出轟ss出轟ss
キス



緑谷が来ない。
今日の夜勉強会をしようと決めたのは今日の放課後。テストが返却されたときだった。
お互いに分からなかった所を教え合おうと約束した。だが緑谷は自主練があるからと、終わってから俺の部屋に来ると行っていたので、食事も風呂も済ませて待っていたが待てどもこなかった。数分おきにスマホを確認するが画面には日付しか表示されていなかった。
いくらなんでも遅すぎる俺は緑谷の部屋に向かった

部屋をノックするが返事はない。緑谷？と声をかけてドアノブを回せばドアが開き、部屋の中を見れば机に突っ伏して眠っている緑谷がいた。

眠っちまったのか
時々見かける自主練の様子が思い浮かんだ。
ふと目に入ったのは机に投げ出された緑谷の手。

心配性の王子様『あ〜あ今日で部活暫く休みかァテスト週間だからって自主練も禁止なんて』

　だからって立てなくなるまで走り回ることねえだろ、と嗜めると回された手にキュッと力が入り、ごめん、どうしても完成させたい技があったからと言う。何も本気で怒っているわけじゃない、ただ心配しているだけだってことは勝己も解っているだろうに、

『どうした、今日は元気ないな？』

　そんなことねェし！それよりもう歩けるから降ろしてという幼馴染にこのまま家まで送ってやるよと言うと、

『今日はこれから図書館で勉強するんだ。チームの奴らに数学教える、うちの部活は赤点取る奴が1人でもいたら試合に出場できねェから仕方なしだ』

　そうか、それなら仕方ないな、なんて笑って言ってやれるほど俺は心が広くない。奴らって何人だ？何時まで掛かるんだ？