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    nameko135

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    ご飯を食べる納占。その3。ここにきた経緯。

    #納占
    nana

    ごはんを食べよう③「死んでも生き返る。生と死がぐちゃぐちゃの場所。迷う人が多い場所」
     手を伸ばしてイライの頬をするりと撫ぜる。イライはゆっくりと瞬きをした。深い青い色の目に、今、未来を視る力は宿っていない。
     彼をただの人間にしたのはイソップだった。
    「あなたは?」
     イソップの手がイライの首筋をなぞり、そのシャツを整えて引っ込む。
     イライはぱちぱちと瞬きをした。
    「あなたは、帰りたい?」
    「……私は……」
     イライはそう言って、困った顔でイソップを見た。それが答えだった。
     ああ、帰りたいのかと思う。彼の婚約者を残した時代に、彼の婚約者のいる世界に、帰りたいのかと。
     たとえ死と隣り合わせの世界でも、イライはそこに希望を見出していた。
     だから、きっと、ここにイソップといることは、彼の本意ではない。
    「食事を終えたら、散歩に行きませんか? 今日は日曜日、この国でも休日です」
     イソップはあえて微笑んで提案した。イライがほっとしたように頷く。
    「うん、いいね。私も休みだ」
     この世界にあの荘園はない。そもそも、今いる国はイソップたちに馴染みのある国とすら違った。
     イソップたちに、あの荘園に帰るすべはない。
     最後に参加したゲームの終わり、死にていになったイライを棺に納め、それを庇うように棺の上に覆い被さって気を失ったイソップは、目が覚めるとここにいた。イライを抱きしめて目を覚ましたイソップは、同じように目覚めて驚いた顔をしたイライと顔を見合わせた。
     今しがた負っていた怪我は、からだのどこにも残っていやしなかった。
     ここは日本という国の、イソップたちからして百年後の時代。そこにはイソップたちの戸籍も職もあって、住む場所もあった。
     何もかもがおかしいのに、あつらえたように全てがここにあった。
     イソップは納棺師として働いているし、イライは占い師兼カウンセラーとして金を稼いでいる。
     ここにいた誰かと入れ替わった訳でもなさそうで、イソップたちには何が何だかわからなかった。
     その日から働き始めるような手続きがされていたので、職場に知り合いがいないのが普通だった。
     これは何なのだろう。
     あの荘園に原因があるのだろうか。だとしたら……だとしても、今、その理由を知ることはできない。
     そんなことを考えていると、イライが空っぽになった食器を片付け始めた。はっと立ち上がって手伝おうとすると「イソップくんは準備してくれたから」と押し留められる。
     その傷ひとつないうなじを、大きな穴の開いていない、血も出ていない後ろ姿を見て、イソップは音も立てず息を吐いた。
     この青年を、この世界の理不尽からも、あの凄惨なゲームからも、なにからも、守りたいと思った。
     それはたしかに、「ほんとう」のことだった。
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    三重@ポイピク

    DOODLEアズくんのみ先天性女体化のイドアズ♀。寝る時は裸なアズくん(ジェとフロ相手には隠さない)と、隠さないアズくんに表面平静内心思春期真っ盛りなジェとフロの話。
    僕らにも慎みを見せてください!「アズール、今よろしいですか」
    「どうぞ」
     
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    尻である。傷一つなく滑らかな白い肌を持つ、まろやかな形の良い尻だ。キングサイズのベッドの上に埋もれるように見えているそれは、当然持ち主の体と繋がっている。尻から伸びる白く柔らかそうな太腿の裏、ふくらはぎ、足の裏。上の方に視線を移せば、尻から繋がるきゅっと絞られながら柔らかな肉付きの腰。しみ一つない背中、背中の脇から少し見えている胸部、色が変わったためかより華奢に見える肩と、その肩を隠す長い銀糸の髪。照明を受けて真珠色に似た色合いへ変わり輝いている。
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