重火器エルフ母子と堕天使メイド長「あら~、お久しぶりね~ミゲィラちゃん。元気してる?ティー君は相変わらず隠れるのが上手ね~」
(発砲)
「あ、あらお母様。ご機嫌麗しゅうですわ。ヘヘヘッ…」
「スフェギラ様。ご挨拶が過ぎます」
「ゴメンね~。ティー君がどれだけ戦闘メイドとして強くなったのか見たくって。ご主人様の件、ティー君が弱かったから起きたと思うと母として恥ずかしいから~ね?」
「全てはメイド長である私のミスです。あの吸血鬼の企みを見抜けないとは…不覚です」
「気に病まないで~。ミゲィラちゃんは上手くやってたわよ~。全員人外の者達を従えようとしてたあの人間の傲慢さが招いたある意味分かりきってた結果よ~。ミゲィラちゃんには悪いけどあんまりあの人間に良い印象抱かなかったのよね~。性格が反吐が出る程に悪い訳ではないし、筆舌し尽くし難い位に弱くはないし、それなりに知識はあるけども五人は多過ぎたのよ。しかも、全員種族が違う。強欲よね~。せめて、ヴァンパイアキラーなんだからヴァンパイアのあの娘位は御さないと。もどかしい存在よね~」
「ぶっちゃけメイド長とカラス以外は裏切ると思ってました。僕含めて(ボソッ)」
「ティー君たらぁ。事実を述べちゃ駄目でしょ~。ミゲィラちゃんの心労を考えたら悲しくなってくるわ~。どうしてあの人間に仕えようと思ったの?」
「堕天使は生き辛いからです」
「まぁ、そうでしょうな。そもそもなんでメイド長が堕天したんだかって所が気になります」
「…。」
「ティーくぅん?」
「黙ります。はい」
「大した理由ではありませんよ。私が短気な性格過ぎた。それだけです。…それだけですよ」
「神様って理不尽よね~。ちょっぴり熱い性格なだけで不良品扱いなんて。自分達も大概な不良品の欠陥品なのにね~」
「お母様…もっとこう…手心というものを…」
「ん~?」
「…クゥン」
「天使という"物"は誰かに従うのが落ち着くんですよ。私は他と違って忠誠心を捨てきれなかった。堕天した癖に、ですが。付き従う者の基準はあまり考えてなかったですね。街にメイド募集の貼り紙があった。そんな些細なものですよ」
「ん?…え?…えっ!?なんかこう…運命的な何かとか情熱的な出会いとかでご主人様に従ってたとかじゃないの!?ゴホン。じゃないんですか?」
「ある意味運命的な出会いでしょう。貼り紙を見つけていなければ私はここにいません」
「メイド長も大概なお方でしたわぁ。アホなだけのカラスが可愛く見えてきますねぇ」
「貴方だって軍を辞めてご主人様の所にやってきたじゃないですか。それもはたから見たら大概だと思いますけどね」
「ママ的にはティー君のエルフ生だからご自由に~って感じだから何も変に思わなかったけどね~」
「お上が厳しかったんですよ。自由に火器を扱わせてくれない。規律に従うのも悪くないし、人をぶち転がすのも悪くはなかったんですけどね。それだけが気に食わなくて知識だけ盗んでさっさと辞めたりましたわ。メイドになったのはスカウトだったので。男でも良いって。自分も楽しく生きる為なら異性装なんて些細なもん受け入れられる"ご教育"があったんで。ハハハッ」
「良い性格してますね」
「そんな"ご教育"をするなんてどんな親なんでしょ~。あら!こんな所に水晶玉が…あら~ティー君の親ってこんなお顔してるのね~」
「(おお、茶番茶番)」
「フフフッ。そういえば何でここに来たのか話してなかったわね~。ミゲィラちゃんとティー君のお手伝いをしてあげようと思って来たの」
「え?本気?」
「ママは本気よ。あっちは数で優位とってるし、友人も巻き込んでるんでしょ?そ、れ、に~楽しそうだと思ったの。楽しんじゃいけないけど…ウフフッ…」
「要はぶっ放したいと。本職忘れてませんか。お母様」
「いいの。兼業出来るから。魔術師兼占い師兼メイド戦争の助っ人。良いじゃな~い」
「(良くない)」
「言いたい事は言わないと伝わらないわよ~。ティー君」
「(言ったら何されるか分からないから言えませんがー?)」
「ウフッ、ティー君に拒否されようとミゲィラちゃんに嫌がられようとも私は介入しちゃうわよ~。宜しくね~」
「YESかはいしか選択肢がないと。スフェギラ様も良い性格していらっしゃいますね。ですが拒絶などしません。スフェギラ様のお力添えは非常に助かります。彼がどう思うかは堕天しても天使なので分かりかねますが」
「ティー君~」
「Yes, ma'am.」
「軍隊経験が生きましたね」
「ありがと~。二人ともこれから宜しくね~」