シグナ・ル・プリマ【3】:シグナと花嫁とサンドワーム。 花びらのような、それでいて夏の雲を織ったかのような。巫女が身に纏う装束とはまた違う美しい花嫁衣装にシグナは目を奪われため息をついた。あぁ、外の世界にはこんなに綺麗なものがあるのか……と。
クラグスピア、覇国エドラス。悪名高いその国に足を踏み入れた日、一行は偶然とある結婚式を目にすることになった。エドラスの王女エリカと将軍マフレズ、戦ばかりの王パーディスとは違って人柄もよく身分などを気にせず多くのものに寄り添おうとするその姿から下層を中心に親しまれている二人の婚約は、エドラスにとっての希望の様にも思えた。
「あれが結婚式というものなのね、本当に綺麗だった……」
思わぬものをみたシグナはほわほわとしたまままたため息をつく。シグナにとって、結婚とは絵本や物語の中にあるものでしかなかった。ぼんやりとした幸福の象徴は、実際見てみると本当に綺麗で暖かなもので。
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