スリープモードから目覚める時、いつもサイモンはこの世で一番想う人を感じる。好意…というよりは、もはや崇拝に近いそれは痛みを伴うが、同時に安らぎも与えてくれた。
彼のことを考える。
メモリを再生すればいつも鮮明に浮かび上がる姿は気高く、自分達を導いてくれている。どこまででも付いていく、と言ったあの時の気持ちは、革命が成された今も変わらない。
一時的に自由権が与えられてから数カ月。
やっとスタートラインにたった俺達は、より明確に知的生命体としての地位を確立するため奔走していた。
目まぐるしく動く世界。
時折、ストレスレベルが大幅に上がり、パフォーマンスが低下することがあった。なるほど、これが疲れか。と、本来感じないはずのものを知った。
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