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    imori_JB

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    imori_JB

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    村雨とにょたししが付き合ってることを知らなかった宇佐美班の面々に、真経津邸に入り浸るせいで自然と知った御手洗がうっかり暴露した話。
    村雨もにょたししも出てこない。あとほんのり宇佐美→にょたしし。
    しいな先輩が滅茶苦茶に村雨をディスりますが仕様です。

    #さめしし
    #女体化
    feminization
    #JB腐

    シークレット・ラヴァーズ①「以上が当行の創立記念謝恩パーティーの概要になります。何か質問は?」
     カラス銀行特別業務部四課、宇佐美班。主任の宇佐美から三週間後に控えるパーティーの概要について説明されていた班員達は手元の書類から顔を上げ、それぞれ顔を見合わせる。
     毎年年に一度行われているパーティーであるからして既に数回経験している面々にとっては特段今更疑問を持つような内容では無い。
     しかし今回が初めてである御手洗にとっては疑問しかないイベントだ。
    「あの……何ですか、この……」
    「ギャンブル体験イベント?」
    「はい」
     普通課が主催するイベントとは異なり特別課が主催するイベントは勿論ギャンブルに関した物だ。
     創立記念謝恩パーティーの中でも特別業務部4課と5課が合同で主催する4リンク以上に所属しているギャンブラー達を招き、彼らを相手にVIP達がギャンブルを楽しむという企画はその中のメインイベントとして位置づけられている。
    「勿論我々銀行の大事なお得意様であるVIPの方々に怪我などさせられませんからね。ゲームルールはそのままに、危険性を排除したゲームをお楽しみ頂きます」
    「まぁあれよ。普段檻の外から眺めてる猛獣達を引っ張り出して、猛獣使いに首輪をつけさせて近くで見てついでに芸もさせてみましょうってことよ」
     悪趣味、くっだらない、と辛辣に言い捨てるしいなの言葉に御手洗は眉間に皺を寄せる。
     元々「そう」とはいえギャンブラー達を余りにも軽く扱いすぎだ。
    「ギャンブラー側にもメリットはあるんですよ。これもギャンブルの一環ですから、このゲームでの得た賞金は勿論賭博口座の残高に反映します。ランクを上げたい4リンクや1/2ライフ下位のギャンブラーにはそれなりに人気です」
    「とはいえワンヘッドや1/2の上位のギャンブラーには大した旨味も無いがね。まーこういう内容だから出ない人は絶対に出ないよねぇ」
     書類を摘まんでプラプラと揺らす渋谷に彼の担当するギャンブラーの顔を思い出し、御手洗は頷いた。
    「ちなみに意外と村雨くんは出てくれるんだけどね。本業との兼ね合いがあるから時間が取れればだけど」
    「え」
    「マジかよ」
     声を上げた御手洗と榊はいかにも下らないと切って捨てそうなギャンブラーなのに、と顔を見合わせる。
    「彼の一分人間ドックは一昨年のパーティーで大人気でしたからね」
    「一分人間ドック」
     笑顔を崩さない宇佐美の言葉にはて、と首を傾げた梅野には渋谷が答える。
    「VIPの顔とかちょっと見ただけで初期のガンとか当てるんだよ。ちゃんとお抱え医者もいるような人達だったんだけどねぇ。その所為で自分も診て欲しいってVIPが次から次へと押し寄せてね」
     その所為もあって去年は来てくれなかったんだけど、と肩を竦める渋谷にさもありなんと班員達は頷いた。
    「健康は金だけでは買えないという説が有力です」
    「まーそうね。でも金があればできることも増えるから」
    「――さて。そこにもあるように、1/2ライフ以上に所属するギャンブラーのジャンケット権を持つ特4の行員には、担当するギャンブラーをこのイベントに呼ぶことができれば特別ボーナスが出ます」
     ぴっ、と一本指を立てた宇佐美に視線が集中する。
    「特別ボーナスはギャンブラー一人に付きキャリア100年分。プラスしてワンヘッド所属ならば1.2倍の倍率が掛かります。御手洗君、渋谷君。是非頑張って声を掛けて下さいね」
    「はいはい。しかし、来てくれるかねぇ」
    「ああ、それなら……梅野さん、獅子神さんにはもう声を掛けたんですか?」
    「はい。現状の都合のままなら参加できるとの説が有力だと」
     1/2ライフ所属ギャンブラー、獅子神敬の担当でありながら名指しされなかった梅野に御手洗が話を振ればあっさりと肯定が返る。
    「それなら大丈夫ですよ渋谷さん。獅子神さんが来るなら村雨さんは絶対に来てくれます」
    「え、なんで?」
    「? そこ、そんなに仲良いのか?」
     確信を籠めて言い切る御手洗に訝し気な視線が向けられる。
     最もな疑問を御手洗に向けたしいなと榊に、御手洗は至極あっさりそれを口にした。
    「こういう場所に村雨さんが獅子神さんを一人で行かせるとは思えません」
    「え、何何どういう意味よそれ、怖いんだけど」
     自分の肩を抱いてわざとらしく震え上がるしいなに、きょとんとした御手洗は続ける。
    「え、だって村雨さんと獅子神さんはお付き合いされてるじゃないですか」
     宇佐美班復帰後、依然と同様真経津の家に向かうことが多くなった御手洗は真経津宅に集まる他のギャンブラー達とも交流を持つことになった。
     その中で村雨と獅子神がお付き合い――所謂恋仲である事を知ったのは自然な流れだ。勿論知った時は驚愕の余り一瞬意識が飛んだ。
     しかし新人である御手洗は、他の班員が自分同様の衝撃を受けるとは思わなかったのだ。
    「は?」
    「……?」
    「「「……はぁぁぁぁ~~~~?」」」 
     行員達の声は廊下にまで響き渡り、通りがかりの他班の行員が鬱陶しそうに宇佐美班の班室に視線を向けた事など、室内の彼等が知る事は無かった。
    「……突き合っている……?」
    「多分何か違う気がします梅野さん。交際されていて……あれ、皆さんご存じじゃないんですか?」
    「し、知る訳無いでしょ! とりあえず……」
     すぅっ、としいなが深く息を吸う。
    「獅子神敬、オトコの趣味わっる!!!!!!! 信じらんない、なんであんなキモいのと!!!???」
    「い、言いすぎだろ……」
    「だあって! だってあの、あの村雨礼二よ? 奴隷買っては腹掻っ捌いてるキモい変態よ!!?? 何をどうしたらソレと付き合おうって思えんの!!?? 金狙いにしてもありえない!!!!」
     そこらの野良犬と付き合った方がまだマシよ、とまで言い切るしいなに流石に反論しようとした榊もその所業を聞けば口籠るしかない。
    「獅子神敬自身も賭博口座に多額の残高を保有しています。金銭狙いはまずありえないでしょう」
    「……村雨礼二に脅されて、とかじゃねぇんだろうなソレ」
    「い、いえあの。普通に仲良さそうですよ……?」
     確かに御手洗が初対面の村雨礼二から受けた印象はまぁ悪い。しいなや榊の言う事も分かる
     しかし他のギャンブラーどころか御手洗がいようが気にせず背後から抱き寄せ、明日の弁当を強請る様子を見ていれば――そしてそれを仕方が無さそうな口ぶりで、しかし嬉しそうに受け入れている様子を見れば――、ああ、きちんと交際しているのだなぁと我ながら何目線なのかも分からない感想を抱いた。
     尚、その後余った材料で作る二つ目の弁当を得る権利を巡る熾烈な争いに巻き込まれた事は若干いい迷惑だった。勝って得る物が金でも名誉でもなく手作り弁当、それでも海千山千の歴戦のギャンブラー達だからその争いは大変面白――恐ろしい。
    「私としては村雨礼二に人間の女性への興味があった事に驚きましたよ。てっきり人間の内臓に興奮するタイプかと」
    「だーはっは!! あんな美人を口説き落とすとは村雨くんもやるなぁ!」
     信じられない、知らなかった、隅に置けない、と各々勝手な感想を述べる班員を前に御手洗はじんわりと背中に汗をかく。
     ……もしかしたら自分は言ってはまずいことを言ったのだろうか。最悪次に手術台に載せられて腹を裂かれるのは自分かもしれない……と。
     せめて開くのはまだしも、その後はきちんと閉じてくれるよう真経津にも口添えを頼んでおこう、と御手洗は決める。
    「御手洗君、ああ梅野君でも構いませんが、次に獅子神敬と顔を合わせる機会があれば、我々銀行は有償ですが様々なトラブルを仲裁し、また男女関係にも強い弁護士を紹介する事も出来ますと伝えて下さい」
     まるでどうせそれが必要になる、とでも言いたげな口ぶりの宇佐美に御手洗は村雨が聞いたら激怒しそうだなとちらりと思う。
     二度目ましてからまだ日が浅いものの、村雨が恋人を、獅子神敬を溺愛している事だけは良く伝わって来た。正直思い出すと胸焼けがしそうなのであまり思い出したくもない。
     そんな御手洗にしいなが食いつき、より具体的な話を求める。最早脱線しきった話題を咎め立てする事無くそれを見ていた宇佐美に渋谷がそっと近寄り、他の班員には聞こえない程度の声で尋ねる。
    「……ちょっと残念です?」
     そんな食えない年下の部下をちらりと見返した宇佐美は至って平静に答えた。
    「何の話ですか?」
    「野暮な事を聞きましたな」
     渋谷も嘗ては此処カラス銀行の賭場でそれなりの立ち位置に居たギャンブラーだ。その立ち位置に必要不可欠だった目も持っており、まだそう衰えていないと自負している。
     だからこそとてつもなく優秀なこの年下の上司が、珍しい女性ギャンブラーに向けていた眼差しを何となく理解してしまった。
     単純すぎる拙いイカサマを見逃し続けていた事も、4リンクの中でも大きな怪我を負う危険性が低いゲームを優先的に当てていた事も、危険度が跳ねあがる1/2ライフ昇格後の初戦に心強すぎる相棒を付けた事も。
     勿論他に大きな理由があるのだろうが、彼女を見る時宇佐美の目に宿る限りなく透明に近い淡い色が全く関係ないとは言えないはずだ。例えその割合が、0.000009%ほどのほんの僅かだとしても。
     ――まぁ、しかし。これで諦めがつくなら僥倖だ。
     命の危機に何度瀕しても止まれない、人間としての大切なブレーキが壊れているギャンブラー達と彼等彼女等を死地に送り出す行員の恋など上手く行った試しは無い。
     過去にもそういう関係になったギャンブラーと行員は何組かはいたが、もう何方も「いない」のだから。
    「村雨くんに不利になりそうなゲーム、わざ当てようとしないでくださいよ?」
    「失礼な。彼は戦争には必要不可欠な優秀なギャンブラーです。ワンヘッドでも十分通用する貴重な戦力をわざわざ損なうような真似を私がするとでも?」
    「はは、それはそうだ」
     我らが主任殿はそんな事で見誤ったりはしない、と笑って渋谷は宇佐美の机から離れ、喧々諤々と議論し続ける若い班員達の中に混ざる。
     暫くその騒ぎを見守っていた宇佐美は話を戻そうと手を二回叩いた。
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