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    まちこ

    twst/ジャミ監が好き 幸せになれ

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    まちこ

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    ジャミルに監督生を引き止めさせたかった()

    「いっ!!」

    「あ~、ごめんねぇ、カニちゃん」



     バスケ部の練習中、なんとなくエースが上の空だと思っていた矢先にフロイドのボールが彼の顔に直撃した。幸いにも早いボールではなかったが、それでも重たいボールは顔面に十分すぎる衝撃を与えていて、たらりと鼻血が垂れている。



    「大丈夫か?」

    「いってぇ・・・」

    「全く・・・注意力散漫だぞ。おい、誰かタオル」

    「ユウ、帰るらしいっすよ」



     誰かが投げたタオルはキャッチしきれず床に落ちた。一瞬じゃ言葉の意味が分からなくて、なんて返すのが正しいのか考えていると、エースはタオルを拾うことなく自分のTシャツの襟で乱暴に鼻血を拭って「医務室行ってきます」と言葉を残し体育館から消えていった。



    「小エビちゃん帰るって?なにそれ」



     壁に思いっきりぶつけられたボールは大きな音を響かせると勢いよく跳ね返って、床を数回バウンドすると慌てて他の部員がキャッチした。静まり返った体育館に舌打ちが響く。



    「面白くねー冗談」



     吐き捨てるように言って次はフロイドが体育館から消えていく。さすがにざわつき始めた部員を治めなければ、思って口を開こうとしたとき、初めて奥歯を噛みしめていることに気づいた。口の中がわずかに血の味がする。



    「みんな落ち着け、フロイドがああなのはいつものことだ。練習の続きをやるぞ」



     大会が近いんだ、声を張り上げながらまるで自分に言い聞かせているみたいだった。




     着替える時間さえ惜しかった。とにかく彼女を見つけて話を聞きたかった。

     運動着のまま廊下を走っていると珍しく一人で歩いているグリムを見つけた。心なしか大人しく、俺の足音を聞いて顔を上げてもいつものように夕飯の催促をすることもない。



    「グリム、監督生は?」



     まさかこんなセリフをグリムに言う日が来るなんて思わなかった。



    「ユウならもう寮に戻ったんだゾ」

    「お前を置いて先に?」

    「・・・帰る準備をしなくちゃいけないって」

    「・・・本当に、帰るのか」

    「ま、まあ、もう子分の面倒を見なくて済むんだから、俺様はセーセーするんだゾ!」



     あまりにも分かりやすい強がりに彼女が帰るということへの現実味が増す。俺はグリムを残してオンボロ寮がある方へ地面を蹴った。後ろから声は聞こえてこない。


     走るにつれて生徒たちの数は減っていき、完全にいなくなってさらに進めばオンボロ寮にたどり着く。なのに足のスピードはゆっくり落ちて、ついにその場に立ち尽くしてしまった。無我夢中でやってきたはいいけど彼女になんて顔をして会えばいい?



    「あれ、ジャミル先輩」



     感情のままに走ったことを後悔する。オンボロ寮の方から歩いてきたのは彼女だった。すでに部屋着に着替えていてTシャツにデニム、それにパーカーを羽織っている。制服姿しか見ないから新鮮で一瞬だけ目を奪われた。



    「どうされました?」

    「いや」

    「・・・もしかして、グリムが何かやらかしたり・・・?」

    「そ、そうじゃなくて!」



     俺がここに来た理由を必死に考えているのか、斜め下を見て首をひねる彼女にきっと答えは見つけられない。自分のために俺が走ってきたなんて想像もしないだろうから。



    「・・・帰るんだって?」

    「え?」

    「エースに聞いたよ」

    「そう、なんですか」

    「・・・話を聞きたい」



     Tシャツの裾をきつく握って彼女は笑う。



    「じゃあ寮に行きましょう。お茶でもどうですか?」



     寮の中は掃除されていて、前に来たときはソファに乱雑に置かれたままだった毛布もクッションもきれいに重ねられていた。ここから一人、人がいなくなることが痛いほど分かる空間。こめかみがうずく。



    「ジャミル先輩が淹れてくれてから、紅茶が好きになったんですよ」



     華やかな香りを運んできた彼女は、俺に小さな花柄があしらわれたティーカップの一つを差しだした。そして一つは自分の手に持って、隣に座る。いつも使っていたマグカップは、もう使っていないらしい。



    「先輩みたいに上手に淹れられないんですけど」



     ほのかに黄色に色づいた紅茶に出来た小さな波が消えて映り込む俺の眉間には深いしわが刻まれていた。無意識に彼女を睨みつけていたのかと慌てて表情を変えようとするけど笑顔なんて到底出てこない。



    「・・・先輩、私、何を話したらいいですか?」



     まるで錆びたブリキのような動きでティーカップから俺の方へ顔を向けた彼女は今にも泣きだしそうで、元の世界に帰れる人間がするような表情ではなかった。視線だけ下げると紅茶の海の波は大きく、手がわずかに震えている。



    「・・・帰る方法は?」

    「・・・鏡が、あります」

    「鏡?」

    「元の世界に繋がる鏡が」



     そう言って彼女はゆっくり俯いて一度深呼吸をした。



    「割らないといけない」

    「え?」

    「私が向こうへ行ったら、割らないといけないんです。二度と同じことがないように」



     それは、もう二度と彼女も戻ってこれないというわけで。



    「そりゃあ、何回もこんなことが起きたら困りますもんね!」



     ぽつんと「みんなに迷惑ですし」と零したかと思えば、彼女は手の中にあったティーカップの紅茶を一気に飲み干した。勢いよく飲み干したせいで大きくせき込む背中を慌てて擦る。



    「先輩」

    「なんだ」

    「頼んでもいいですか」

    「なに、を」

    「私が帰ったら鏡を割ってください」



     涙目でしっかりと俺をとらえて話は続く。



    「先輩に割ってもらいたい」



     カッと胸が熱くなった。



    「バカ言うな!」



     床に紅茶が染みていく。落ちたティーカップは足にぶつかって遠くへ転がっていった。いきなり俺に両腕を掴まれた彼女は身を強張らせてぎゅっと手のひらを握りしめている。



    「バカなのは分かってます、でも」

    「なんだ?仲良くしてたエースたちには頼みづらいって?」

    「そんなこと言ってない!」

    「じゃあなんで俺なんだ」

    「だって」



     両腕を掴んだ手を背中に回して抱きしめる。彼女の顔を見たくなくて、見てしまったら余計なことを口走りそうで怖かった。



    「・・・こんなことされたら、余計に帰りたくなくなるじゃないですか」



     俺の肩に顔を埋めて小さく呟いた彼女の腕が背中に回る。



    「諦めたかったから、先輩に割ってほしかったのに」
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    まちこ

    PROGRESSジャミルが逆トリップする話/ジャミ監
    監督生が成人してる
    (本当に魔法が使えないとは)



     小さく光を反射したマジカルペンを振ってみるけど自分の髪は一房も持ち上がらない。花を思い浮かべても手元に一輪だって出てきやしない。向こうの世界にいたときに当たり前に感じていた魔力は実は世界の空気自体に含まれていたようで、こっちの世界じゃ微塵も魔力を感じられなかった。

     ピンクのシーツに包まれた枕に顔を埋める。ほのかな花の香りが、制服を着た彼女の後姿を瞼の裏に思い出させる。それは懐かしい光景だった。両隣にはいつも一年生のコンビが陣取っていて、足元にはグレーの猫がリボンを揺らしながら偉そうに歩いている。俺はいつも遠巻きにそれを眺めていた。

     カタカタと響くタイピング音。たまに聞こえる咳払い、遠くからは変な呼びかけをする男の声がする。曰く“サオダケ”というものを移動販売しているときに流れてくるものらしく、昔からあるもの、なんだそうだ。

     少し顔を上げると、紺色のカーディガンを羽織った背中が見えた。瞼の裏に浮かんだ制服を着た背中より大人になった彼女がいる。長く伸びた髪は乱雑にまとめられていて細かい毛束が白いうなじに垂れているのを見るとこっちがくすぐった 1230

    まちこ

    MOURNINGずっと我慢していた感情が大爆発した監督生と、その監督生にどう接していいか分からなくてやるせないジャミル先輩のジャミ監

    ジャミル先輩好きな人ほど慰めるの下手くそだといいな(願望)
    「魔法も使えないくせによくのうのうと学園で生活できるよな」

    「いろんな寮の寮長ともつながり持ってるらしいじゃん」

    「いいよなあ、俺も異世界から来ました!とかふざけたこと言っていろいろ免除してもらいたいわ」



     聞くつもりなんてないのに、毎日嫌でも聞こえる彼女の悪口。異世界から来たから、魔法が使えないから、女だから、イレギュラーをつまんでは面白おかしくこねくり回して下品に笑う生徒を見るのは不快だった。不快に思うようになったのは、彼女の人となりを知ってしまったからだろう。必死で足掻いてる彼女を見ていたら、少なくとも俺は馬鹿らしく悪口で時間を過ごす気にはなれない。



    「酷いことはやめろよー、こいつ俺たちと違ってこんなちっぽけな魔法さえ使えないんだぜ?」

    「そうだった!あの狸みたいなモンスターより何にも出来ないんだったな!」



     部活終わり、夕飯のメニューを考えていた頭に流れ込んできたのは馬鹿にしたような笑い声だった。会話にもならない暴言の内容ですぐに彼女が絡まれていることに気づいて辺りを見渡すと、大きな木の方に三人分の人影が見える。

     音を立てずにそっと近づいて行けば、は 1467

    まちこ

    MOURNING元の世界では成人していた監督生と振り回される17歳のジャミル先輩のジャミ監

    振り回されてる自覚もあるし悔しいのにどうしても相手に勝てないジャミル先輩かわいいよねって気持ちだけで書きなぐった。
    机に置いていたヘアオイルを手に取って一息つく。今日も今日とてカリムは他の寮の人間を招くもんだから仕事は忙しかった。だけどいつもよりイライラしなかったのはその中に例の寮の彼女もいたから。



     軽いノックの音。それだけで扉の向こうが寮生やカリムじゃないことが分かる。まあカリムならノックなんてせずに問答無用でずかずか入ってくるから論外か。

     扉を開けるとそこには貸した少しだけ大きいスカラビアの寮服を身に纏った彼女が笑顔で立っていた。



    「こんばんは」

    「どうした、こんな時間に」

    「会いたくなっちゃって」



     いたずらに笑う顔に胸が高鳴る。悔しいがドキドキしていることを誤魔化すために咳ばらいをすると彼女は口元に手を当ててくすくす笑っていた。



    「この年だったら、こんなかわいいこと言っても許されるんですね」

    「・・・笑うな」

    「入れてください、寒いので」



     腕に触れた小さな手は冷たくなっていて俺は慌てて彼女を部屋へと招き入れた。危機感のなさに落ち込みもするけど、喜びの方が勝ってるのがやっぱり悔しい。

     気づいたら好きになっていた彼女は、向こうの世界では成人してい 1504

    まちこ

    TRAININGくそでか激重感情をこじらせているジャミル先輩と、そんなジャミル先輩のくそでか激重感情には気づかず片思いをしていた監督生のジャミ監

    ある意味両片思い
    彼女のそばにいるといつも気を張って生きている自分が惨めになった。無邪気に誰にでも笑いかける顔に胸はかき乱されて、疑いもせず俺に接する姿に苦しくなる。悔しいことは、辛いことは、苦しいことは、悲しいことは、何も知らないような、純粋な瞳から捕らえるたびに、俺はたまらず死にたくなった。彼女が永遠に気づかないこの気持ちに付ける名前なんて見つけられなくて、ただひたすらもがくしかできない。喉をかきむしって歯を食いしばって、どうしてこんなことになったんだと、泣きたかった。



    「ジャミル先輩、好きです」



     誰もいない図書室、彼女は俺の隣に座って言った。いつもより少しだけ照れくさそうで、顔がわずかに赤く見える。彼女の言葉に嘘偽りないことは誰が見ても分かる表情だ。
     心臓が早鐘を打って気分が悪くなる。喉をかきむしりそうになった手を必死に抑え込んだ。


     彼女が気づいていない俺の気持ちには名前が付けられないのに、俺に向けられた彼女の気持ちには名前が付いている。


     何かに期待をしたような目をふさぎたかった。



    「何を言ってるんだ」



     必死になって流そうと言葉を振り絞るけど、そんな必死な 924

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