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    aqua_emoto

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    aqua_emoto

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    アニメディア9月号表紙かわいすぎる
    全てが可愛いけど薫さんのお手々綺麗すぎる
    ずるいーあれはずるいー!!

    爆撃を受けました…瀕死です…

    #ジョーチェリ
    giocelli

     ――季節外れの桜のラテに、ホイップをたっぷりのせて。

     淡いピンクの上に、ドリンクよりも少し濃い目のピンクを散らした真っ白のクリーム。SNS映えしそうなかわいらしさで、なるほど人気の店なだけあると頷ける。見た目からして派手で可愛い、女の子たちが好きそうな見た目のかわいらしさは、料理人として見習うべきところではある。味覚は視覚や嗅覚に左右される部分も大きい。特に女性客の多い自分の店では、こうした甘い配色のデザートを用意することも多い。
     よく見ると、さくらの花びらの塩漬けと、さくらの形を模したちいさなチョコレートの欠片が乗っていた。
     グリーンのストローを刺したそれはプラスチックのカップに入っている。白くしなやかな指先が添えられていて、思わず目線が引き寄せられた。マニキュアを塗ったわけでもないのに艶のある桜貝のような爪は綺麗に整えられて、リセエンヌみたいに短く摘んでいる。
    「本気か、薫。お前、生クリームダメだろ」
     正確に言うと、甘いもったりとしたクリームが苦手なはずだ。少しなら平気だが、砂糖をたっぷり使った生クリームが大量に乗ったような菓子全般、そこまで得意じゃないと知っている。
     そのくせ生クリーム自体の味は割と好きで、だから薫のためのカルボナーラを作る時は牛乳を使わず、卵白とクリームだけで仕上げることが多かった。砂糖を入れない生クリームは分離しやすいから割と手間暇かかってるが、そんなことを気にした様子もなく当然のように食べる薫の表情は、割と悪くないので。
     さっきまで、ランガと暦がああでもないこうでもないと店員を巻き込んで注文を決めているのをふたりで眺めていた。
     隣にいたはずの薫がいつのまにか消えて、プラスチックのコップを手にして戻ってきたと思えば中身がそれだ。驚かないほうがおかしい。
     けれど、薫は当たり前のような顔でストローを加える。
     こくりと日焼けしてない白い喉が動けば、僅かにクリームが沈んだ。こくこくと上下する首筋に思わず目線を取られてしまう。
     フッ、と笑みを浮かべたような気が、した。
    「喉が渇いたからな」
     いつも涼しい顔をしているけれど、近くにいるから僅かに汗ばんでいるのがわかる。確かに冷たいものが飲みたかったんだろう。
     だからと言って、わざわざ苦手なものを選ばなくていいだろうと思った途端、にやりと不穏な顔をして薫が笑う。
    「お前は生クリーム好きだろう?」
     やるよ、とたっぷりクリームを乗せたスプーンを口の中に放り込んで、美しい手が離れていく。
     驚いて目を丸くする俺の前でしてやったりと笑う顔が、ずいぶん遠くに置いてきたあの頃の薫に重なった。

     ――また見られるとは思ってなかった笑顔を前に、俺がうまく笑えたかどうかは、わからない。
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    norarikurari031

    DONEデザワ黄色本の初期設定チャラ南城×短髪屋敷にやられて書きました。あんまり本編との差が出なかった気がするんですが、楽しんでいただければ幸いです。
    内容的には「本命(短髪屋敷)の気を引きたくて女の話ばっかするけどいざ短髪屋敷がそういう気配を出すと臆病になっちゃう南城×そんな南城の本命が自分なの知ってるけど色々と癪だから踏み出さずに南城の理性崩壊をじりじり待ってる短髪屋敷」です。
    始まりの夜(デザワ黄色本ジョーチェリ)「流石に平手打ちはねーよなぁ。そもそも付き合ってるわけでもねーのにさ」
    「色っぽくて脚綺麗で、よかったんだけどなぁ。一回きりでお別れになっちまった」
    「出勤前に顔に紅葉模様、マジでかっこつかねーよな。スタッフも呆れてたし、本当に災難だったわ」
     生返事をしながら、今夜はタイミングが悪かったなとため息が出る。複数の依頼の納期に文芸誌に連載中のコラムの締切が同じ週内に被った先週は忙しく、食事も出来合いの総菜や弁当で済ませていたせいで、いい加減舌が物足りなくて。
     ほぼ二十日ぶりに閉店後の店を訪れた俺を、幼馴染は嬉しそうに笑って迎え入れた。上等な白とアンティパスト数品を並べたカウンターに、エプロンを外し、コックコートのボタンを上から三つ外して勝手に並んで座ると、聞いてもいないのに最近バーで出会ってお持ち帰りした「尻は軽いくせに、独占欲がとプライドが強い」女への苦言を並べる。男女問わず交友関係だけはやたら広い男だ。他に聞かせる相手などいくらでもいるだろうに。
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