Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    まちこ

    twst/ジャミ監が好き 幸せになれ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 17

    まちこ

    ☆quiet follow

    悪夢に悩まされる👑さまと🏹ぱいせん
    腐向けで書いたわけじゃないけど見る人が見ればそうとれるかもしれないので注意

    二人の関係性は独特でとてもいいと思います

     輪郭がとろりと溶けて夜の色に溶けていく。それは私の指先も同じで、日ごろ努力をして美しさを保っていた肌さえ一瞬で闇の中だ。溶けた指先は酷く冷たかった。



     ルームウェアが肌に貼りつく嫌な感覚で目が覚めた。遮光カーテンを引いた部屋は真っ暗で、私の浅い呼吸の音と時計の針が進む音だけが響いている。

     またあの夢だ。真っ暗なくせに何もかも鮮明な悪夢はいつも私をなかなか離さない。そのせいで寝苦しい夜が続いていて、体調のコンディションもあまりよくない日が増えた。今はまだ誰かに指摘をされたことはないけれど、いつかバレるんじゃないかと思うとたまに背筋がひやりと冷える。悪夢のせいで寝付けなくて体調を崩すなんてあまりにも愚かで情けない。だから絶対にバレてはいけないのだ。私のプライドが許さない。


     サイドテーブルに置いていた水を少しずつ口に運んでゆっくり飲み干す。大きく吐き出した息はそれでも微かに震えていた。



    「ヴィル、きちんと眠れているかい?」



     朝食を終えたあと、そっと囁かれた言葉にスープで温まった胃が冷えた気がした。勢いよく振り向けばルークがわざとらしいほどに心配そうな顔で私を見ている。



    「・・・どうして?」

    「顔色が悪い」

    「このファンデーション、もうダメね・・・」



     ルークの言葉に返事をせずに私は背を向ける。やっぱり、いつかこの男にはバレると思っていた。いつも全てを見透かしたように笑顔を見せるルークは誰よりも───きっと私よりも私のことを見ている。



    「ヴィル!」



     振り向かないことも分かっているんだろう。それでもルークは私を追いかけてきて隣に並ぶ。顔を覗き込もうとする。



    「見ないで」

    「今夜君の部屋へ行くよ」

    「はぁ?」

    「待っていて。あとその顔色はファンデーションを変えるよりチークを変えたほうがいいと私は思うな」



     そう言うとにっこり笑ってルークは隣を通り過ぎていった。速足だったのに私の足はゆっくり止まっていく。本当に呆れた、と思いながらも体の中がほんの少しだけ温かくなった。




     夜になるとルークはルームウェアを持って本当に私の部屋にやってきた。



    「やあ、ヴィル。やはり君はメイクを落としても尚美しいね」

    「本当に来るとは思わなかったわ」

    「君の美を守るためなら私はどこへでも行くさ」



     追い返そうとするだけ無駄だと察した私はしょうがなくルークを部屋へ入れた。隣を通り過ぎるとき私のものとは違うシャンプーの香りが微かに鼻先をくすぐる。普段なら自分の部屋に自分以外のものがあるとストレスを感じるのに、今はその香りが心地よかった。









     足を下ろしていた寮の床が液状化していることになぜ私は気づかなかったのだろう。上を見上げれば天井はもう暗く、逃げ惑う寮生が次々と姿を消していく。ドロドロにその身を溶かして床と一体になっていく。逃げなさい、そう言っているはずなのに喉には何かがギチギチに詰まっていて苦しいだけだ。体は倒れることなくただひたすらゆっくりと溶けていく。

     液状化した床を踏みつけて水しぶきを上げながら走ってきたのは必死な顔をしたルークだ。そこで私は気づいてしまった。溶かしているのは私。闇を連れてきているのも私。何もかもを飲み込んでしまおうとしている、醜い私、だ。

     伸ばされたルークの手を払っただけなのに、しなやかな指先は一瞬で輪郭を失った。私が溶かしてしまった。それなのにこの男は、こんなときさえ笑っている。



     勢いよく目が開いた。今までとは違う悪夢が全身に纏わりついている。時計の音と自分の心音以外何も聞こえない。恐怖で塗りつぶされた世界に耐えられなくて寝返りを打てばそこにはルークがいた。しっかりと口と目を閉じて静かに横たわっている。血の気が引いて慌てて近づいた。こんなに近づいているのに呼吸の音はあまりにも静かで、思わず胸に耳を当てる。鼓動は、控えめに鳴っていた。

     安堵のため息と同時に酷い冷や汗に気づいた。いつも以上に気持ち悪い。これなら一人で寝たほうがよかったかもしれない。



    「ヴィル?」



     唐突に名前を呼ばれて飛びあがると、さっきまで閉じていたルークの目が開いて小さく瞬きをしていた。アンタのせいで、悪い夢を・・・



    「どうしたんだい?」

    「・・・怖い、夢を見たの」



     文句を言うつもりだったのに、口から出たのは違う言葉だった。こんなことルークに言うつもりなんてないのに。
     これ以上口を開いていたらそのまま弱音を吐きそうで、一生懸命口を閉じる。



    「・・・どんな夢か聞いても?」



     遠慮がちなのに、それでもストレートに聞いてくるのはやっぱりルークだ。寝起きだろうがなんだろうが変わらないルークに私もいつもの調子を取り戻す。



    「知らない。もう忘れたわ」



     嘘だと悟られないように背を向けてベッドから抜け出そうとした瞬間、突然部屋が眩い光で満たされた。勢いよく振り向いてあまりの眩しさに目を細める。どうやら朝は来ていたようだ。



    「ごらんヴィル」



     いつの間にかベッドから降りてカーテンを引いたルークが背伸びをしたあと私の方を向く。朝日に照らされた薄いそばかすが散った笑顔は当たり前のように私を包む。真っ暗だった全てを飲み込むように暖かく、私に纏わりついていた悪夢が一つずつ消えていく。



    「爽やかないい朝だ。きっと美しい一日が待っているよ」



     そうね、呟けば満足げに笑ったルークが窓を開けた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖👏❤😭💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    まちこ

    PROGRESSジャミルが逆トリップする話/ジャミ監
    監督生が成人してる
    (本当に魔法が使えないとは)



     小さく光を反射したマジカルペンを振ってみるけど自分の髪は一房も持ち上がらない。花を思い浮かべても手元に一輪だって出てきやしない。向こうの世界にいたときに当たり前に感じていた魔力は実は世界の空気自体に含まれていたようで、こっちの世界じゃ微塵も魔力を感じられなかった。

     ピンクのシーツに包まれた枕に顔を埋める。ほのかな花の香りが、制服を着た彼女の後姿を瞼の裏に思い出させる。それは懐かしい光景だった。両隣にはいつも一年生のコンビが陣取っていて、足元にはグレーの猫がリボンを揺らしながら偉そうに歩いている。俺はいつも遠巻きにそれを眺めていた。

     カタカタと響くタイピング音。たまに聞こえる咳払い、遠くからは変な呼びかけをする男の声がする。曰く“サオダケ”というものを移動販売しているときに流れてくるものらしく、昔からあるもの、なんだそうだ。

     少し顔を上げると、紺色のカーディガンを羽織った背中が見えた。瞼の裏に浮かんだ制服を着た背中より大人になった彼女がいる。長く伸びた髪は乱雑にまとめられていて細かい毛束が白いうなじに垂れているのを見るとこっちがくすぐった 1230

    まちこ

    MOURNINGずっと我慢していた感情が大爆発した監督生と、その監督生にどう接していいか分からなくてやるせないジャミル先輩のジャミ監

    ジャミル先輩好きな人ほど慰めるの下手くそだといいな(願望)
    「魔法も使えないくせによくのうのうと学園で生活できるよな」

    「いろんな寮の寮長ともつながり持ってるらしいじゃん」

    「いいよなあ、俺も異世界から来ました!とかふざけたこと言っていろいろ免除してもらいたいわ」



     聞くつもりなんてないのに、毎日嫌でも聞こえる彼女の悪口。異世界から来たから、魔法が使えないから、女だから、イレギュラーをつまんでは面白おかしくこねくり回して下品に笑う生徒を見るのは不快だった。不快に思うようになったのは、彼女の人となりを知ってしまったからだろう。必死で足掻いてる彼女を見ていたら、少なくとも俺は馬鹿らしく悪口で時間を過ごす気にはなれない。



    「酷いことはやめろよー、こいつ俺たちと違ってこんなちっぽけな魔法さえ使えないんだぜ?」

    「そうだった!あの狸みたいなモンスターより何にも出来ないんだったな!」



     部活終わり、夕飯のメニューを考えていた頭に流れ込んできたのは馬鹿にしたような笑い声だった。会話にもならない暴言の内容ですぐに彼女が絡まれていることに気づいて辺りを見渡すと、大きな木の方に三人分の人影が見える。

     音を立てずにそっと近づいて行けば、は 1467

    まちこ

    MOURNING元の世界では成人していた監督生と振り回される17歳のジャミル先輩のジャミ監

    振り回されてる自覚もあるし悔しいのにどうしても相手に勝てないジャミル先輩かわいいよねって気持ちだけで書きなぐった。
    机に置いていたヘアオイルを手に取って一息つく。今日も今日とてカリムは他の寮の人間を招くもんだから仕事は忙しかった。だけどいつもよりイライラしなかったのはその中に例の寮の彼女もいたから。



     軽いノックの音。それだけで扉の向こうが寮生やカリムじゃないことが分かる。まあカリムならノックなんてせずに問答無用でずかずか入ってくるから論外か。

     扉を開けるとそこには貸した少しだけ大きいスカラビアの寮服を身に纏った彼女が笑顔で立っていた。



    「こんばんは」

    「どうした、こんな時間に」

    「会いたくなっちゃって」



     いたずらに笑う顔に胸が高鳴る。悔しいがドキドキしていることを誤魔化すために咳ばらいをすると彼女は口元に手を当ててくすくす笑っていた。



    「この年だったら、こんなかわいいこと言っても許されるんですね」

    「・・・笑うな」

    「入れてください、寒いので」



     腕に触れた小さな手は冷たくなっていて俺は慌てて彼女を部屋へと招き入れた。危機感のなさに落ち込みもするけど、喜びの方が勝ってるのがやっぱり悔しい。

     気づいたら好きになっていた彼女は、向こうの世界では成人してい 1504

    まちこ

    TRAININGくそでか激重感情をこじらせているジャミル先輩と、そんなジャミル先輩のくそでか激重感情には気づかず片思いをしていた監督生のジャミ監

    ある意味両片思い
    彼女のそばにいるといつも気を張って生きている自分が惨めになった。無邪気に誰にでも笑いかける顔に胸はかき乱されて、疑いもせず俺に接する姿に苦しくなる。悔しいことは、辛いことは、苦しいことは、悲しいことは、何も知らないような、純粋な瞳から捕らえるたびに、俺はたまらず死にたくなった。彼女が永遠に気づかないこの気持ちに付ける名前なんて見つけられなくて、ただひたすらもがくしかできない。喉をかきむしって歯を食いしばって、どうしてこんなことになったんだと、泣きたかった。



    「ジャミル先輩、好きです」



     誰もいない図書室、彼女は俺の隣に座って言った。いつもより少しだけ照れくさそうで、顔がわずかに赤く見える。彼女の言葉に嘘偽りないことは誰が見ても分かる表情だ。
     心臓が早鐘を打って気分が悪くなる。喉をかきむしりそうになった手を必死に抑え込んだ。


     彼女が気づいていない俺の気持ちには名前が付けられないのに、俺に向けられた彼女の気持ちには名前が付いている。


     何かに期待をしたような目をふさぎたかった。



    「何を言ってるんだ」



     必死になって流そうと言葉を振り絞るけど、そんな必死な 924

    recommended works