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    タクト

    地獄の夢女

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    タクト

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    謎設定現パロナタクくん夢、ほぼワンライ
    誤字脱字ゆるして

    ナタクくん現パロ夢SS、謎設定 わたしの隣の席には、まるでかみさまにつくられたみたいな男の子が居た。
     彼の名はナタクと言った。眉目秀麗とか、容姿端麗みたいな言葉は彼のために作られたのではないかと思うくらいにうつくしく整ったかんばせに、プロほどにとは言わないまでも運動部の男子の誰も敵わないほどの運動神経と、学年でもトップクラスの成績を持ち合わせた、恐ろしい程に完成されたひとだった。
     わたしはそんな彼になんとなく近寄りがたさというか、話しかけづらいような雰囲気を感じてしまって、授業中に窓の外のどこか遠くを見ている彼をちらりと覗き見る程度しかできていなかった。きっとこのまま次の席替えが来て、卒業まで一度もまともに話すことはないだろう……と思っていたのだが。今、わたしは放課後の教室で彼とふたりで話をしていた。
     何故こんなことになったのか、わたしにもわからない。図書室で勉強をしてそろそろ帰ろうかと思っていた時に、ふと教室に忘れ物をしたことに気が付いて取りに来たら、窓際の自分の席に座って外を眺めていた彼と出くわしてしまったのだ。
     そのまま彼に話しかけられ、とりとめもないような雑談を始められてしまったがためにわたしはそのまま自分の席に座り、彼のするやや独特な視点の話に適当に相槌を打ちながら耳を傾けている。
    「それで、先日読んだ本にはこういった話が書いてあってな」
    「へえ……」
     明るいうちに帰ろうと思って勉強を切り上げたのに、窓から見える夕日はもう沈むところで、夜の気配が強くなってきている。落ち着いていて心地のいい声で話す彼の話をぼんやりと聴きながら、このひとは声まで素敵なんだな、と思った。
     夕日が半分ほど姿を消したところで、彼はもうこんな時間かと言って唐突に話を切り上げた。鞄も持たずに立ち上がり、窓からじっと外を見ている。
    「ええと、ナタクくんも駅? それなら……」
     一緒に帰ろうか? とわたしが言葉を発する前に、彼は窓へと手をかけた。そして開け放つ。いきなりのことにぎょっとしてしまい固まるわたしを気にもせず、彼はそのまま窓枠へと足をかけた。
    「ああ、別れの挨拶はさようならだったか?」
     顔だけ振り向くとそう言ってにやりといたずらに微笑み、彼はそのままぐっと身体を乗り出して窓から身を投げ出した。
     まるで現実味のない光景に声すら出せなかったが、ここは三階だ。慌てて窓へと駆け寄ると、どこにも彼の姿はなかった。窓の下にも、空のどこにも。
     翌日。あれは夢だったのか何だったのか。まだどこか夢の中に居るような気持ちで登校し、自分の席につく……と。隣の席がなかった。誰に聞いても、そこはもともと誰も居なかったと言う。その日一日、彼の机があった場所を何度も見返しては見たが、あのうつくしいひとはどこにも居なかった。
     
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