余裕のある大人「朝比奈先生。」
夏の暑い化学準備室の扉を開け先生の名前を呼ぶ。そうするとパソコンに向けられていた視線がこちらを向く。
「どうした?なにか用か?」
「いや、対した用事はないんですけど、ただ会いたくて来ちゃいました!」
そう言って設置されているソファーに腰掛けると軽い溜息が聞こえた。だって本当に会いたかったのだから仕方ないだろう。
「……夏休み入ったっていうのにお前はよく律儀に登校してくるねぇ。嫌じゃないの?」
若干の呆れが混じった表情で俺を見つめる。そりゃそうか平日はほぼ毎日 朝比奈先生に顔を見せているし、化学の補習がある訳でも無い。
「いやなワケないじゃないですか!」
「でもお前…家帰っても俺と顔合わせるじゃねーか。」
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