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    視力検査のC

    @savoy192

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    視力検査のC

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    ディ.オジョナ
    ジョナさんがぬいぐるみです。
    ディオがぬいぐるみに欲情してるので注意

    寝る前に夜な夜なJ似のぬいぐるみに話しかけているうちになんとそのぬいぐるみにJの魂が宿ってしまう…(もうファンタジー) ぬいぐるみの体を持ったJは初め自分が生きていることを悟られまいとできるだけじっと動かずにいるのだが、Dの指が首の繋ぎ目をなぞってきた瞬間に思わずびくりと反応してしまい
    (な、なんだ…!? 今のディオは前世のことを覚えているのか…?)
    と不安になりつつも動揺を悟られまいと体の力を抜くJ。Dは一瞬動いたぬいぐるみのJを訝しげに見遣りつつ、体のあちこちをしこたまぐいぐいと引っ張って満足いくまで揉みくちゃにするのだった… Dの子どもじみた扱いにぐったりとするJ。
    その日の夜のDは睡眠薬を飲んでJの首元をなぞっているうちに寝てくれたが、Jは首周りを這い続けるDの指が不気味に感ぜられてなかなか気が休まらなかった(そもそもぬいぐるみは睡眠を取る必要が無いのだが)。次の日からはJはDの居ない間に体を動かすことにして、少しばかり家の中を探索しようと決めた。
    Dの住んでいる部屋は都内一等地の超高層マンションの最上階をまるごと所有しているだけあって若くして一人で住むには広すぎる程であった。Jは玄関のドアが閉まる音を聞き届けてからいそいそとベッドを降り、別の部屋を覗くなどしようと思ったのだが…何せ全体が広いので来た道を覚えるので精一杯だった
    ひとまず、自我を持つ前によく二人で一緒に過ごしていたリビングまでの道を覚えようとして、今のJにとって決して短くはない廊下をてちてちと進む…(埃一つ無く手入れが行き届いていて歩きやすい床だった) ドアノブに手が届かない時は迂回せねばならなかったので随分と時間は掛かってしまったが、やっとのことで見覚えのあるソファとテーブルの並ぶ部屋に辿り着いた時は嬉しかった。応接間とは異なりそこは殆ど物の無い殺風景な部屋だったが、揉みくちゃにされながらタブレットで一緒に新聞を読んだり部下への愚痴に付き合わされたりした思い出が蘇って親しみ深くも感じられたのだった。思えばこの姿になってからDと過ごす日々はなんの蟠(わだかま)りも無い付き合いができているような気がする。とは言ってもDが一方的にあれやこれやと話し掛けているだけなのだが……。それは前世の記憶と照らし合わせれば気の抜けるような、質の悪い冗談のようにも思える日々なのだが、Dが真っ直ぐに自分を見つめてくれて(恐らくは)彼なりに大事にしてくれている(らしい)という事実は、Jの綿だらけの胸をぽかぽかと温かいもので満たしてくれるような気がした。 暫くそうして物思いに耽りながらぽすぽすとソファの上で跳ねたりテーブルの上を這っていたが、寝室に戻る時間のことも考えてそろそろリビングを出ようという気になった。その時Jは物をうごかさぬよう細心の注意を払っていたつもりだったのだが、ソファを降りる時に──クッションの位置をずらしてしまったのだ。それは家政婦であっても気付かないようなほんの僅かのズレであったために、Jもそれに注意を向けたりはしなかった。
    さてそれからは何事もなく、迷路のように彷徨いつつも無事に寝室に戻れたJであったが、ベッドの中でDの帰宅を待つ時間はやはり長く感じられてしまった。深夜になってから玄関の鍵が開く音がして、リビングへ足早に向かう足音が聞こえてきたが……ものの数秒も経たないうちに何故かDはキッチンに立たず真っ直ぐに寝室に向かってきた。何かあったのかと驚くJだが、何の変哲もないぬいぐるみらしく大人しく体を弛緩させてDがづかづかとベッドに寄ってくる足音を聞いていた。
    「疲れたぞジョジョ〜〜〜〜全くお前が飯でも作って待ってくれりゃあ良いのに相変わらずそんな能力は無いんだもんなぁマヌケが…」
    とまるでJが人間の同棲相手とでも思っているかのような挨拶をする。Jは人間だった時の習慣で反射的に「おかえり」と言いそうになるがぐっと堪えて、続くDの愚痴に小一時間付き合っていた。(Dの愚痴にはJが納得できるようなものもあれば普通の人間には無茶な要求までもあった。)
    体のあちこちを引っ張られながら長話に付き合っていると
    (相変わらずディオは理不尽だなぁ)
    と前世からの彼の変わらなさに呆れるような安心するような気持ちが湧き起こってくる。ひとしきり今日の愚痴を吐き終えると、Dは
    「今夜は飯食う前にシャワーでも浴びるか…お前も一緒に洗ってやるから服脱げよ」
    と無茶振りをしてくるのでJは神妙な顔をするしかなかった……。
    (そろそろ無表情でいるのが難しいぞ…)
    とJは頭を抱えそうになるが、DはJの胸中など素知らぬ顔で、Jを小脇に抱えて器用に服を脱ぎながら無駄にだだっ広いシャワールームへと向かっていった。
    さて無駄に広く無駄にデカい鏡の付いた無駄に豪奢なシャワールーム(金を掛ける場所がおかしいのはシャワー浴びてる時の自分が一番カッコ良いとDは思っているからだ)に着いた二人は滴る水滴の中で暫し見つめ合うが特に何も起こらなかった。何度も繰り返すが今のJの体は綿とフェルトで出来ているからだ。Dが一通り汗を洗い流すのに合わせて、Jも人間用の石鹸を付けて洗われるが…衣類用洗剤ではないのでそう上手くは泡立たなかった。Dが金糸の髪を掻き上げながら舌打ちし、酷く残念そうに洗面器にお湯を張って薔薇の香りの洗剤を垂らしたところにJを入れてチャプチャプと揉み洗いをしながらこう呟いた。
    「近々服飾を覚えようかと思っているんだよ」
    手垢の付いてそうなところを念入りに洗いながらJに話し掛けた。
    「発売以来いつもお前は同じ服装だからそろそろつまらんぞ。よりによってハネムーンの服で現れやがって」
    と言うがそれはJにはどうしようもないことである。変な服を着せられないといいなとJは思いながら大人しくゴシゴシと洗われていた。得体の知れないDの手とはいえ人の手で洗ってもらえるのは、ぬいぐるみにとっては気持ちの良いものである。自然と表情が緩んでいたのだろうか、さっぱりした顔のJを見て、Dも口元を緩めたような気がした。
    これでようやく手揉み洗いから解放される…とJが思ったのも束の間、何を思い立ったのかDがボディソープを直にとろりと垂らしてきたのだ。何をするんだと思う間もなく手で泡立てたそれをぬるぬると塗り付けられて、自分はぬいぐるみの筈なのに何だか如何わしいことをされているような気がしてしまった。つくづくJはいまの体が人間でなくて良かった…と思わずにはいられなかった。Dはその間にやにやとしながら呼吸を荒らげていたような気がするが、Jはそれには気付かない振りをした。泡まみれになりながら再び一緒にシャワーを浴びて、湯気を纏って火照る体のDと共に無駄に豪華なシャワールームを出た。
    一緒にドライヤーの風に当たりながら、JはDの横顔を観察していた。今生でも彼は人目を引きそうな麗しい外見をしている…が、近頃彼は夜遅くまで仕事をしているか、さっさと切り上げて帰宅してJにずっと話し掛けているかのどちらかだ。だからJは、彼が人付き合いができているのか、不安になってしまった。眉を下げてしまったところを見られてしまっていたのだろうか、Jが不安げにしているところにDがドライヤーを急に「強」にしてきたので、Jはムッとした顔にならないように必死で耐えた。DはそんなJの姿を見て愉快そうにくつくつと喉で嗤っていた。意地が悪いと思いながらJはぷるぷると震えながら耐えた。
    Jが粗方乾き終えると(Dは自分の髪もブローしながら実に手際良くJを乾かしていた)、DはJを抱えて寝室へと向かう。Jはすっかり身を綺麗にしてもらったので正直に言えば今の気分はとても良かった。ほかほかと温かさに包まれながら主人に大切にされているのだから、ぬいぐるみにしては自分は幸福だと思った。枕も用意されて、シーツに寝かせてもらいながら、Jは今夜はきっと安眠できそうだ、と思いながら気を抜くことにした。
    (あれ、昨夜寝付けなかったのはどうしてだっけ…?)
    Dは全裸のままシーツにくるまりながら、Jをぽんぽんとあやすように叩きながらこう呟いた。
    「お前が等身大だったらよかったのに…」
    Jはそれを聞いてせっかく温まった体が急に底冷えしてしまうようにも感じて、Dと目を合わせないように寝ようと努めた。そして極めつけはDが不似合いな子守唄を歌い終わって電気を消した後にぼそりと言った一言だった。
    「お前が昼間何をしていたか、俺はちゃんと知っているんだぜ」
    「リビングのソファで遊んでいただろう。俺の家に泥棒なんぞが侵入できる筈もないんだ、お前が動き出していたことぐらい監視カメラを見るまでもなかったぜ」
    バレていないとでも思っていたのか、と暗闇の中で耳元で問われ、Jはもはや隠しようもないと観念したが、体は恐怖を感じて逃げ出そうとしていた。しかし小さいJに逃げ場などなく、その上最初からDに腹の辺りをがっつりと掴まれていては身動きすら取れなかった。
    「別に仕置なんざするつもりじゃあないんだが、この機会にやっておきたいことはやっておこうかと思うんでね」
    とDの声が少し離れたところから聴こえてきて、どこへ行ったのかと思っていると今度は首元でカチカチとカッターの刃を出すような音が聞こえる──
    「やめてくれ!」
    ぬいぐるみにしては思いの外大きい声が出てしまった。そんな自分に驚きつつも息を整えるように肩を上下させて、Dを説得させるような、窘めるような声音を出そうとした。
    「もう隠しようもないから言うが、ぼくは昨日ぐらいから自我を持っている。きみが毎日話し掛けているせいだ。きみは……ぼくの知っているディオ本人だとは思うが、ぼくのことを覚えているのか……?」
    と事情を知らぬ者が聞けば些か奇妙に思われる台詞をJは言ったが、二人の間にはそれはもうどうでも良い事柄だった。
    「ジョジョ……」
    やっと声を発してくれたJにDは感極まったように手を戦慄かせ、嬉しさのあまりJの質問に答えることを放棄してJの上に覆い被さった(Jは小さいのでその必要は無かったのだが)。流石にJもDが何をしようとしているか察しがついて無い首を使って顔を懸命に逸らそうとした。
    「ま、待って、ぼくぬいぐるみだから…綿の味しかしないから……というかなんで君がそんなことを」
    「構うか!いつかお前の服を脱がす!」
    小さいJは顔を逸らせる筈もなくDの舌の感触をまともに食らってしまった。
    「チッ、本当に綿の味しかしないな……魂が宿るくらいだから人化したりしないのか?」
    ぼくにはよく分からないよ…と混乱する頭でJは言いかけたが、Dの目がどこか寂しそうな郷愁を漂わせていたから、一瞬黙り込んでしまって、二度目のキスを受けてしまった。これ以上何かされる前にDを止めなくてはと思い、Jは短い手を伸ばしてDの顎に触れながら言った。
    「ぼく、正直君がぼくのことを大切にしてくれて嬉しいんだ。いまの君のことはよく分からないけれど、こうしてぼくのことを買ってくれて毎日話し掛けてくれるってことは、君はぼくと話をしたがっているって思っても良いのかな」
    Dは顎に触れたJの手を、親指と人差し指でそっと包んでそれを唇に寄せて、 伏し目がちにJを見つめた。
    「ジョジョ……」
    その掠れた声は永い間分かたれていた半身との再会を噛み締める声だった。喜びに浸るような、生きているJの言葉を惜しむような、そんな万感籠った声音だった。Dは暫くJの手に口付けたあと、面積の少ないJの体中に短いキスを落とした。
    「ジョジョ……ジョナサン……」
    掠れた声は熱っぽい、湿りを帯びた声に変わっていく。
    「はやく、早く人間になってくれよ。このままでは何もできないじゃないか」
    吐息混じりに紡がれた言葉はJに前世の記憶を思い起こさせた。石仮面を被った義弟──廃墟の街での戦闘──生首だけの彼が哄笑する──。
    Jは余計な事を言いたくなるのをぐっと堪え、首元をなぞるDの指にそっと手を添えて、言い聞かせるように自分の思いを打ち明けた。
    「以前のぼくも、君に化物になってほしくはなかったさ。だから……」
    Dの目を真っ直ぐに見つめて言う。
    「今のぼくは人間にはなれないかもしれないけれど、君のそばに居られるように、人間らしくなれるように、できる限りのことはするよ」
    暫し見つめ合い、甘い沈黙が流れたあとJは恥ずかしそうにしながら言った。
    「あの、その、自惚れかもしれないけれど今のきみがぼくのことを大事にしてくれているみたいだから……ぼくもそれに応えたいと思って……」
    「そうかそうか、それは良い事を聞いたな、ジョジョ」
    先程の甘い空気はどこへやら、目の前にはDの勝ち誇ったような顔があった。まるで言質を取ったと言わんばかりに愉しんでいるような──
    「えっ、ディオ、一体」
    「明日にでもお前に穴を二つほど拵えてやろうと思うのだが」
    「何を言ってるんだ」
    Jはまた頭を抱えそうになった
    「ぼくの意思は」
    「さっき“できる限りの事はする”って言っただろう?」
    Jは自分の発言をよく吟味すべきだったと後悔するようにDの下で呻くしかなかった。
    「明日が来るのが嫌だなぁ…」
    「明日が楽しみだなぁ、ジョジョ!」
    DはJの上から退いて鼻歌を歌いながらシーツを被り直した。どうやら寝る気になってくれたようだが、Jは今日も眠れなさそうだ、と無い筈の頭が痛くなるような気がした。幾許もしないうちに横から規則正しい寝息が聞こえて、JはDが睡眠薬無しに寝付いたのを嬉しく思う反面、突然予定された明日の手術に不安を覚えずにはいられなかった。

    《おわり》
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