森の中のサプライズ「さて、坊ちゃま。そろそろ参りましょうか」
バルバトスの言葉に、私は思わず目を見開いた。
本日は何も予定がないはず。いつもならばバルバトスにスケジュールの管理を任せているが、今日ばかりは私自身の目で確認していたのだ。何かの間違いに違いない。
「バルバトスがスケジュールを間違えるなんて、珍しいこともあるんだね」
私は苦笑いを浮かべながら、バルバトスを茶化す言葉を口にする。しかし、私のその言葉に特別反応することもなく、バルバトスは静かに「いいえ」と首を横に振った。
「間違いではございませんよ。本日の予定が何もないことを仰っているのでしょう? その認識は正しくもあり、誤りでもあるのです」
バルバトスのその説明に、私は困った表情を浮かべざるを得なかった。いったい、どういうことなんだ?
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