その先の何処かへ「……お前は、何処を見ている……」
不意にそう問われて、私は声の主のである隣に立つ鍾離先生へ顔を向けた。
「俺には見えない何処を、お前は見ている?」
お昼過ぎに璃月の街中で買い物したりして、時間が久しぶりにあるな~なんてぶらぶらしていたら偶然鍾離先生と出会って、天気がいいこの時期は特に景色が綺麗だから、と、時間もあるならと誘われて一緒に来たところは、璃月でとても高い頂の上。
丁度、オレンジ色の空と海とが繋がって水平線を色の中に溶かし込んでいる時間帯だったこともあって、私はオレンジが溶けたその先の遠くを眺めていた。
あのオレンジ色が続いている何処かに見つけなければいけない何かがあるはずなのに、私はそれを思い出せなくて、でも、そこに辿り着かなければいけないのにそこが何処なのかわからない焦燥感が時々私を包み込もうとして来るのを振り解きながら、それでも、確かにそこに近づいているささやかな実感しかなくて、ちゃんと目に見える形として成せていないのがもどかしい。
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