Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    hero_w_8

    @hero_w_8
    フェイジュニとマシュマロが主食
    https://marshmallow-qa.com/hero_w_8?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    hero_w_8

    ☆quiet follow

    《キミショコ2展示①》
    〜展示内容〜
    フェイジュニ『百二十点満点!』
    🎧の告白予行練習に付き合う🎸のおはなし

    第二回開催おめでとうございます〜!
    沢山のスペースがある中拙作を覗いてくださりありがとうございます♪
    はじめてのサークル参加どきどきしながら準備しました💦
    マロ https://marshmallow-qa.com/hero_w_8

    百二十点満点!「ねぇ、好きだよ。俺と付き合ってほしい。」
     そう言い放ったフェイスとおれの距離は、少し動けば互いの唇が触れてしまうのではないかと思うほどに近かった。世の女性に見られたら、それは羨ましがられるであろうこのシチュエーション。
    「…十点」
     そんな状況の中、おれの口から放たれた言葉は、この場には余りにも似合わないそんなセリフだった。


     そもそも、何故こんな状況になってしまったのか?その説明が必要であろう。あの日は、本当に何ともない、いつも通りの一日になるはずだった。朝には、なかなか起きてこないフェイスのことを叩き起こし、欠伸なんてこぼしている、やる気のないそいつをパトロールへと引っ張って行った。昼には、フェイスと共にダイナーで食事をし、パトロールの帰りには、今夜観る映画を探すべく、先日帰路で見つけたレンタルショップへと立ち寄った。そう。そこまでは、本当にいつもと何ら変わりない一日だった。
     問題はここからである。フェイスからかけられた「たまには恋愛ものもいいんじゃない?」なんて言う言葉。その時は、一も二も考えずに了承してしまっていたが、完全にそこからが間違いの始まりであった。
     時は流れその日の晩。いつものように、一つの小さなパソコンの画面へと二人で顔を寄せ合いながら行われる映画観賞会。画面の中で、親密そうな男女が愛の言葉を囁きあっていたのを、今思い出すだけでもむず痒い。映画を見ている最中にも、フェイスにまだおチビちゃんには早かったかとからかわれ、それに対しそんなことはないと反論してしまったことを思い出す。ここが決定的な間違いであった。「それじゃあ、おチビちゃんに告白してもいいよね」なんて言う、傍から聞いたら勘違いされてしまうようなセリフを言ってのけた男に、最初こそ抵抗したものの、まんまと口車に乗せられてしまい今に至ったというわけだ。


     そして現在。目の前の男は、先程おれの口から出てきた言葉に納得出来ないらしい。
    「ちょっと、真面目にやってよね」
    「はあ?何が不満なんだよ。おれはしっかり付き合ってやってるだろ」
     そういうと、フェイスがひとつ大げさにため息をついたかと思うと、おもむろに口を開きはじめた。
    「じゃあ、逆にその十点ってなに?」
    「顔」
    「アハ、即答。おチビちゃんってば俺の顔、何だかんだ言って大好きなんだから」
     ほらほら、なんて言いながら、こちらをおちょくる様にずいと顔を近づけてくるその男から顔を逸らす。
    「おれがじゃなくて、おまえの彼女たちが。だろ」
     まあ本当は、どんな告白でも、自分がフェイスに惚れていることを抜きにしても、そこらの女にとっては百点満点以上の価値がある告白なのだが。
    「おまえがおれに練習台を頼むほどの奴なんて相当だろ。だからこのくらいが妥当なんだよ」
     だから文句なんて言うんなら他をあたるか、当たって砕けて来い。
     おれのその言葉に、フェイスはしばらく豆鉄砲をくらったような顔をしていたが、その後すぐにいつもの飄々とした顔に戻ってしまった。
    「…まあ確かにそうだよね。でも、告白はもう少し勝算が出来てきてから確実にするから。当たって砕ける、なんてことにする予定はないから安心してよ」
     そう笑いながら頭をなでてきた。ガキ扱いするなと押し返すこともできたし、いつものおれなら、そうしていたであろう。が、今日はなかなかそれが出来ずにいた。
     それもそのはず。恋を病に例えた先人様がいるくらいなのだ。理由や経緯はどうあれ、好きな人に頼ってもらえるというのは、やはり嬉しいものなのである。まあそれは半分本音で、残り半分は、下心を隠すための建前である。練習とは言えども、叶うことなんてないと思っていた想い人から、自分のことが好きだと告白をされるのは、どうしようもなくうれしいのである。しかし残るのは、これが自分自身に言われている言葉ではないのだと、ふとした瞬間に思い出し、喪失感と共に現実を突きつけられる瞬間だ。

     だが悪いことばかりでもない。先ほども言ったように、元々は付き合うなんということは疎か、好きだという、そういう意味の上での好意を伝えられることすら本来はなかったことなのだ。本来は満たされるはずのなかった自分自身の中で持て余していた恋心が、この『告白予行練習』なんていう茶番に付き合うことによって、満たされる。すぐに忘れ去れる。なんてことはできなくても、コイツの、フェイス・ビームスという男の相棒として、彼の初恋の実った先を、笑顔で祝福することができる。そんな気がしたのである。

     しかしこの男、本当に勝算を確保する気はあるのだろうか?と、最近思うことが増えた。パトロール中に、それとなくフェイスの目線の先を探ってみたりもするのだが、大体その先にあるのは、彼のお気に入りのショコラが売られているお店であったり、休憩が出来そうな日陰やベンチなのである。おかげで、コイツのさぼり癖への喝が入るタイミングがここ最近とても速くなった。要らない特技を増やしてしまったものである。
     それに、昼休憩だけならまだしも、夜の映画鑑賞や、オフの日のお出かけなど、コイツは隙あらば、おれのことをかまうのである。

     一度だけ、おれの気を使っているのならそれは不要である。という趣旨を伝えたのだが、のらりくらりと躱されてしまい、気づいたときにはダイナーにいて、目の前にはハンバーグと、にこにことこちらを見ながら、お気に入りのショコラを一口。また一口とスプーンで運ぶフェイスがいた。完全にごまかされている。いや、毎回まんまとこの手に嵌ってしまうおれもおれなのだが。そんなことを思いながら、ハンバーグを口に運ぶ。うん、やっぱりうまい。
     ハンバーグの安定のおいしさを噛みしめながら思わず頬を緩めていると、目の前から、視線を感じると共に、控えめな笑い声とシャッター音が聞こえてきた。
    「おいクソDJ!お前今写真撮っただろ⁉」
    「えぇ?何のことかなぁ」
     そう言いながら、口元をスマホで隠してにやにやと笑う姿に思わず声を張り上げる。
    「ふぁっく!とぼけても無駄なんだよ。にやけた面しやがって。かーえーせーっ!」
    「アハ、返せって言っても、このスマホは俺のだし。あと、お店では静かに。ね」
     そういったフェイスの視線の先を見て、思わず一声上げてからおとなしく席に着く。そんなおれの一連の行動を見て、エリチャンにあげるなんてことはしないから安心してよ。なんてくすくすと笑いながら言うその男を、やっぱり撮ってるんじゃねえかと睨みつけ、言外に伝えようとするも、そんなことはどこ吹く風といった様子でご機嫌にショコラを食べる手を再開させていた。
    先の宣言通り、自室へと戻り確認したエリチャンには、ショコラが中心に写し出された写真と共に、『いつもハンバーグで飽きちゃわないのかね?』なんていう言葉が添えられていた。確かにもう一度写真を確認してみると、画面の端の方におれの食べていたハンバーグが見切れて移っていた。コメントを見てみると、『今日もダイナーに居たんだね♡』だとか、『また今度私とも行こうね』だとか、『そこのショコラが最近のお気に入りなのかな?次の差し入れに買っていくね!』など、予想通りといった感じの言葉が、数多く寄せられていた。
    が、その中にも『ごちそうさまです』とか、『今日もありがとうございます』だとかのコメントも結構な数が寄せられており、意外とフェイスの顔だけじゃなく、おいしいショコラの情報口として彼のSNSをみているファンも結構いるんだな。なんて思いながらスマホの電源を落とした。

     それからというもの、自室での時間などのフェイスと二人きりになる時には、今回のように、彼の告白予行練習とやらに付き合ってあげたり、時には恋愛相談のような、恋バナのようなものに付き合わされることもあった。話を聞いてもらうだけでは飽きてしまったというのか、この前には、『おチビちゃんの恋バナも聞かせてよ』なんて言ってきたものだから、どうごまかしてやろうかと、頭を悩ませたものだ。『おれは最近ずっと好きなやつの恋愛相談を聞いている』なんて言えるはずもないのだから。

     そんなある日。おれは、ちょうどフェイスとディノがパトロールという好条件も相まって、オフの日が被っていたキースに、少し相談をしてみることにした。
     二人がパトロールに出かけると、ウエストセクターのリビングには、相変わらず真昼間からソファーで酒を煽っているキースと、それを見て酒を取り上げようと格闘するおれの二人きりとなった。格闘の末の結果は、まあ言うまでもなく、キースにヒーロー能力を使われてしまったおれの敗北に終わっていた。しかし、今からする相談内容的には、素面の状態の彼に聞かれるのは少し恥ずかしい気もしたので、結果オーライってやつだ。
     そして、キースが一口。手に持ったグラスを傾けたことを認めてから声をかけた。予想通り酔いの回ったいつもよりふわふわとした調子で返事をした彼に言葉を投げかける。
    「その、す、好きなやつの告白練習に付き合わされてて」
    「んぐぶっ⁉」
    「うわっ⁉きったねー吐き出すな!」
     口にしていた酒を吐き出し、咳き込む姿を見てそう言葉を投げるも、返ってきたのは抗議の言葉だった。
    「いやいやいや。え?いまなんて言った?」
    「いや、だから。告白の練習に付き合わされてて…」
    「いや、うん。もう大丈夫だジュニア」
     質問に答えてやったというのに、目の前のこの男は、途中で話を遮り、返事も曖昧なまま頭を抱えはじめた。やはり、二日酔い常習犯のクソメンターではなく、ディノに相談をすればよかったかもしれない。いや、それはそれでラブアンドピースな回答に困ってしまい相談どころではなくなってしまうか。と、そこまで考えると徐に男が口を開いた。
    「まあなんだ。なんとも思ってないやつを、同室だからってそんな面倒なことに巻き込む奴じゃないだろ。少なくともオレから見たらお前らは相思相愛ってやつだけどな」
    「アイツはおれのこと、よくて友達くらいにしか思ってねーだろうし。おれのせいでヒーローとしての業務まで妨害するつもりはねーよ」
    「へえ」
     そう言って、こちらににやにやとした視線をよこすキースに首をかしげる。
    「なんだよ。おれは真剣に話してるんだぞ」
    「うんうんそうだよな。ジュニアちゃんはフェイスのことが好きで好きでお困りなんだよな」
    「は?っおいクソメンターカマかけやがったな⁉」
     突然出てきた、口にしたはずのない男の名前に、一度思考が停止してしまったものの、トリックに気付いてしまえば、なんて単純な罠に引っかかってしまったのだろうという気持ちと、最初から見透かされていたという現状に恥ずかしくなってしまい、声を上げずにはいられなかった。
    「おいおいそんなに暴れるなって…イタッ」
     どうどう。と宥められ少し冷静になってきた頭で、今回の本題である疑問を思い出し、目の前の男へとぶつけた。
    「でも、本当にどうすればいいのか悩んでるんだよ。別にアイツにおれのことを、その…スキになってほしいわけじゃなくて。アイツの好きな奴が分かれば協力してやりたいと思うし、こんな茶番みたいなこともやらなくて済むようになるのに。アイツ、おれにばっかりかまって来るから、好きな奴に見当もつかないんだよ」
     そういうとキースは、うげ、と苦虫を嚙み潰したような顔を隠しもせずに此方へとむけたまま、たっぷり一呼吸置いて話し始めた。
    「あのなあ、ジュニア。あいつは面倒なくらい慎重な奴なんだよ。だからわざとヒントを散りばめて隠れて、お前みたいなやつに、引っ張り出しててほしくなるんだ。そのくせ、確信を持てたらこれでもかってくらい向こうから攻めてくるんだぞ」
     だから、あいつのこと、もう少しだけ温かい目で見守ってやってみてもいいと思う。そう続けた後、キースは手に持っていた酒を、ひとつぐいっと飲み込んだ。
     キースの言っていることは分からなくもない。アイツは面倒なことを嫌っていると公言してはいるものの、アイツ自身が面倒の塊のような節がある。でもふとした瞬間に見せる面倒見の良さはかっこいい。
     そこまで考えると、なんだか悔しくなってきた。おれはフェイスのことが好きだからこそ、こんな茶番に付き合っているけれど、アイツはおれじゃない誰かを想いながらも、おれに助けを求めているということなのだから。確かに頼られるのは嬉しいことではあるが、状況が状況なのだ。
    「…おれは、予行練習なんてしねーよ」
     そう言ったのと、リビングへと繋がるドアの開く音がしたのは、ほぼ同時だった。意外にもキースが焦り始めていたのを歪んだ視界の中で見つめていると、一周回って冷静になっていた。
    「い、いや~。これはオレのせいじゃないっていうか…」
     しかし、キースのその言葉と、視線の先を辿ってたどり着いた先の姿に、今度はおれが取り乱す番であった。
    「ふぇ、ふぇいす?」
    「…別になんでもいいけど、俺やディノがいない間に、お子様が泣いちゃうくらいにいじめないであげなよね」
     おれの声に、一度顔をこちらに向けたものの、ふいと顔を逸らし、そんなチクチクと双方に棘を刺すような言葉を発する彼に、さすがに反論をしようと口を開いてから、先程のフェイスの発言を思い出し固まってしまう。彼は、確かに『泣いちゃうくらいに』と言っていた。中途半端な位置で動きを止めてしまっていた手を、自分の目元へと持っていくと、確かに濡れている感触がある。先ほど視界が歪んでいたのは涙のせいらしい。
     その一連の行動を見て、何を思ったのか、フェイスは「ディノは帰るのが遅くなるみたいだよ」と言い残すと、自室へと消えて行ってしまった。
    「おいおい、お前からも何とかフェイスに言ってくれよな。痴話喧嘩に巻き込まれて、むしろオレは可哀想な被害者だってな」
     オレに馬に蹴られる趣味はないんでな。と言い残して、彼もリビングからいなくなってしまった。
     それから何時間が経ったのか。いや、この静けさにあてられただけで実際には数分しか進んでないのかもしれない。おれもいつまでもここに居るわけにはいかないと、自室につながる扉へと足を進めた。

     いつもなら何てことない扉の音がやけに大きく感じて、思わずぴくりと体を揺らしてしまう。忍び足で自室のベッドへとたどり着くと、いつもとは打って変わって、痛いくらい静かなこの空間に、はじめて居心地の悪さを覚えた。
     そんな静かな部屋の空気を破ったのは、奥の自室にいるフェイスだった。
    「おチビちゃんにも、好きな子いたんだね」
     俺には聞かれても相談できないのに、キースには自分から相談しに行けるんだね。なんてことを言うフェイスに、先程のキースの言葉を思い出した。
    ──あいつは面倒なくらい慎重な奴なんだよ。だからわざとヒントを散りばめて隠れて、お前みたいなやつに、引っ張り出しててほしくなるんだ。
     そんなこと分かるわけがないなんて思っていたが、今目の前にいる、小さな子供のように拗ねた男を目前にして、存外、分かりやすいものだなんて思う。いや、彼の場合、鈍いと烙印を押されたも同然のおれに態と分かりやすくしている可能性もあるが。
     しかし、この状況だと最早、どちらが鈍感なのかと、一度彼に問いたくなってしまう。
    「じゃあおれの告白、お前が聞いてくれ」
     これは、キースにでも、ディノにでもなく。フェイスにしか頼めない。頼むつもりのないお願いだった。その言葉に、眉をピクリとさせたものの、了承の言葉を出しおれの告白を聞き入れる体制に入ってくれる。
     その姿に、思わず頬がすこし緩んだ。
    「お前はちょっと、というかかなりメンドクサイやつだし、おれのことチビ呼ばわりするような、それこそ好きになる要素からかけ離れたチャラチャラしたやつだし、第一印象からサイアクなやつだった」
     その告白とはかけ離れたような言葉の数々に、フェイスの眉間にしわが寄っているのが見て取れた。分かりやすいその態度に、今度こそ隠しきれないほどに、頬が緩んだ。
    「でも、一緒に過ごす時間が増えるたびに、どこが好きになったのかって聞かれたら難しいけど。何だかんだ面倒見がいいとか、実はすぐ拗ねちまうような奴だとか。多分、そういう毎日のいいところも面倒なところも。全部がその要素のひとつ、だったんだと思う。」
      目の前を向くと、今にも零れ落ちてしまいそうなマゼンタの瞳と目が合った。
    「すきだ」
     初めての告白は、ただ思いついた言葉から羅列していった、なんとも纏まりのないものであった。だが、一番伝えたかった言葉は、しっかりと目の前から目を離さずに伝えることができたので、及第点だ。
    「おれは、お前の言ってた理想の告白とかは出来ないかもしれないけど、」
     そこまで言って、眼を瞑って、深く一息。
    「おれは、予行練習なんてしねーから」
     練習ばっかりじゃなくて、直接伝えなきゃわかんねーぞ。意気地なしDJ。そう言い残し、部屋を出るため、ベッドから立ち上がろうとした。が、その行動は、今まさに自分が告白をした彼自身の手により阻まれていた。
    「…なんだよ」
    「何って言われても、俺まだおチビちゃんの告白に講評を付けてあげてないでしょ?」
    「は?いや、だからおれは練習なんかじゃ…」
     その先の言葉が、口から出ることはなかった。目の前は暗く、甘いバニラの様な匂いが胸いっぱいに広がっていた。そこから、自分は今、フェイスに抱きしめられているということに気がつくのは、そう時間はかからなかった。
    「なっ、え?」
    「ふふ、おチビちゃんってば、耳まで真っ赤にしちゃって。ホント、かわいくて、カッコいいよね。文句なしの百点満点だよ」
     じゃあ次は、俺の番かなぁ。なんて、顔から今にも火が出そうなおれのことを置き去りにして、その男は話を進めていく。
    「ね、おちびちゃん。俺はおチビちゃんのことが好き。なんて言葉じゃ足りないって感じちゃうくらい、大好きで」
     そこまで言って、一度言葉を切ったフェイスを不思議に思い、羞恥心から下げていた顔を上げると、ちいさなこどもが内緒話をする時のように、おれの耳に顔を寄せた。
    「愛してるよ」
     そんな歯が浮くようなセリフも、コイツが言うと様になってしまうのだからたちが悪い。
     そんなことを思っている間にも、ふたりの時は進んでいるわけで。こちらに向けられた、甘ったるいと感じるほどに惚けたマゼンタに急かされて口を開いた。
    「 ──────! 」
     おれは、おおきく叫んでやりながら、フェイスの胸に飛び込んだ。


    ──百二十点満点!

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏💘💘☺☺💕💕💕💞☺☺☺💘💘💘💘💘🙏☺☺☺💖💘💘💖💖💖💖💖💖💖💖💖🇱🇴🇻🇪🈵💖💖💖💖💖🙏💯🙏🙏🙏🙏🙏❤❤❤❤❤🐦🐦🐦
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    hero_w_8

    DONE《キミショコ2展示①》
    〜展示内容〜
    フェイジュニ『百二十点満点!』
    🎧の告白予行練習に付き合う🎸のおはなし

    第二回開催おめでとうございます〜!
    沢山のスペースがある中拙作を覗いてくださりありがとうございます♪
    はじめてのサークル参加どきどきしながら準備しました💦
    マロ https://marshmallow-qa.com/hero_w_8
    百二十点満点!「ねぇ、好きだよ。俺と付き合ってほしい。」
     そう言い放ったフェイスとおれの距離は、少し動けば互いの唇が触れてしまうのではないかと思うほどに近かった。世の女性に見られたら、それは羨ましがられるであろうこのシチュエーション。
    「…十点」
     そんな状況の中、おれの口から放たれた言葉は、この場には余りにも似合わないそんなセリフだった。


     そもそも、何故こんな状況になってしまったのか?その説明が必要であろう。あの日は、本当に何ともない、いつも通りの一日になるはずだった。朝には、なかなか起きてこないフェイスのことを叩き起こし、欠伸なんてこぼしている、やる気のないそいつをパトロールへと引っ張って行った。昼には、フェイスと共にダイナーで食事をし、パトロールの帰りには、今夜観る映画を探すべく、先日帰路で見つけたレンタルショップへと立ち寄った。そう。そこまでは、本当にいつもと何ら変わりない一日だった。
    7637