やっとこさ鍵を見つけ、篝火のある不死牢を開けると奥で誰かが俯いて座っていた。
ずっとここで囚われていたのだろうかと思い不死は声をかけてみた。
「あの…」
「誰だ、あんた。あの野郎が戻ってきたのかと思ったが…。鍵を開けてくれたのか、これで外に出られる。あのクソ野郎…必ず見つけ出してやる…」
鉄仮面をつけた戦士風の男の名前はクレイトンという。
聞けば、ミラの国の出身でここドラングレイグには武者修行の旅で来たらしいが途中で一緒になった男に殺されかけここで返り討ちにしようとしたら閉じ込められて途方に暮れていたらしい。
「あんたのおかげで助かったよ。礼を言う。」
「いえいえ!偶然とはいえ貴方の助けになったのならよかった。貴方の話を聞く限りだとその方はまだこのドラングレイグに居そうですね…」
なんとも物騒な人だ…自分も隙をつかれぬよう用心せねばと思いその男の名前を聞いた瞬間不死は背筋が凍った。
「あんたも気をつけろ、ペイトって男だ。そうだな…変わった指輪を持っていた。それで分かるはずだ」
「あのクソ野郎、殺しが趣味って感じがビンビンに伝わってきたぜ」
ペイト…聞き覚えどころか森の奥にあった砦で先にある罠の忠告や巨人と共闘してくれたりとやたら親切な男だった。
彼はそんなことをするようにはとても見えなかったがまさかそんな危険人物だったとは…。
「ペイトさん…嘘だろ…」
困惑で声が震える…。
「これまでも似たようなことをしてきたんだろうさ。殺したほうが世のためってもんだ」
「確かにそうだけど…」
にしても物騒なこと言うな…余程頭にきているのだろう。
「やつは口が上手い、騙されるんじゃないぞ」
「分かった…忠告ありがとうクレイトン達者でね」
「おう、じゃあな」
クレイトンは不死牢を後にし不死は傷を癒すため篝火で休憩をとった。
「あの野郎、見つけ出して殺してやる…ヒヒヒッ…」
そう呟いたクレイトンの声に不死は気づかないのであった。
そう、クレイトンもまた危険人物の1人であり故郷で同胞を殺した罪により死刑になる前に脱獄した殺人鬼である。
不死が彼の本性を知るのはジェルドラで彼に加勢をしお礼と称して爆殺されかけたのちマデューラにいる同じ国の出身であり亡者かが激しいケイルからそのような男の話を聞いた後のだった。
『うかつに他人に気を許すと、危険ですよ…』
土の塔でペイトに再開した時言われたことを不意に思い出した。
「ペイトさん…あの時のあの言葉だけはあんたが正しかったよ…」
このままじゃ人間不信になっちゃうな…とケイルの家を後にしながら不死は再び旅に出るのであった。