兎年から辰年へ。マスターの受難「マスター様!どこにいらっしゃるの?」
「子ジカー!?どこいるのー?私のワンマンライブなのよー?」
「ふふっ、マスターったら隠れんぼなの?いいよ。僕が見つけてあげる。」
(どうしようどうしよう!)
埃っぽい臭いが鼻につく。
くしゃみが出てしまいそうになる。
キンと冷え込んだ倉庫から出たいのに出られない。
立香が外を伺うとまだドタバタと自分を探す声や音がする。じきにここも追手の手が迫るだろう。
(ああ、でもどうしてこうなっちゃったんだよ!時間早く過ぎてよ…!)
私が悪かったんだ。でも仕方ないでしょ?美味しい素材と美味しいBOX。
悪いのは全部クリスマスだったのに!
誰にも届かない懺悔は冷たい部屋に虚しく沈んでいった。
事の発端は約1時間前。大晦日夜11時よりちょっと前の頃。
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