エリントンミュージアム業務日誌「あっ、それ。うちのミュージアムショップで扱っているフェザーのボールペンじゃないですか。どうしたんですか」
次の企画展の構想を練ろうと事務室で資料を読み漁っていると女性スタッフに声をかけられた。僕の雑踏とした机上に置かれたペン立ての中で誇らしげに鎮座しているフェザー社製のボールペンが気になったのだろう。
「いいでしょ、コレ。とある刑事さんに貰ったんだ」
「何で刑事さんがコリーさんにプレゼントを」
女性スタッフは怪訝そうにボールペンを凝視している。
とある刑事さんから貰ったなどと自慢げに語ったが、彼が刑事さんだと知ったのはつい先日のことだ。それまでの間、彼と僕の間柄は博物館の利用者と博物館に勤務する学芸員に過ぎなかった。
4789