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    創作よポチ育成日記

    20××年 1日目
    雨の中の路地裏、嫌な場面に遭遇した。
    大の大人数人が子供に暴力を振るっていた。
    その現場をジッと見ていたのがバレて大人達がコチラへと向かってくる。
    怒鳴り声と罵声を浴びせてくる輩共がうるさかったので催涙スプレーをぶっかけてやった。
    市販の物とは比べ物にならない威力、もちろんこの俺の作ったモノだ。中途半端なモノは作らない。

    言葉にならない悲鳴と共に奴らは去っていった。
    さて帰ろうとしたところ右足が重くて動かない。
    原因である部位を目視。
    先程まで袋叩きに遭っていた少年が俺の足に纏わりついていた。

    「おじさんヒーロー?!今のビーム?!」
    目を輝かせて聞いてきた。


    ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

    どうやっても振り解けない少年を家まで連れてきてしまった。
    こんな小さい細腕のどこにこんな力があるのか疑問だ。

    汚いから風呂に入れてやった。
    傷に泡が染みて痛かったのか暴れられたがなんとか洗うことができた。
    疲れた。

    今日は久々に米を炊いていた。
    運がいい奴め。
    適当なおかずと一緒にコイツに出してやった。
    すぐにがっつくと思っていたがよだれを我慢して食べなかった。
    過去に何か食わされて痛い目にでも遭ったのだろうか?

    毒がないことの証明になるかわからないが先に米を口に運ぶ。
    すると少年は酷い箸の持ち方で米を口に運ぼうとするがうまくいかず結局お椀にがっついて食べ始めた。
    まるで犬のようだった。
    なるほど、これはまず食事の作法を教えねばならない。


    2日目
    そういえばコイツの名前を聞いていなかった。
    当たり前のように名前なんてないというから昨日の犬食いと俺の周りを犬のように着いてくるコイツを思い出してポチと名付けた。
    気に入ったようだった。

    ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

    ポチの怪我は酷いものだった。
    全身に打撲、右眼は腫れてほとんど開いてない。骨折まではしてなかったようだがヒビは入っているかもしれないな。
    大人達から暴力を受けていたから当然なのだが。
    ちょうどいい、顧客に頼まれていた細胞活性化作用のある新薬をコイツで試してみよう。
    自分で試すのは嫌だったからいい実験台が見つかった。


    4日目
    新薬の効果は上々、記録をとる。
    今日も薬を打つ。

    ポチは体を動かすことが好きなようでよく走り回る。
    うるさいから引っ叩いた。
     

    5日目
    かなり治りが早い。もう殆ど外傷はなくなりつつある、さすが俺。

    ポチは嬉しそうに今日も体を動かしている。
    お前の怪我が完治したら出て行けよ、と伝えるとポチが猛ダッシュでベランダの方に駆けていく。
    物凄い音がしたので急いで外に出ると粉粉になった鉢植え、頭から血が出ているポチが笑って立ってた。
    「怪我したから出て行かなくていい?」
    なるほどこれは厄介な犬を拾ってしまった。


    7日目
    夜、自室で寝ているとなにやらモゾモゾと温かいモノが入ってきた。
    ポチだった。

    俺の物置にしていた部屋を与えたはずだが…
    出て行けというと引っ付いて離れなかった。
    もう今日は疲れていたし面倒だったのでこのまま寝てしまった。

    これがいけなかったのかポチはたまに俺の布団に侵入してくるようになってしまった。
    教育失敗だ。


    8日目
    犬には上下関係をしっかりと覚えさせなければならない。
    俺が上であることと、生意気な口調を直させるために敬語を教える。
    子供だからなのか覚えるのは早かった。
    俺のことは「森さん」と呼べと教えた…
    ポチは少し考えた後「森先生!」と元気よく返事をした。

    敬語は使えるようになったが五月蝿さはどうにもならなかった。




    数年後
    ポチが喧嘩して帰ってきた。
    「喧嘩を売ってきたのはアッチです」
    ぼろ負けしてるくせに強がりを言う。

    お前はチビで体が細いんだから頭を使えと教えてやった。
    「頭突きですね?!」
    馬鹿だった。


    数週間後
    またボロ負けして帰ってきたようだった。
    「先生俺強くなりたいです!そういう薬作ってくださいよ!」
    俺はドラえもんか。

    ちょうどいい案件があったのでコイツで治験することにした。


    数年後
    ポチが喧嘩してボロボロになって帰ってくることは殆ど無くなった。
    それどころか俺の体よりデカくなってないか?
    いやまだ俺の方がデカい、、、はずだ。
    成長期というものは恐ろしかった。


    数日後
    夜中ポチから連絡が来る。
    仕事に追われていたから無視しようとしたがなんだか嫌な予感がしたので出た。
    喧嘩の相手が悪かったらしい。
    刃物で腹部をやられて動けないようだった。
    馬鹿犬。


    ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎

    なんとか怪我の処置が終わり大事には至らなかったようだ。少しだけ安心した。
    元気が無いポチ。小さい声で「ごめんなさい」とだけ言ってきた。
    今日はもう説教する気は失せた。

    後日めちゃくちゃ説教した。


    数年後
    だいぶ時が経ってあれ以降無茶なことは……たまにしかしないようになった。
    ポチは日雇いだが仕事もするようになり、たまに俺の仕事も手伝うようになった。
    主に治験だが。
    体もいつのまにか俺よりもデカくなり立派になりやがった。

    困ったことにこの巨大な犬は治らない癖がある。
    たまに俺の布団に入ってくることだ。
    安心するんだかなんだか知らんが1人用のベッドで邪魔すぎる。
    いくら蹴飛ばしても戻ってくるのでどっちが折れるか根比べが始まる。
    7:3で負けている気がするが…。
    デカいベッドでも買い替えようかな。


    数週間後
    ポチが成人になった頃、いや俺にも正確にはわからないが。
    いきなりタバコを吸ってみたいと言い出した。

    咥えて火の付け方を教えてやる。
    ポチが思いっきり咽せた。
    お前にはまだ早いとタバコを取り上げようとしたが。
    「吸わないけど先生のタバコが欲しいです!」
    と五月蝿から使ってないライターと開けたばかりのタバコを一箱くれてやった。
    何がそんなに嬉しいのかね。
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