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    ぬこです。

    龍如にハマったダメ人間。
    マジで何でも許せる方向け。

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    ぬこです。

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    ハン趙。
    えっちなお兄さんは好きですか。①

    イルミネーションが煌めく華やかな横浜の繁華街を、スーツの美青年が駆け抜ける。
    整った顔立ちにめいっぱい期待を浮かべて、桃色の頬をして走る彼の瞳は、街のイルミネーションを反射してキラキラと光って。
    一目で大切な誰かと待ち合わせなのだ、とわかるその様子は、まるでドラマのワンシーンのようで、誰もが思わず振り返る。
    そんなこともお構い無しに、額に汗を浮かべて急ぐ彼が、足早に雑踏を抜けた先。
    観覧車がゆらゆらと水面に揺れる横浜港の夜景を背中に、こちらに向かって手を振る男がいた。


    「ハンくーん、こっちこっち。」


    のんびりとした甘い声が、青年の名前を呼ぶ。
    すると、ハンと呼ばれた青年は、その頬を得意気に綻ばせて、抱きつかんばかりの勢いで名前を呼んだ彼に向かってまた駆ける。


    「趙さん!」
    「はぁい、お疲れ様。」
    「...遅れて、すみま、せん!」
    「大丈夫だよ。俺も今来たトコだし。」


    側によった彼が息も整わないうちに謝罪するのを、趙は優しく受け流す。
    さりげなく背中を撫でる手に、ハンの肩が僅かに跳ねたのも、趙は気づいて見ない振りをした。


    「スーツ、似合ってるね」
    「ありがとうございます。」


    ちょっと見せて、と一歩離れて。
    全体をじっくりと見渡す。

    銀色の髪を艶っぽく後ろに撫で付け、深い藍色のスーツに身を包む彼は、普段は黒いコートに隠されているしなやかに鍛え上げられた逞しい身体のラインをしっかりと露にして。
    そのくせかっちりと首もとまで締めれたネクタイは生真面目でいっそ初々ような印象で、どこかあどけなさを残すハンの顔立ちと相まって可愛らしく。
    全体を美しくまとめるシャツとネクタイの配色は、夜のデートに相応しい色気と派手さだが、決して華美ではなく、銀色のネクタイピンから手首に光る腕時計まで、その全てがハンの魅力を引き出す「脇役」に留まるようにセットされている。


    「うん、かっこいいよ。」


    細部までしっかりと観察したあと、満足げにため息をついて、惚れ惚れと目を細めた趙に、ハンの頬が染まる。


    「趙総帥もお似合いです。その、とても...素敵です。ほんとうに。」


    その視線にどぎまぎとしていたハンが、ハッとして負けじと口を開く。そのついでに、勢い余って三歩ほど詰まった距離に、趙がクスクスと笑う。


    「そ?正月とかしか着ないから、慣れないんだけどね」



    言いながら、くるりとその場で回ってみせた趙はと言えば、黒の長いマオカラーシャツと白いゆったりとしたシルエットのパンツを合わせた独自のスタイルだ。
    オーダーメイドのストイックさで、その肩、胸にかけてぴったりと張り付くように、美しく趙の身体を包む艶やかな黒のシルクは、スリットの入った裾と、余裕を持ってデザインされた袖が対照的にひらひらと揺れて、趙の動きをすらりと際立たせる。
    いつものサングラスにキラキラと光るチェーンをつけて、首もとを艶やかな赤い飾りで閉じる彼は、触れれば散る花のような危うい魅力でハンの前で微笑んでいた。


    「さ、行こうか。お店の予約ありがとうね。」


    ハンの素直な熱っぽい視線をさらりと交わすように、趙が何の気なしといった体でするり、とハンの隣に並ぶ。下品なほど歩きづらくなく、かといって友人同士よりは明らかに近い。
    一足に他人が近寄りがたい絶妙な距離を図る趙にハンの心臓はまたひとつ跳ねる。


    「いえ。でも中華なら趙さんの味に敵う店などないと思いますが。」
    「えー、せっかくオシャレしたんだからさぁ。雰囲気のあるトコ行きたくない?それにいつもの場所だとほら、みんな来ちゃうし。」
    「確かに、そうですね。あなたの作るごはんは、いつもいい匂いが、しますから。」
    「でしょー?」


    たまにはオシャレしようよ!と軽い気持ちで言い出した今回のデートは、予想以上にお互いの胸をしっかりと射抜いたようで、並んで歩く港沿いの潮風が、ぽかぽかと火照った頬を冷やしていく。



    「ね。だから今日は二人きり。」


    きゅ、と長い袖が隠した趙の指先が、ハンの指に絡む。跳ねた心臓に弾かれるようにハンが趙を見ると、彼は薄く色ずくガラスの向こうの瞳で真っ直ぐにハンを射抜いた。
    愛おしいよ、と語るようなその瞳のその奥にじくじくと疼くような欲情が光ると、ハンの身体が無条件に震えた。


    「趙...さ....」
    「ん?」


    夜景とライトに照らされた唇が、ゆっくりと笑う。まるで引力があるかのように、あまりに自然に顔を寄せたハンの背後から、カップルの笑い声がする。




    「....っ」
    「あはは!可愛いねぇハンくん!」


    ビクッと、目を見開いて頭を引いたハンを、趙が笑う。途端にむ、と不機嫌を瞳で表すハンの頬に趙が触れると、条件反射の無意識なのか、柔らかい頬が手のひらに寄ってくる...ムスッとした顔のままで。



    「ごめんごめん、ほら機嫌治してよ」
    「................私をからかいましたね?」
    「だって、ハンくんが可愛いからさぁ。」
    「そうやって舐めてると痛い目をみますよ。」
    「...へぇ?どんな風に?」


    「天祐」


    低い、甘い声が。
    趙の脳髄に響いた瞬間。
    素早い動きで手首が捕まって、次の一瞬には唇が熱かった。

    捉えられた顎の指先は優しいけれど、それでも有無を言わせない強引さで趙の動きを封じるそれは、くちゅ、と音を立てて滑り込んできた粘膜の熱さと相まって、趙の頭に甘く響く。
    見開いたままの趙の瞳を、覚えたての狩りに血を踊らせるた若い雄の視線が貫くと、趙の背骨をゾクゾクとした甘い電流が伝った。


    「んっ....ふっ!」
    「...っ、は。」



    短く歯列を撫でたそれが甘く唇を撫でながら離れると、一瞬、遠くなっていた町のざわめきが趙の耳に戻る。ハンの腕のなか、目を見開いたまま、その頬をみるみる桃色に染めていく趙の唇は、キスの名残で潤んでいた。



    「大丈夫です。誰も見ていませんでしたので。」
    「....びっくりしたぁ。」



    ふふ、と満足げに笑って隣に並び直すついでにさりげなく、王子さまの仕草で腕を組ませてくるハンの隣を歩きながら、与えられた熱にクラクラする頭と、うずき始めた腰を抱えたままの趙が口を尖らせる。



    「...ヨンスのばか。」
    「天祐が煽るからですよ。」



    真っ赤な頬と耳をして、ぶっきらぼうの顔で趙が呟くと、年下の"可愛い"彼氏が楽しそうに笑う。
    夜は、まだ始まったばかりだ。
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    ぬこです。

    DONEハン趙。
    えっちなお兄さんは好きですか。①
    イルミネーションが煌めく華やかな横浜の繁華街を、スーツの美青年が駆け抜ける。
    整った顔立ちにめいっぱい期待を浮かべて、桃色の頬をして走る彼の瞳は、街のイルミネーションを反射してキラキラと光って。
    一目で大切な誰かと待ち合わせなのだ、とわかるその様子は、まるでドラマのワンシーンのようで、誰もが思わず振り返る。
    そんなこともお構い無しに、額に汗を浮かべて急ぐ彼が、足早に雑踏を抜けた先。
    観覧車がゆらゆらと水面に揺れる横浜港の夜景を背中に、こちらに向かって手を振る男がいた。


    「ハンくーん、こっちこっち。」


    のんびりとした甘い声が、青年の名前を呼ぶ。
    すると、ハンと呼ばれた青年は、その頬を得意気に綻ばせて、抱きつかんばかりの勢いで名前を呼んだ彼に向かってまた駆ける。


    「趙さん!」
    「はぁい、お疲れ様。」
    「...遅れて、すみま、せん!」
    「大丈夫だよ。俺も今来たトコだし。」


    側によった彼が息も整わないうちに謝罪するのを、趙は優しく受け流す。
    さりげなく背中を撫でる手に、ハンの肩が僅かに跳ねたのも、趙は気づいて見ない振りをした。


    「スーツ、似合ってるね」
    「ありがとうございま 2680