ごはんを食べよう④ は、は、息を荒げて走るのは雪景色の中だ。
サバイバーはすでに二人脱落した。
残り暗号機は八割ほどのものが一台だが、二人とも傷付いていてハンターの特質も残っている状態では上がり切るかも怪しい。
三人目をロケットチェアに座らせて脱落させてから、残ったサバイバーであるイソップとイライが目視されなかったのは大きかった。
ともかく、一度立て直しを図らないとハッチ逃げもできない。
「見つけた、イライ」
「イソップ……くん」
ぜえぜえと肩で息をするイライは、小屋の陰に蹲っていた。夥しい血が彼の腹に穴に空いた傷から流れていて、イソップはグッと奥歯を噛んだ。
「治療をしましょう」
「大丈夫、だよ。この状況ならあと数分もすれば私は失血死する。だから、イソップくんだけでも逃げるんだ。ハッチは月の見えるゲート側にあった」
「治療、しましょう」
イソップが、そう強く言えばイライは黙った。
俯いてイソップの手を受け入れるイライは、いつもより小さく見える。
イソップはイライの腹に手を伸ばす。イライの眉が痛ましく歪んだ。
腹の傷はイソップには治療ができないはずだ。だが、この荘園ではそんな傷すら撫でることで治療できる。
血の匂いがする。むせかえるみたいだ。しばしの時間を治療に費やし、ようやくイライの治療が完了する、という時だった。
どくん、と心臓を鷲掴みするような強い心音が鳴る。息ができないほど苦しい。
ハンターが、近くにいるのだ。