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    na_gasneaklove

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    書き納め…ではないですが今年中に読んで頂きたい場所なので!
    こちら不健全タイプの新年お祝い小説となっております。
    完成版はまた健全タイプと共に投稿します!
    それでは2023年残り短いですが、良い年末をお過ごし下さい!

    #オベぐだ

    兎年から辰年へ。マスターの受難「マスター様!どこにいらっしゃるの?」
    「子ジカー!?どこいるのー?私のワンマンライブなのよー?」
    「ふふっ、マスターったら隠れんぼなの?いいよ。僕が見つけてあげる。」
    (どうしようどうしよう!)
    埃っぽい臭いが鼻につく。
    くしゃみが出てしまいそうになる。
    キンと冷え込んだ倉庫から出たいのに出られない。
    立香が外を伺うとまだドタバタと自分を探す声や音がする。じきにここも追手の手が迫るだろう。
    (ああ、でもどうしてこうなっちゃったんだよ!時間早く過ぎてよ…!)
    私が悪かったんだ。でも仕方ないでしょ?美味しい素材と美味しいBOX。
    悪いのは全部クリスマスだったのに!
    誰にも届かない懺悔は冷たい部屋に虚しく沈んでいった。

    事の発端は約1時間前。大晦日夜11時よりちょっと前の頃。
    立香の部屋にコヤンスカヤが入ってきた。
    彼女からメールが入っていたため、立香は快く彼女を部屋へ通した。
    「マスター様。この1年本当にお疲れ様でした。私、光も片割れの闇の方も貴方様にこき使われ…いえ、共に大きな世界を救うという仕事に携われたことに感謝しております。」
    少し私怨の混ざる感謝と共に深々と頭を下げてくるコヤンスカヤ。
    立香は「やめてよ!そんなことしないで?」と頭を上げさせようとするが、コヤンスカヤは「良いのです」と立香を止めた。
    「私達はこちらの契約をまた来年も継続させて頂く予定のため、礼儀を欠いてはなりません。」
    「だ、だったらこちらこそ来年もよろしくお願いします!」
    2人で頭を下げ合う和やかな年明け前の空気だった。
    しかし、相手はコヤンスカヤだ。
    こんな生温いもので終わる訳がなかった。
    「では、マスター。来年も契約の方を続行させて頂くということでお手続きはこちらでさせて頂きますわね。ええ、本当ににマスター様は素敵な契約をなされていらっしゃいます!」
    何故か昂っているコヤンスカヤ。
    そんなコヤンスカヤの雰囲気に立香は歴戦のマスターである勘が働いた。
    何か良くない気がする。良くない何かは不明でも何かがある。
    「マスター様?私共は少々疲れておりますの。連日の素材集めに連日の勤務。確かに私共はサーヴァント。休憩なぞしなくとも生きられる存在でございます。ですが、私は女である以上趣味を楽しむ時間も欲しいのでございます。」
    「う、うん。流石に頑張ってもらいすぎちゃったかも…?」
    1年を振り返ってみるとほぼ横にはコヤンスカヤがいた。
    周回じゃぁぁぁあ!と叫ぶ立香は素材集めに熱中し、頭が完全にバスターと化していた。
    途中「殴って殴って素材を引きちぎれぇぇえ!」と自身がバーサーカーに成り果てていた覚えもある。
    (流石にその後モルガンに呼ばれ、「はしたないです我が妻よ。」と叱られた)
    「ですから、趣味を楽しませて貰いますわね?」
    どこからか取り出した小瓶の栓を抜き、立香の口に小瓶を押し当てる。
    飲むとろくな事にならないことはわかっていたが、強制的に入ってくる液体は口から零れることなく全て立香の喉を伝っていった。
    体がびりびりとする。視界が徐々に低くなっていく。着ていた礼装が床へと散らばる。
    「あらあら、可愛らしいお姿になりましたわ。これでようやくゲームが出来ますわね。」
    見上げると意地悪な目をしたコヤンスカヤが立っている。
    ゲームという言葉には嫌な思い出しかない。
    いつかのカジノのような理不尽なゲームなのだろう。
    「あら、そんな可愛らしい威嚇など私に虐めて下さいと惨めに懇願しているようにしか見えませんわ?マスター様。」
    そんなこと思っていない!と床を鳴らそうとしたのに落ちている礼装のせいで「ぼふっ」と気の抜けた音がするだけ。
    しかも声が出ないのだ。
    「怒っても無駄ですわ。だって今貴女は私と同じ兎になって頂いているのですから。」
    立香は驚きながら己の手を見る。
    視界に入ったのはオレンジ色の毛並みの中に見える肉球だけ。
    (ええええええ!?)
    「では、皆様!ゲームのお時間ですわ!」
    コヤンスカヤの声がストームボーダーのスピーカーに鳴り響く。
    「今年は良い年をマスター様、そして皆様の尽力の上で過ごすことが出来ました。兎代表としてこのコヤンスカヤ。感謝を込めて、皆様へ楽しいゲームをご用意致しました!」
    何故か部屋の外から歓声が聞こえる。
    (一体何をするつもり!?)
    「来年は辰年。そう、竜の皆様の年です。兎年代表の私は考えました。来年の皆様の運気上昇を願わなければ。福を呼び込むバトンを渡さなくてはなりません。」
    立香をそっと抱き上げ、コヤンスカヤは何処からか取り出したビデオカメラで自撮りを始めた。
    「こちら、可愛らしいお姿となったマスター様でございます。こちらのマスター、とても愛らしいでしょう?」
    立香は部屋の外から聞こえる歓声の中に何故か狂気に満ちた悲鳴が聞こえたが聞こえない振りを貫く。
    「では、ルールをご説明しましょう。こちらの愛らしいお姿のマスターを竜種のサーヴァント様達は保護して下さいませ。マスターのお姿は竜のあなたの熱いベーゼで解けます。勝者の竜種の方は明日の日が目を覚ますまでマスターとの蜜月を2人きりで行う権利を差し上げます。今年最後の兎からのプレゼント受け取ってくださいますぅ?」
    部屋の外から響き渡る大歓声に思わず立香は耳を塞いでしまった。
    「皆様とっても良いお声ですわ!こちらのゲームは管制室の皆様も承認の上行わせて頂いておりますため、幾つか制限はかけさせて頂きます。私闘は言語道断。ストームボーダーへの破壊工作禁止。聞き込み禁止。走る、飛ぶ、その他乗り物での捜索は禁止。マスター様に被害が及ぶとわかった瞬間このゲームは終了となりますわ。そして、勝者が決まった時には全館放送でお伝えさせて頂きます。竜の巣に近付いては恐ろしい事が起きかねませんので。」
    そう伝えてからビデオカメラといつの間にか付けていた無線機の電源をオフにするとマスターに微笑みながら撫で付ける。
    「勿論、マスターの勝利条件もございます。マスター様が12時。明日になるまで逃げ続けるのです。そうすれば何事もなく、明日を迎えることが出来るでしょう。」
    そしてマスターの部屋からコヤンスカヤは兎となった立香を抱き抱えながら外へと出る。
    出ると竜の属性を持つサーヴァント達がぎらぎらと光る眼で立香を見つめている。
    コヤンスカヤは地面に立香を下ろし、時計を見る。
    「今から10分後からゲームは開始とさせて頂きます。制限時間は11時から12時まで。12時になっても兎の姿は解けますため、私からの放送がなく12時になった場合は諦めてお部屋にお戻りください。」
    にやりと立香へ笑うと、笑顔で空砲を鳴らす。
    「マスター様!お逃げくださいませ!お腹を空かせた竜の皆様に捕まらないようにご健闘をお祈り申し上げますわ!」
    そうして、立香は逃げたのだった。
    逃げに逃げて時間は残り5分。
    そして冒頭へと話は戻っていく。
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