒れ伏した体は、鉛のように重く動かない。
    剣は、すでに剣ではなく。杖だ。
    倒れた今となっては、杖も無用。
    しかも、それを握る手は、指一つ動かない。

    早く起き上がらないと。
    「立て!さもないと死を呼ぶぞ!」と、誰かが叫んでる。
    叱られる!起きなきゃ!
    と、思うけど、それは霞の中。
    誰がそう言ったのか思い出せない。

    ただ一つ。

    「リンク、だめ!だめー!」

    おれを呼ぶ声がする。

    抱き起こされた。その温もりが……冷え切っていた。


    早く安全な場所へお連れしなくては。
    早くその御体を温めて。
    早く、早く。

    気持ちばかりが焦った。

    ついにこの時がきたのに。

    おれは。
    おれは。

    やっと目を開けて、視界にその御尊顔をみた。
    泥で汚れて、それでも美しい。
    おれの──。

    「ぇっう──ぁ」

    全身の痛みに、声にならない。
    伝えたい事がまだある。

    喜び。
    謝罪。
    願い。
    赦し。

    そして、残ったのはただ一つ。
    己の奥底に秘めていた気持ち。
    それは、このまま連れて行こう。

    冷たい。雨が降っていた。
    そうだ王都を出てからずっと、降り止まなかったのか。
    それすら気にかけて差し上げられなかった。
    頬に温かい雫が落ちて、流れる。
    これは──姫様の涙か?
    おれの為に泣いてくださるか。

    いや!いやだ。行きたくない。
    深淵に背中からゆっくりと落ちていく。
    冷たい沼底に沈むように。
    意識が先に。体は後に。
    熱を失っていく。

    姫様の声がする。
    なんて……なんて……。
    おれは愚かで、運の無い男だろう。
    役目も果たせず。
    大切なお方を悲しませて。

    願うならば、もう一度。
    もう少しだけ──。
    願いは、段々と闇に飲み込まれて消えていった。


    ✳ ✳ ✳


     落下する感覚に、リンクはビクリと体を震わせた。
    一瞬で覚醒し、あたりを見渡すと、そこは自室の寝台の上だった。
    天井近くの明り取りの小窓から朝日が柔らかに差し込み、閉めた鎧戸からは小鳥の囀りが聞こえてきている。
     それに腕の中には愛しい人が眠っている。彼女がまだ優しい夢の中にいる事を確かめて、リンクはほっと安堵してまた布団に潜り込んだ。
     温もりが、なんとも心地よい。
    触れ合う肌がすべやかで、また腕の中に閉じ込める。
    「んっ」
     その可愛い声に誘われて、額に口づけると、彼女の香りがした。
    唇を離して、そっと顔をのぞき込む。
    すると、寝ているはずなのに、何とも幸せそう。彼女が好むフルーツケーキの上を飾る生クリームのような微笑みを浮かべている。
    (幸せだ……)
     リンクは、そう思った。
    愛する人の笑顔がそこにあり。
    それは自分の想いに返された物で。
    手を伸ばして、触れていい。
    許されている。
     それが、どんなに奇跡なのか。
    自分だけでなく、相手もそう思っていて。
    今を大切に過ごしている。
    幸せという以外に、この状況を表せる言葉は他に無い。
    (昔のおれも……少しは可愛げがあったんだな)
     リンクは瞳を閉じて、あの時、最後の最後に自分に残った『願い』を想う。
    (大丈夫だ。おれは、願いを叶えるよ。だから、大丈夫。あの時のおれ。安心して、眠るといいよ。その先に絶対!絶対!今が待ってるから)
     悪夢の中の自分にそっと話しかけ、ゼルダの寝息に自分のそれを合わせる。
    すると、睡魔がそっと背中から寄り添ってきた。
    寝台に。温かな温もりに、意識が溶けていく。
    ふっと落ちていく感覚の中。リンクはその口元に微笑みを浮かべていた。
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    Na0

    DOODLEゼルダが戻った砦が大騒ぎになって、全種族揃って宴会する話。
    4種族そろうのってなかなかないと思う。ゾーラなんて特に清水がないと駄目だし。そんな中でうまれた料理に、自分の成した事を見出してほろりとする事があっていいなぁと…思ったらくがき。
    ゼルダが戻った砦が大騒ぎになって、全種族揃って宴会する話 その日、ゼルダの帰還に砦は歓喜に沸いた。
    鳴り止まぬ彼女を称える声が鳴り止まない。
    リンクは集まる人々からゼルダを守りつつ、自らももみくちゃにされ、多くの物が彼の腕を、その背中を叩いた。
    「よくやった!」と、そう誰かが言った。リンクの胸が熱くなる。
     リンクとゼルダがようやく中央まで進むと、「どいてっ!ちょっとどいてよっ」と、突然プルアが人垣を押しのけて現れゼルダに抱きついた。
    涙を浮かべるプルアにゼルダは、感謝を口にしてその体を抱きしめかえした。
     その光景に、地下の梯子によじ登り氷柱に顔を出した者達も腕を振り上げる。
    「ゼルダ様、万歳!」
    「ハイラルに安寧を!」
     皆が口々に叫ぶ。
    この数ヶ月、誰もが不安の中、できる限りの務めを果たした。ここに──この世界にいる誰しもがそうだった。そこにゼルダは、百年前と変わらぬ命の輝きを見た気がした。
    1808

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