一目惚れと温もり足元を園児たちが元気に駆けていく。真新しい制服に黄色い帽子、それからチューリップのネームプレート。視線の先には『にゅうえんおめでとう』の文字。
そんな光景にふと自分の幼い頃のことを思い出す。
一目惚れ、だったと思う。初めて出会ったあの日、俺は薫に恋をした。
※※※
俺と薫の出会いは幼稚園の入園式。『にゅうえんおめでとう』と書かれた看板の前で写真を撮っている薫を見た瞬間、体を電流が駆け抜けた。
美しいし桜色の髪とそれが映える白い肌。他の子と比べると華奢な体に凛とした表情。この出会いは運命だと思った。俺は将来この人と結婚するのだと。
だからすぐに駆け出して、胸に付けられたチューリップのネームプレートに書いてある文字を叫んだ。
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