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    aqua_emoto

    @harui_aqua

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    aqua_emoto

    ☆こそフォロ

    アニメディア9月号表紙かわいすぎる
    全てが可愛いけど薫さんのお手々綺麗すぎる
    ずるいーあれはずるいー!!

    爆撃を受けました…瀕死です…

    #ジョーチェリ

     ――季節外れの桜のラテに、ホイップをたっぷりのせて。

     淡いピンクの上に、ドリンクよりも少し濃い目のピンクを散らした真っ白のクリーム。SNS映えしそうなかわいらしさで、なるほど人気の店なだけあると頷ける。見た目からして派手で可愛い、女の子たちが好きそうな見た目のかわいらしさは、料理人として見習うべきところではある。味覚は視覚や嗅覚に左右される部分も大きい。特に女性客の多い自分の店では、こうした甘い配色のデザートを用意することも多い。
     よく見ると、さくらの花びらの塩漬けと、さくらの形を模したちいさなチョコレートの欠片が乗っていた。
     グリーンのストローを刺したそれはプラスチックのカップに入っている。白くしなやかな指先が添えられていて、思わず目線が引き寄せられた。マニキュアを塗ったわけでもないのに艶のある桜貝のような爪は綺麗に整えられて、リセエンヌみたいに短く摘んでいる。
    「本気か、薫。お前、生クリームダメだろ」
     正確に言うと、甘いもったりとしたクリームが苦手なはずだ。少しなら平気だが、砂糖をたっぷり使った生クリームが大量に乗ったような菓子全般、そこまで得意じゃないと知っている。
     そのくせ生クリーム自体の味は割と好きで、だから薫のためのカルボナーラを作る時は牛乳を使わず、卵白とクリームだけで仕上げることが多かった。砂糖を入れない生クリームは分離しやすいから割と手間暇かかってるが、そんなことを気にした様子もなく当然のように食べる薫の表情は、割と悪くないので。
     さっきまで、ランガと暦がああでもないこうでもないと店員を巻き込んで注文を決めているのをふたりで眺めていた。
     隣にいたはずの薫がいつのまにか消えて、プラスチックのコップを手にして戻ってきたと思えば中身がそれだ。驚かないほうがおかしい。
     けれど、薫は当たり前のような顔でストローを加える。
     こくりと日焼けしてない白い喉が動けば、僅かにクリームが沈んだ。こくこくと上下する首筋に思わず目線を取られてしまう。
     フッ、と笑みを浮かべたような気が、した。
    「喉が渇いたからな」
     いつも涼しい顔をしているけれど、近くにいるから僅かに汗ばんでいるのがわかる。確かに冷たいものが飲みたかったんだろう。
     だからと言って、わざわざ苦手なものを選ばなくていいだろうと思った途端、にやりと不穏な顔をして薫が笑う。
    「お前は生クリーム好きだろう?」
     やるよ、とたっぷりクリームを乗せたスプーンを口の中に放り込んで、美しい手が離れていく。
     驚いて目を丸くする俺の前でしてやったりと笑う顔が、ずいぶん遠くに置いてきたあの頃の薫に重なった。

     ――また見られるとは思ってなかった笑顔を前に、俺がうまく笑えたかどうかは、わからない。
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    emotokei

    できたじれったいお題ったーより、
    お題『くるしいけど、しあわせ』

    DK幼馴染ジョーチェリ。愛抱夢の「卒業」の時。
    ❤←🌸だと感じている🐯がいます。
    🐯が過去に🌸以外と関係を持った描写あり。

    えっちなの書こうとしたけど中略しちゃったので、
    そのうち中略部分をちゃんと書けたらいいですね…。
     誰かに触れることがこんなに怖いなんてはじめてだ。

     他人と肌を重ねるのは、はじめてじゃない。むしろ、どちらかといえば、この年齢にしては慣れている方だと思う。
     手に入らない唯一以外は誰もが同じように見えたし、同じように快楽で鋳つぶしてきた。分け合う熱の心地良さを知っているつもりでいた。
     女の子はすきだ。柔らかくて、すべすべしていて、甘い声が気持ちよくて、深く繋がる感覚で互いに溺れていく時間は楽しくて好きだった。ぐるぐると渦を巻くような激情とは違う、暖かく穏やかなふれあいは、ひどく安心した。
     男を相手にしたこともある。相手は決まって鎖骨と腰骨がはっきりと浮き出ているような細身の男ばかりだ。骨張った身体は受け入れる時の滑らかさが足りず、後ろから突き上げる度にのけぞる背中を心の柔い部分を占める相手といつだって重ねていた。
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