ごはんを食べよう⑥ 目を覚ましたのは知らない場所だった。
見たこともない内装、用途すらわからない機械の数々。ハンター、芸者に顔立ちの似ている人々……。それなのに言語だけは難なく理解できる。
後にそれが病院の中だった、と知ったのだが、当時のイソップはあまりの衝撃にしばらく言葉を発せなかった。
傍にいてイソップが起きるまで見ていたらしいイライが「ここは安全だ」と言うまでイソップは混乱の中にいた。
イライ言わく、あの「レオの思い出」での最後の攻防後、二人揃ってハッチに落ちたイソップとイライはこの「日本」という国に飛ばされてきたらしい。
時代すら違う、と聞いた時には目を剥いた。
だというのに、この時代、この国には「なぜか」イソップとイライ二人の同居する家があり、イソップたちの戸籍すらあった。
また荘園の超常現象だろうか、そう納得するには規模が大きすぎた。
それでも、荘園に戻ることのできる気配はなく、今もイソップたちはこの日本で暮らしている。
「何を考えているんだい?」
「ここに来た日のことを」
「ああ……」
イソップとイライ、二人が住むマンションの近くに、広い公園がある。
一周するのに15分もかかるその公園は、どこかあの日ここに来る原因となった「レオの思い出」を彷彿とさせた。