ごはんを食べよう21イライが話してくれたことはイソップには衝撃的だったが、納得もできた。
最後のゲームでイソップは確かに大怪我を負って、だからイソップは自分が死ぬと思っていたのだから。
「私がナイチンゲールに願った、から、君は、もう二度と願いを叶えられなくなって、生きていた国にも時代にも戻れなくなって……」
ごめんなさい、ごめんなさい……イライは何度も繰り返して謝った。
イソップがその背を撫でてやるとしゃくりあげる。イソップは目を伏せた。
そんなことを気にしていたのか、と思って、あやすように背を撫で、抱きしめる。身じろぎをする体が愛しいと思った。
(そんな風に、僕のことばかり考えて、自分が悪いと決めつけて、こんな風に泣いてしまう、かわいそうな人……)
「イライが僕の告白を受け入れてくれなかったのは、それを気にしていたからですか?」
「だって、どうして言えるんだ。私の身勝手のせいで知らない場所に来てしまって、全てを諦めないといけなかった君が、私を好きだと錯覚してしまうのは当たり前のことで……」
「錯覚じゃありません」
「どうして! すがる縁がないから私を好きだと思ったんだろう!」
「いいえ」
イソップは、なんて鈍感な人だろうと思った。
それこそ、イソップにあれだけ捧げさせておいて、好きじゃなかったと誤解してしまうなんて、鈍いにも程がある。