今日の君と明日を待つ サクラサク
その一報を桑名に送ったのは、一二時半を回った頃のことだった。メッセージを打ったアプリを閉じる間もなく、すぐさま着信のバイブでスマホが震える。通話のアイコンを押すや否や、明るく弾んだ声がスピーカーから流れてきた。
「松井? おめでとお! 良かったぁ、発表、一二時だったでしょ? なかなか連絡来ないからハラハラしちゃったよぉ…」
桑名の勢いに気圧されて、苦笑しながら答える。
「一二時じゃ君、まだ授業中だろう? というか、今も昼休みとは言え学校じゃないのかい? 通話して、いいのか?」
「大丈夫、松井からかかってこなかったら僕から電話するつもりだったから、誰もいない部室にいるよ」
「かかってこなかったら落ちたってことだと思わない? よくそんな気まずいときに自分からかけようと思えるね」
1986