Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    nameko135

    @nameko135

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 79

    nameko135

    ☆quiet follow

    ご飯を食べる納占①。全年齢。続きます。

    #納占
    nana

    ごはんを食べよう① じぶじぶと音を立てて目玉焼きが焼けていく。
     卵の焼ける匂い、油の香りが部屋に広がって、イソップはそこでぽん、と目玉焼きをひっくり返した。
     イライの好みは固焼きの両面焼きだから、イソップもそれに合わせる。
     二枚同時に焼いてしまった方が楽だからだ。
     火が通り切った目玉焼きは、最後に少し火を強めて表面を揚げ焼きにする。白身がカリカリして美味しくなる。以前、イライにこれを出したら目を輝かせて喜んできたから、それから目玉焼きを作る時のイソップのルーティンになった。
    「イソップくん。おはよう」
    「おはよう、イライ」
     眠たそうな目をこすりながら、榛色の髪を揺らしてイライが降りてきた。
     ずいぶん寝汚い彼は、しかし朝ごはんの香りでスッキリ起きられるらしい。食い意地が張っているというか、なんというか……そういうところがかわいいのだけれど。
     イソップは皿に焼きたてのフリップフライドエッグを盛った。カリカリに焼いておいたベーコンを添えて、彩に洗って水気をとったミニトマトを飾る。
     と、時間を調整していたからこのタイミングでトースターがチン、と音を立てる。
     狐色より少し薄い色に染まった食パンを木皿に載せる。
     テーブルに置く時にバターを添えてやって、昨日イライが作っていた苺のジャムを……また砂糖をケチったらしい、とろとろというよりサラサラだ……というのをさておき、その瓶もパンの隣に添えてやる。
     カトラリーを用意していると、イライが紅茶を淹れているのが見えた。
    「ミルクは入れるかい?」
    「はい、お願いします」
    「砂糖は?」
    「スプーン一杯」
    「了解」
     後ろから、茶葉を蒸らしているいい匂いがする。イライが冷蔵庫から牛乳パックを取り出して、マグカップに注ぎ、電子レンジにかけている。
     牛乳を温めるときはじっと見ていないとダメなのだ。吹きこぼれるから。
     ここにやってきたばかりの時、イソップもイライもそんなことを知らなかった。
     それを背にしてテーブルに全ての皿を揃え、カトラリーを並べ、席に着く。
     まもなくイライが2人分のマグカップを持ってきてくれた。
    「ありがとうございます、イライ」
    「君と二人で飲むものだから」
     はにかむイライがふっと目を細める。
     イソップも微笑んでイライが席につくのを待った。
    「それでは、食べましょうか」
    「うん」
    「いただきます」
    「いただきます」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖🍴😍🍳👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works